
相撲協会の理事に貴乃花が選ばれたのは、けっこう驚きでしたね。
貴乃花の支持グループ以外にも、実は現状の相撲協会のあり方に対しての批判勢力が他の一門にも存在しているということが明らかになりました。今回貴乃花に票を投じなかったとしても、心の中では現状に疑問を持つ親方は他にも居ることと思います。
貴乃花が選ばれてからのメディアの報道姿勢を見ていて思うのは、「結局選ばれはしたが、果たしてどこまでできるのか見ものだ」というような高みの見物的姿勢が多いこと。「誰が貴乃花に投票したんだ」という野次馬根性もありますね。
相撲協会のあり方に対して、「こりゃあおかしいよ」と思う人は多いことと思いますが、メディアは切込みがいまいちです。相撲協会ににらまれると関連記事の取材がやりにくい、というメディア側の保身が働いているのでしょうか。日本のマスメディアは欧米に比べてその情けなさが際立ちますが、最近もその面目躍如たる形ですね。
さて、貴乃花の挑戦ですが、実際のところ相撲協会を大きく変えるのはまだ難しいと思います。でも、彼がスタンスを取って挑戦する、ということ自体にとても大きな意味がある、と僕は思います。
ある意味、相撲協会は今の日本の縮図というか、日本の悪い面をぎゅっと絞ってエキスにしたようなものではないでしょうか。過去の既得権にしがみつく年寄りが意思決定を牛耳り、不祥事が起こってもできるだけ隠し続け、明るみに出たとしても非を認めず、改革しようとする若手に対しては寄ってたかってプレッシャーをかけ妨害する。
以前も書きましたが、
そんなことやってる集団は自滅へのカウントダウンを早めているようなもんです。
日本という国においても、既にそれなりの地位に上がった人々が、自分たちの既得権を守りたくて若い者の邪魔をする、というのは、当人たちにその意識がなくても非常に良く起こっています。政治の世界がそうですし、銀行や建設など、グローバル競争や自由化の波にさらされてこなかった業界でも大変よくある話。当人たちは、過去の成功体験も手伝って「お前ら何にも分かっておらん。物事には秩序というものがある」というような御託を並べながら、結果的に改革を押しつぶす抵抗勢力になるわけです。
皆さんが属する組織の中でも、多かれ少なかれこういう状況があるのではないでしょうか。問題は、そこで誰かがスタンスを取って変革に挑戦できるかどうか。相手の組織が大きくなればなるほど、簡単に押しつぶされそうだしやるだけ無駄だ、という気持ちになることでしょう。
でも、日本という国自体が本気で変革していかないと隣の国あたりにぶっ潰されてしまうかもしれません。ぶっ潰されないまでも、下手をすると経済的属国のようになってしまうかも。もちろん現在までの日本だってアメリカの経済的属国だったじゃないか、という見方もできますが、今度はたぶんプライドまでぺっちゃんこにされて下手をすると自由な生き方もできない、という可能性だってあると思います。
ちょっと悲観的過ぎるかもしれませんが、実は結構危機がそこまで迫っているのは間違いありません。隣の国がどうもしなくても、働く現役世代が減り、サポートを受ける高齢世代が増えていく国として、今のレベルの低付加価値+高コストの構造のままでは国民全体として生活レベルをぐんぐん下げないことには持たなくなることでしょう。
ということで、今の現役世代、そしてそれよりも若い世代は出る杭になって打たれることを恐れず、スタンスを思い切ってとって、挑戦していくことに本気で取り組むことが必要ですね。
貴乃花の挑戦はそれを教えてくれている気がします。
以上、いつものごとく勝手な戯言あしからず、でござりまする。
Posted at 2010/02/03 21:51:15 | |
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