
ほんの少しの間でしたが、働いていたことがあります。
約2年かな。
当時はまだバブル真っ只中。
もう忙しくて、いつも過去最高の売り上げ…みたいな感じでした。
一ヶ月単位で「大入り」手当てが出るのですが、ほとんどの月が500えん。
なめとんのか?
汗かいて働いてる私たちを見て
「忙しそうね~。もちろん(手当て)出るんでしょ?」
と言うお客さん。
月500円ですなんて、恥ずかしくて言えませんでした(;^_^A
働いていたのはレストランでしたが、ちょっと高級なフレンチ。
コースメニューは2万円~2万8千円。
2万円のコースはあわびがメインで、それ以上のコースは松阪肉がそれに加わります。
もちろんすべてのコースには伊勢海老が付いていました。
ランチのカレーでも1万円しましたからね。
あわびと伊勢海老入りですが・・・(^▽^;)
基本的には一泊二食で一人3万8千円からという宿泊プランで来てたと思われますが、ごく稀に食事が入ってないプラン(素泊まり?)の方が来てました。
そういう方はメニューを見てビックリ!
まさか晩飯に2万円もかかるとは思っていない。
アラカルトメニューもスープですら高いものは5千円するし・・・
しかも冷製ゼリーコンソメ(;^_^A
オードブルの、生ウニをほうれん草で包みオーブンで仕上げた
「スプーンで一口でお召し上がりくださいませ」
というもので3500円。
ちなみにピラフもありましたが、たしかこれも3500円だったように思います。
ピラフはメニューには載せてなかったような・・・
私が担当したあるお客さんは、先のゼリーコンソメとライスをお召し上がりになり、6千円近くを払って帰られました。
同僚は生ウニのやつとライスを注文された方を担当した、と言っていました。
「ほんの一口のお料理ですが、よろしゅうございますか?」
かなり確認したんやで~と言っとりましたです、はい。
メニューを見るなり、こんなに高いのか!と怒ったご夫婦もいましたね~
まあ、ほとんどのお客さんがお金持ちの方ばかりでしたけどね。
お医者さんや大企業の役員の方とか。
時々芸能人も来ていました。
面白かったのは予約のお名前が「ドラえもん」と記されていた数名のグループ。
大山のぶ代さんをはじめとするアニメ「ドラえもん」の声優様ご一同でした。
料理長を呼んで「こちらがのび太です」なんて紹介していました。
私が担当した、いわゆるVIPはほんのわずかでしたが、印象に残ったご家族がおりました。
あまり笑顔のない、厳しい感じのお父さん。
お母さんと二人の息子も、楽しそう!という雰囲気ではなかったのですが、コース料理も終盤に差し掛かった頃、お父さんが今年の目標だと真剣な表情で語った一言がなんとも印象的でした。
「お父さん、曲書くよ」
それをまじめな表情で聞く子供たち。
はあ?
なんだこいつ?
裏に帰って、こんなこと言ってるー( ´艸`)と話すと黒服の一人が
「あの人、小椋佳やで」
・・・・・
まじで?
でも予約の名前が…あ、本名か…
そうなるとさっきの会話が俄然リアルになってきます。
とはいえ、その年に小椋佳名義のヒット曲はなかったように記憶していますが・・・
あと、時々スーパーカーに乗ったお客様も来ていました。
一番すごかったのはケーニッヒ・テスタロッサ。
3億円したとか。
夜仕事が終わってからみんなでもう一度戻り、3億円テスタと記念写真を撮りました。
しかしこのレストラン、かなりいやらしいところがありました。
それはVIP客と一般客の対応の差が激しいこと。
毎朝宿泊カードをチェックして、初めてであろうが有名人や大会社の社長さんとかはVIP扱いになります。
VIPには無条件で景色のいい席が用意され、サービスは黒服。
そしてがたつきのないテーブル、新しいめのテーブルクロス、キズのない銀器とグラス、そして食材はすべてが大きい!
要するに何もかもが違うわけです。
もちろん払う金額は同じですから、
「一度来てみたかったの~」
「おいしかったわ~」
と言って笑顔で帰られる一般のお客様が不憫で・・・
VIPにはお金持ちのお友達がいますから、口コミを期待してでしょう。
でも、なんだかな~と常に思ってましたね。
しかし一晩にレストランだけで一千万以上も売り上げることもあるというのを聞くと、経営方針としては間違っていないのかな~とも思いました。
リピーターで満室だからお正月は何年後も予約がいっぱい、と聞いたこともあります。
そんなホテルもバブルの崩壊とともにお客さんも遠のき、一時は経営も危うかったように聞きました。
それでも今現在も近くにりっぱな新しい建物を作り、高級リゾートホテルとして続けています。
もちろん今は20年以上も前のバブル期のようなことはなく、すべてのお客様に分け隔てなくサービスしているそうなので、ちょっとリッチな気分を味わいたい方はぜひ一度いらしてください。
地元の人の見物お断りというベイ・スイートですが、当時の上司がまだ働いており「俺を呼んだら入らせてあげるよ」と言われましたけどまだ行ってません。
食事でもできればいいんですが、そんなお金もないし・・・
毎日すぐ近くを通るんだけどな~
