
私が大台ケ原に行ったのには少し理由があります。
19年ほど前松阪市内でコンビニを経営していました。
そこへコンビニお約束の強盗が来たことがありました。
しかし来た時間は昼の2時ごろ。
いつもは深夜勤務だった私ですが、その日は偶然昼間、嫁と二人で入っていました。
その男は普通に買い物をしていましたが少し気になる客でした。
というのも雑誌の立ち読みもせずに30分近くも店内をうろうろしていたからです。
私は事務所やら冷蔵庫やら動いていましたからその男に気づくたびに
「まだおるの?」という感じでした。
途中「下着はこれだけですか?」と声もかけられました。
その後しばらく冷蔵庫に入ってドリンクの補充をしていました。
「ピンポーン」と呼び鈴が鳴ったので出て行くと
「強盗や!強盗!」と嫁が騒いでいます。
「強盗や言うて弁当持って逃げた!」
ほとんど意味不明です。
「それは、窃盗と違うんか?」
「強盗やで、追いかけて!!」
嫁はパニック状態なのでいちおう言うとおりに駐車場まで追いかけました。
車に乗っている犯人を見ると、さっきまでだらだら買い物をしていた男でした。
何もしないのもいかんかなーと思いドアのガラスを蹴ってみましたがもちろん割れません。
去って行く車のナンバーを控え店内に戻り嫁に詳しく聞きました。
レジに来た犯人は「財布を忘れたから車に取りに行って来ます」と告げ、財布ではなくナイフを持ってきたようです。
「私は強盗です。お金を下さい。」とナイフを突き出しながら敬語で言う犯人。
「冗談はやめてください。」と嫁は答えながらチャイムを鳴らす。
私がバックの冷蔵庫から店内に出て行くと逃げた、という流れだったようです。
お金は取られなかったので被害は買い物の品だけでしたが、一応警察に連絡しました。
何分かしておまわりさんが来ました。
「今パトカーとヘリコプターで追跡しています。」
いやそこもでしなくても…と思いましたが、強盗だとそういう対応になるらしいですね。
足跡やら指紋やら似顔絵やらバタバタしていると1時間もしないうちに犯人が捕まったと連絡がありました。
車種とナンバーがわかっていたし、国道をそのまま走っていたようだし、そらまぁ捕まりますわ。
で事情徴収したらその犯人、仕事をクビになって嫁と離婚する羽目になり自暴自棄になって自殺しようと神奈川から車を盗んで来たらしい。
その自殺しようとした場所が、大台ケ原。
昔行った事があり、あそこなら死ねると考えたそうです。
2日ほど何も食べていなくて、しかも前にコンビニの配達の仕事をしていたことがあるので、昼間はおばちゃんしかいないだろうから、何か食べ物でも盗もうと思ったらしいのです。
死ぬのに金出せってわけわからん…のですが、本人も訳がわかっていないのでしょう。
それで長い間、大台ケ原の文字を見るたびにそのことが浮かんできていたわけです。
どんなところだろう・・・
たぶん千メートルの絶壁という大蛇嵓で死のうとしたんだと思いますが、結果的に今回は見ることが出来ませんでした。
でも今回大台ケ原に行ったことで“楽しかった”という新しい思い出が追加されたので今までとは違ってくるように思います。
この事件での教訓は
1、盗られた商品の金額より現場検証のために店を閉めることにより発生した損失のほうが
ずっと多い。
2、似顔絵を描くときの特徴など何もいえない・・・
顔の輪郭は?ふつうです。
目はどんな?一重だったかな?いや二重…
鼻は?口は?とほぼ全滅。ダメダメでした。
だから何かの事件で犯人の似顔絵と発表されるのを見ると本当に感心します。
貴重な経験でしたが、できたら一生めぐり合いたくない経験でもありました。
でもこれは本当は嫁が言いたいことでしょうけどね。
最後になりましたが、この事件で嫁が怪我をすることはありませんでした(><*)ノ~~~~~
Posted at 2009/08/20 11:45:22 | |
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