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2013年08月31日

私の所有したクルマ(2) - ホンダN360 -

ひとりよがりの自己満足の文章でも投稿するためには結構な努力が必要です。遠い昔の記憶違いなどもあるでしょうから、間違いを少なくするためにも古い雑誌などを引っ張り出して読み返したり、ネットで調べたりもしました。
また、残っているクルマの写真は意外と少なく、やっと見つけても家族などの人物が写っているものが少なくありません。Photoshop を使ってトリミングをしたり、一緒に写っている家族を消す修正をしたりと、写真の編集の練習もたくさんしました。



写真は富士スピードウェイ(FISCO)でのショットで、1972年か1973年の撮影です。
実際は、クルマの手前に私と当時のガールフレンド(今の妻なので問題はない)が写っていたのを、Photoshop Element を使って、人物を消し、クルマのボディを描き加えました。

1972年にマツダの中古車センターの駐車場の片隅に置いてあったもので、値段を尋ねると2万円ということで、即決で買ってきました。安い理由は約5年落ち、走行距離は記憶にないが結構な走行距離、そして決定的なのは運転席のリクライニング機構が壊れていてシートバックが後ろに倒れっ放しということでした。シートバックに背をもたれさせない難しい姿勢で運転して家に持ち帰り、シートバックの根元を分解すると、部品が破損していました。壊れていた部品を溶接屋さんで溶接してもらい、組み立てたら問題なくなりました。

これが、自分で購入した初めてのクルマです。
元々、緑のボディに屋根とトランクリッドを白く塗装してあったのですが、知り合いの板金屋さんに同じようにツートーンで全塗装をしてもらい、ミニを気取って乗っていました。


[仕様など]

TSの初期型で、たぶん1968年式と思われます。強制空冷4ストローク2気筒、354cc、最高出力36ps/9000rpm(ノーマルは31ps/8500rpm)のエンジンと、4速MTは常時噛み合い(コンスタントメッシュ)式のドグミッションでした。ノーマルのN360のシフトレバーはダッシュの下から突き出されていましたが、TSはセンターコンソールもどきが装備され、リンクを追加してフロアシフトに近い形状になっていました。タコメーターもついていたし、ステアリングは3本スポーク、前述のようにフロアシフト風でスポーティな雰囲気にあふれていました。



エンジンフードを上げると、ツインキャブレターとスペアタイヤが真っ先に目に入ります(上の写真 Wikimedia Commons より)。そして最も奇異に感じるのは、冷却ファンの軸が車の前後方向なのに、軸が横方向のクランクプーリーから長いVベルトを二つのプーリーで直角に曲げて駆動している姿です。

その冷却ファンがエンジンシリンダーの外側を通過した空気をエンジンルーム後方に排気するのですが、室内のレバーを引くとその排気がデフロスターや暖房として室内に導かれます。排気管やシリンダー周りを通ってくる空気だけに排気臭やオイル臭を危惧する記述が雑誌等に見られましたが、私の場合は全く感じませんでした。それよりも真冬でも風量が多く熱くなりすぎることがあり、温度調整が難しかった記憶があります。

サスペンションは、前がマクファーソン式、後ろがデッドアクスルリーフスプリング式のFWD(前輪駆動)で、小型乗用車のようにしっかりした感じで、他車の流れに乗って(時にはリードして)の走行は無理なくできました。高速道路では100km/h 位で走ることはできましたが、なんといってもエンジンの騒音と振動はすさまじく、ルームミラーが激しく振動して後方確認ができませんでした。少し新しい年式では、ルームミラーのステーとフロントガラスの間にゴム製の部品を挟み込んで、ミラーの振動を抑えていました。それを知って、私ももちろんとりつけました。

1970年代前半の「欠陥車問題」が話題になったころ、「日本自動車ユーザーユニオン」が「N360」に操縦安定性の面で重大な欠陥があると指摘、東京地方検察庁に告訴するということがありました。しかし、私自身はそのよう不安を実際に感じることはありませんでした。
スバル360に比べると、4ストロークによる安定したアイドリングと、独立したトランクルームが何とも誇らしげでした。


[私が施した修理や改造]

(1) CV型ツインキャブレターの交換
アイドル状態からアクセルを少し踏み込むと息継ぎが生じ、とにかく運転しにくかったものです。キャブレターの調整をしましたが症状は改善されませんでしたので、解体屋さんで程度の良い同じ型のキャブレターを手に入れて取り替えました。 が、やはりあまり調子は良くなりませんでした。

(2) ツインからシングルキャブレターへの交換
そこで、調整の難しいツインキャブレターをあきらめて、シングルキャブレターに変更することにしました。再度、解体屋さんでシングルキャブレターを入手しました。しかし、な、なんと吸気マニホールドはシリンダーヘッドの中に構成されており、シングルキャブレターにするためにはシリンダーヘッドの交換が必要でした。またまた、解体屋さんに行って、シリンダーヘッドも買ってきました。

OHCのため、タイミングチェーンがクランクケースへ落ちないように、かつカムシャフトのスプロケットとの相対位置が変わらないように、苦労してシリンダーヘッドの交換をして、シングルキャブレターを取付けました。最大出力は若干落ちました(36ps→31ps)が、アイドルからの息継ぎがなくなり、低速トルクも増えたように感じ、大変乗りやすくなりました。
ノーマルとはたぶんカムプロファイルも異なっていたと想像しますが、そのときカムシャフトもノーマルに変更したか否かは記憶にありません。

解体屋さんへはずいぶん通いましたが、N360の場合、年式が1年異なると、エンジンの基本的な部分でもがらりと設計変更がされている場合があるので注意が必要でした。

(3) ダイナモスターターの修理
このクルマは、スターター(エンジンの始動)とダイナモ(バッテリーの充電)が共通化されており、ダイナモスターターと称するものがクランクシャフトに取り付けられていました。スターターのピニオンギアがなく、ヒュルヒュルとスムーズにエンジン始動ができたので、私は気に入っていました。一方、直径200mm近くはあろうかというコイルが巻かれたローターが9000rpmで回転するというのは設計的にはかなり難しいものと思われました。

その頃、私はN360で千葉と大宮を月に2~3回往復していましたが、千葉にいるときにチャージランプが消灯しなくなったのです。つまり充電が行われてないということです。始動は問題なかったので、発電機能のどこかが故障していたと思われます。
大宮の自宅で修理しようと考え、まず千葉から大宮までの約2時間の走行がバッテリーのみで(充電なしで)で可能かどうかの検討をしました。点火系、ブレーキランプ、方向指示器、夕方だったのでスモールランプ等の電力消費量を概算して、バッテリーの容量(いくつだったか覚えてない)と比較して、ぎりぎりOKと判断しました。そして満充電した予備のバッテリーを積み込みました。結局、大宮の自宅までたどり着きましたが、最後は方向指示器もやっと点灯するような状態で、計算通りということだったと思います。

修理は、レギュレーターには問題なく、ダイナモスターター本体の交換(もしくは、とりはずしてハンダ付けの修理か?)で、エンジンを降ろした記憶があります。このクルマのエンジンの脱着もそれほど困難を伴うものではありませんでした。スバル360と異なるのは、ボディの前端下部にはメンバーが横に通っていて、エンジンを前方に抜くには、ボディをかなり持ち上げなければならなかったことと、エンジンはサブフレームごと外せたのを覚えています。

(4) ライトスイッチの交換
当時は一般的に、発電能力が低く(オルタネーターではなく、ダイナモが一般的)、バッテリーも現代に比べると比較的弱かったので、信号待ちなどではヘッドライトを消灯してポジションランプ(スモールランプ)のみにするということが普通でした(少なくても私はそうしていました)。

N360のライトスイッチはツマミを引くタイプで、一段引くとポジションランプ、二段目まで引くとヘッドライト点灯という一般的なものでしたが、スバル1000のライトスイッチは大きなタンブラー形で、一段倒すとスモール/ロービーム、二段目に倒すとロービーム/ハイビームをディマースイッチで切り替えるものでした。

スバル1000のスイッチを解体屋さんで手に入れ、回路図を一生懸命研究して、スバル1000と同じ機能に改良し、大変満足していました。
ちなみに、私は現在では信号待ちでもヘッドライトは消灯しません。

(5) リアの整流板
1971年に自動車部の遠征と称して北海道旅行をした時、ライトバンの屋根の後端に現在のウィングのようなものがついているのを目にしました。ただし、そのウィングは、空気の流れを跳ね上げる(つまりダウンフォースを得る)角度ではなく、空気を押し下げる方向の角度になっていました。そのウィングの役目は、空気を屋根からリアウィンドウに沿って流し、リアウィンドウへの泥のはね上げを低減するものでした。

早速、ライトバンのようなリアの形状のN360に私は同じようなものを制作して取り付けました。冒頭の写真にはリアの整流板はまだつけてありませんが、その後N360でFISCOに行ったときには取り付けていましたが、ダウンフォース用のウィングと見られ、角度が反対なのを他の観客から笑われたような気がします。

(6) リアウィンドウのデフロスター
当時のマツダファミリアのヒーターブロアー(当時エアコンはなかった)には薄型のプリントモーターが使われていました。
そのモーター、シロッコファン、デフロスター用空気通路を兼ねた樹脂ハウジングのアッセンブリー(これも解体屋さんで入手)を黒のつや消しで塗装し、リアトレイの上に置いて配線をしたら、リアウィンドウデフロスターの完成です。別に温風でなくとも風量が大きかったので風を当てるだけでデフロスターとして十分機能しました。

(7) エンジン交換
1973年のこと。千葉から大宮へ帰ってきてふとレベルゲージを見るとエンジンオイルが全くありませんでした。エンジンの下からよく観察すると、デフケースに直径1cm余りの穴が開いていて、そこからオイルが漏れていました。いつ穴が開いたのかはわかりませんでしたが、良くエンジンが焼き付きを起こさず大宮までたどり着いたものだとほっとしました。

このクルマのパワートレインはエンジンのクランク室、変速機、差動装置(デフ)が一体となっていて、すべてエンジンオイルで潤滑していました。オートバイと同じ構造です。

そこで千葉の知り合いの自動車工場の人に紹介してもらって、エンジンを購入しました(たぶんこれも解体屋さん)。そのエンジンはNⅢのもので、サブフレームごと載せ替えました。
後に元のエンジンを分解して、デフケースの穴の原因を調べましたら、回り止めがあるにもかかわらず、デフギアアッセンブリーのナットが脱落して、ギアでかき回せられながらケースを破損してしまったことがわかりました。組み付け不良か、設計不良か・・・。

あたらしいエンジンは快調で、音は静かになり、低速トルクも豊かになり、一皮むけた感じで大満足でした。この文章書くにあたって調べていたら、NⅢの変速機はドグミッションから一般的なフルシンクロ式に変更されていたとのことでした。当時はその印象はありませんでした。


これは家の前で撮った数少ない写真のうちの1枚です。


[全体の印象]

N360の発売開始当時は、スバル360が販売数量のトップでしたが、販売開始後数か月もしないうちにトップの座をうばったとのことです。スタイル、性能、価格のすべてにおいて、一世代以上進んでおり、当然のことと思われます。

所有して、運転して、大変楽しいクルマでした。土曜の深夜、千葉から大宮への途中(京葉→靖国通り→白山通り→中山道)、都内の道路をまるでレースのように車線変更しながら走行中(といってもそんなに速度はでていない)、ラジオから流れるかぐや姫の「神田川」がやけに印象的でした。

一方で、「修理や改造」の項で記したように、未完成の部分も多く、故障も多かったような気がします。また、毎年(あるいはそれ以上のペースで)設計変更が行われ、解体屋さんで年式の十分な注意が必要ばかりでなく、直系の部品屋さんでもパーツを持ちきれない印象で、注文してからかなり待たされて感がありました。スバル360は長い販売期間中(1958-1970)、もちろん多くの改良は進められていましたが、互換性なども十分考慮されており、部品の購入で困ったことはありませんでした。

機械的にすぐれた設計のスバル360、商品として魅力的なホンダN360と言えると思います。


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Posted at 2013/08/31 15:23:05

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