
ってわけで
前回の大雑把な日記が意外と見てもらえたようなので
今回はもっとマニアックなピストンピンの話をしようと思います
前回の最後の方で書いた検査の仕方ですね
っても10数年前の話なので間違ってた忘れてる検査とかあるかもなので
(会社辞めた時の役職は最終出荷検査員でしたけどそれでも覚えてないものは覚えてない!w
まぁこんなんしてんだ程度に見てもらえたらいいかな~
まず非破壊検査です
文字道理ですね~
この検査は前回書いた日記の全工程でやり方は違うにしろ
必ずと言って行われます
と言っても実際最後で精度でりゃイイわけで
研磨工程に入らないと0.001単位での検査しませんけどねw
自分はピストンピンの研磨ラインには入った事ないので
そこは間違って語ってもまずいので研磨後の検査の話です
では!
研磨から終わってきたピンの検査はエアマクロゲージなるもので検査します
こんなん
でどう使うかと
こんな感じで左右にスライドさせるとメモリが動きます
大体、左・真ん中・右の大きさを測ります
研磨から終わってきたピンはまず滅多に規格から外れることは無いのですが
季節・ピン・研磨ローラーの温度・消耗で常に大きさは変化するんです
何しろ0.001単位でやってるわけですからねシビアなわけです
でなぜこの三か所が大事かと言うと
前回話した熱膨張です
基本切ったり削ったりすれば熱を発します
例えば研磨ローラーに入ってくピン最初は常温ですが研磨される事によって熱が入り
熱膨張が発生します
すると真ん中あたりで膨らみ大きく削れることがほとんどです
で出口あたりでまた冷えて収縮するんで
結果的に常温状態になると真ん中が凹みます
それをナカベコって言ってました
検査してて一本全部、数値が揃うのはあまりないです
慣れてくると肉眼でもへこんでるのわかります0.005±の差なんですが人間ってすごいですw
で
そして製造したピン全てを検査するわけではないんです
そりゃ常に流れてくるの一本ずつに数分もなんかやってられないですからw
それでどうやって平均を出すかと言うと
数100本くらいごとに2~3本ランダムに選び検査します
一定の数の平均を確認してその間にどのくらいの変化があるかでダメか正常か判断します
して製造側の検査はそんだけです、他にもあるにはあるけど滅多にしないので省略
んでここからが面倒な提出検査の話です一気にマニアックになりますw
基本メーカーからは1ロットごとに提出せいと言われます
んで検査項目は
大きさ
硬度
表面の研磨
内部の粗さ
鍛造の層の検査
って感じです(たしか
まず大きさこれは当たり前すぎますよねw
大体メーカーとエンジンの種類で許容範囲がかわります
某社ディーゼルの大型になれば0.005±ですが
あるメーカーのDOHCの2000ccクラスになれば0.0005±で検査しろと指示があります
今はどうか知りませんがDOHCエンジンの部品はそのくらいの規格で作られてます
よくピストンとシリンダーで、はめたらゆっくり落ちていくと理想ってますが
それこそ0.0005±の世界ですwww
んでそんなマクロレベルの検査ですホコリだとか油拾っただけでやり直しな事も珍しくないですw
この時使う検査機ですが調べても出てこない&複雑すぎて簡単には描けないし覚えてないので
文字で説明します
ピストンピンを検査機に固定するとX・Z・Y軸で機械が検査します
それがマクロレベルで3D化されて検査結果が出てきた記憶があります
話によるとシリンダーの径やピストンの検査にも使えるらしいです
一台当たり何千万する機械なので部品セットするだけで気を使いますww
んで硬度検査
こんなんで検査します
これは置いてポッチっとするだけで特に面白くないですが
合金で鍛造して焼き入れしたピンが凹みます指なんか挟んだら千切れますねw
これは規格覚えてないですが自分が検査してて規格合わなかったことなかった気がします
研磨・内部の粗さ
これは表面の凹凸を調べるものです
検査結果だけ描くと
みたいなグラフで出ます
で検査機はこんな感じので計測します
まさにこんなんだった気もしますが違うような?
検査で気を付けないといけないのが終わりの場所をちゃんと見極めないと
検査機が進みすぎてピンから落っこちてとんでもない検査結果が出る事ですねww
内部の方は違う機械で計測しますが
基本かわんないので省略ですww
んで自分が好きな検査
鍛造の層の検査です
まぁ機械系好きな人なら鍛造の仕組みとかわかってると思います
鍛造の包丁や刀なんか調べれば出てきますが
検査で見る層はこんな感じ
ピストンピンはすっごく細かく層になりますそんくらい金属を圧縮してるんです
んでどうやって検査するかと言うと
まずピンを真っ二つに切ります!
こうゆう切断機使います
うちで使ってたのはもっとカバーついてて切削油が常に循環してる物でした
んで気をつけないといけないのが一気に切ったらダメ
なんでかと言うとピンが焼けたり切断面が粗くて検査できなくなるんです
なのでかなりの回数に分けて切ります
これがまた楽しくてwww
んで切ったら切断面を研磨します
これは台に固定されたベルトサンダーみたいなのでやるので特に気を付けることもなくです
(この切断したピンを上で書いた内部の表面検査も行います)
して検査液に切断面を付けます
すると上で描いたように肉眼で層になってるのが見えるようになります
すっごい臭いですww
まぁこの液体はよくわからんのですが
要は金属の浸食させるよな物らしいです特殊らしいです手につくとめっさ荒れます酸性なんでしょうね
まぁ腐食させるって事はすぐに検査結果を保存しないといけないわけです
そのピンをそのままにすれば層がグチャグチャになります
でどうするかと言いますとセロハンテープで層が出てるとこはっつけると
セロテープに層が移りますwwww
んで提出書に貼る
ね簡単でしょw
って感じで検査していきます
で大体の検査はこれで終わりです(たしか
この項目を1ロットごとやります
まぁあまり詳しく書くとマジでヤバいことになるんでヤバい事聞きたい人は自分から直接聞いてくださいww
あと答えられる範囲なら気軽にコメントで質問してくださってもイイですよ♪
自分がやってたのはピストンピンだけじゃなく他の部品の出荷検査もしてたので忙しい時はずっと計測器と睨めっこしてましたね
まぁぶっちゃけ暇なときはパソコンでネット見てるだけだったり上司がきたら書類画面にしてwww
今でもノギスとマイクロゲージは普通に使えると思う(思うだけかもしれないですww
ここまで見てくれてありがとうございます
何気なく使ってるエンジン部品とかはこうやって検査されてたりします
それでも壊れたりだとか不良品があったりするんですよね~
ピストンピンでメーカーから不良品出でたってあの会社では聞いたことはないですが
あの会社で作ってる他の部品では・・・・・・・・・・・
なにがともあれ前回の日記と合わせてピストンピン一つにこれだけの手間がかかってます
クルマ一台作るのにどれだけの人や技術がつぎ込まれてるのか考えただけでも
恐ろしいですよねww