2010年04月16日
15日、アイスランド首都レイキャビック東120kmにある火山が噴火し、大量の火山灰が上空を覆い欧州各地では空港閉鎖や一部の航空便が欠航になっています。
どのくらいの期間、飛行機が飛ばないのか?イギリスから部品を輸入して後期高齢車を何とか維持している者としてはとても気になるニュースです。
火山灰で上空を飛ぶ航空機の視界が遮られてしまいますし、微細な溶岩や灰はコクピットのウインドスクリーンにも悪影響があると思います。それより怖いのは 『FOD』 (falling object damage) です。
説明しよう!!(ヤッターマン風)
FODとは読んで字のごとく「落下物による損傷」です。
いわゆるジェットエンジン(ターボプロップエンジン・ターボシャフトエンジン・ターボジェットエンジン・ターボファンエンジン)は高速で回転するタービンで大量の空気を吸い込み圧縮し燃料を噴射し燃焼させパワーを得ているので異物を吸い込んでてしまうとすぐに壊れてしまうという可能性があります。
どのような物が飛行に影響があるというと、冒頭で申し上げた火山灰や微細な火山弾、鳥などです。地上近く或いは地上では、滑走路に落ちている小石やアスファルトのかけら、ヘリコプターですとヘリ自身の風圧で巻き上げた地面の砂塵などです。
バードストライクを防ぐため空港では野鳥を追い払ったりしますが火山灰は天気任せになります。
この砂がどれだけ航空機エンジンに影響があるかといいますと、あるとき米軍が中東某国での人質救出作戦のため夜間に出動した、ヘリコプターと軍用輸送機が砂嵐のために視程がきかず衝突やエンジントラブルにより作戦は失敗し撤収したのは有名な話です
数万回転で動いているタービンは異物を吸い込むとどうなるでしょう?
先ずエンジン入り口の空気を圧縮するコンプレサーブレードにヒットします。この時の衝撃が大きければタービンブレードは破壊されてしまいます。そしてこの破壊されたブレードの破片は何段もコンプレッサーを壊しながら奥へ進んで行きます。このようにして、どんどんエンジンは壊れて行きます。もし小さな衝撃でタービンブレードにわずかな変形が起こっただけでもブレードは失速し、圧縮に不具合の生じたタービンは十分な圧縮が出来ないまま空気は燃焼室に送られます。こうなると本来必要な圧縮空気が供給されず、異常燃焼をおこし異常高温の燃焼ガスが出力軸タービンを溶かしてしまいます。溶けてしまった出力軸タービンは繋がっている圧縮機タービンを回すことが出来なくなり、推進力を失ってしまいます。力を失った航空機或いはヘリコプターは至近の空港或いは平原又は水面に不時着するしかないのです。
普段、何の気なしに航空機に乗って定刻に離陸し着陸することも当たり前のように感じてしまいますが、私は離陸するときにバードストライクがなくて無事に離陸できて良かった、洋上では不時着水しなくて良かった、着陸時はダウンバーストに巻き込まれなくて良かったと思うようにしています。空気とバランスをとって飛んでいることはとてもデリケートであると思っています。アイスランド火山噴火でちょっと思うところを書いてみました。
Posted at 2010/04/16 10:22:39 | |
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