2010年02月21日
自動車の事がネタ切れの為、航空関係の話題を・・・・・
空間識失調(Vertigo)ってご存知でしょうか?
簡単に言ってしまうと、前後左右上下の傾きの感覚を人間の体が間違えて認識してしまう事象です。
自動車や電車の動きは2次元ですが、航空機は3次元で動きます。
自動車や電車に乗車している時は、地球の重力が有る関係で、人間は足が下、頭が上と認識しますが、航空機が3次元で動く時の遠心力を重力と誤認識してしまい、航空機の傾きが分からなくなる。
これは航空機の操縦士が逃れる事の出来ない事象で、どんなベテラン操縦士でも、この錯覚を起こします。
戦闘機やラインのベテラン操縦士でも、この誤認識を克服出来る人間は居ません。
現に私も間違えましたし、現在も間違えます、これからも間違えます。
では、どうやって世界の空を安全に航空機が飛んでいるのででしょうか?
答えは簡単、どんな状況でも航空機に装着されている姿勢指示器を信じて操縦する。
自分の感覚が左右平衡に飛行していると思っても、姿勢指示器が左バンク20度を示していたら、自分の感覚がどうであろうと、右にバンクをとり、姿勢指示器が左右水平になる様に制御する。
これが、難しい・・・
そこで昇降計、速度計、高度計、エンジン計器など、色々な計器を見たり、また、左右の席についている姿勢指示器の指示が同じ事を見たり、航空機の動きに相関する計器同士を見比べて自分の感覚が間違っている事を認識するまで、直ぐには計器を信じられない。
しかし、”う~ん、俺正しいよな”なんて考えている間に、どんどん危険な領域に入っていきます。
即時に決断しなければ、取り返しの付かない状況に陥り、あっという間に仏様になってしまいます。
そこで、計器飛行では、どんな時も計器を信じて操縦する訓練を徹底的にやります。
だから、航空機の計器に狂いや故障が有る事は許されないし、有ってはならないし、自動車の様にだましだまし使うなんて事は有り得ないのです。
仮に自分で飛んだ航空機の計器が狂っていて、降りた後に ”それ壊れているんですよね”なんて言われたら、そのまま力任せに殴ってしまうかも知れません。
Posted at 2010/02/21 04:57:45 | |
トラックバック(0) |
その他 | 日記