NDロードスターを24時間レンタルしてみました。その感想を備忘録として記します。
レンタルしたのはタイムズカー。友人によるとその前身はマツダレンタカーとのこと。
それでマツダの車が充実しているのだとか。
まずは借りた車について。
恐らくグレードはS。走行距離は3万弱で、左後部に修復歴があると推察される個体でした。(タイヤが他3輪DUNLOP LEMANに対して、左後部のみYH S.drive、フェンダー内側のコーキングも他と異なる)
個人的には近年の鼓動デザインを採用したMAZDAの車はプレスラインがわかりやすい濃色系が好きなのですが、今回のNDロードスターは白色でした。
走ったルートはかわさき氏のブログに任せるとして、NDの感想をメインに残したいと思います。スポーツカーにおいてはドライバーの感覚が重要だと考えていますので、車の部位ではなく、人の部位毎に感じた事を書こうと思います。
○頭
オープン時の風の巻き込みはNAと比べると四半世紀分の進化を感じます。
NAでは右の襟足を捲り立てるように風が吹き続け、寝癖ではなく風癖とでもいうのでしょうか変な髪形になります。
対してNDはあくまで頭をさわさわと優しく撫でる風で、これなら髪の長い方や女性でも快適にオープンエアーを楽しめるのではないかと思います。
○目
外観は鼓動デザインによりNA〜Cとは大きく変わりました。いつもABCを並べてその共通点や相違点を探して楽しんでいる自分としては少し寂しい気持ちになります。
(特に横から見たノーズやトランクのラインは共通項となっており、25年の歴史を感じられるものでした)
ただ、ND単体としては格好のいいオープンカーとしてわかりやすい外観だと思います。なんだか一緒に過ごしていた友人が急にスカウトされてモデルになっちゃった気分です。
それでも乗り込んでしまえば確かにロードスター。運転席からの眺めはNAからの正統な進化と感じました。
(視界のなかで主張してくる隆起したフロントフェンダーは、NAのリトラを思い出しました)
1点気になったのは右側のボンネットヒンジ裏側が丸見えなこと。スポーツカーは乗り込んだ瞬間に切り取られる非日常やその雰囲気が重要だと思っていますので、それを阻害する要素は排除すべきです。常に視界に入る場所だからこそ、配慮が欲しいと感じました。
(気にしすぎですね)
○耳
聞こえてくる音に関しては少し寂しさを覚えました。NAとの比較になってしましますが、
エンジンやマフラーから聞こえてくる音がどうしても少ないです。
(NAは少しうるさいくらいですが)
100km巡行でブーブーうるさいはずの音が、あまり気になりません。6MTなのも相まって低い回転数で走れてしまうようです。燃費はいいのでしょうが、気分の高揚感という点ではあまりありません。
アクセルを煽ったときに聞こえてくる吸気音くらいがスポーティな要素でしょうか。
そういった゛音゛が少ないのは裏を返せば上質なのでしょうか。アルミ板の入ったソフトトップの恩恵もあり、車内はNAオーナーの想像よりは静かです。
○手
*ハンドル
ネットで下調べした事前情報通り、ステアリングセンターあたりが落ち着かない印象でした。高速での直進性は気になるレベルで、長距離の移動は疲れるかもしれません。
(運転中にくしゃみをすると、車線をはみ出しそうになって驚くくらいです。)
もしNDを所有するのならば、タイヤやホイール、アライメントで改善をしたいと思いました。
但し、上記はあくまで直進での話です。
ワインディングでは水を得た魚のようなコーナリング性能です。これだけ気持ちよく曲がるのであれば微妙な直進安定性も我慢出来ると思った程でした。
スピードを出して運転する人間ではないので、絶対的な性能の比較はしないのですが、
NDのワインディングの気持ちよさには驚きました。NAでももちろん気持ちよく走れているのですが、その中にもコーナリングの最中には『剛性がなくてブルブルするなー』とか
『足がヨロヨロするなー』とか、無意識であっても考えてしまっています。
NDの印象は『雑味のないコーナリング』です。エンジンもボディも足回りも、ただ曲がることだけに集中出来るバランスを持ったクルマです。
*シフト
軽快に操作出来ますが、Hパターンの動きが少し遊びが大きいように感じました。
これは私のNAがカチッカチッと遊びのない操作感のせいかもしれません。NA〜NDがすべて操作感が異なるのが不思議に思っているところです。ノブの違いや個体差もあると思います。
○その他操作系
ハンドルやシフトから各種ペダル、エアコンスイッチまで、操作感はすべて軽快です。車の動きが軽快なので全体の統一感が取れているのでしょうか。人によっては安っぽいと思うかもしれません。
○足
オルガン式のアクセルペダルは疲れにくくて良いです。ヒール&トゥは慣れでしょうか。
○体
ドライビングポジションは、マツダが人間工学に基づいたドライバー中心のクルマ作りを掲げているだけあって自然なポジションが純正の状態で取れます。調整幅も大きいので多くの方が理想の姿勢をつくりやすいのではないでしょうか。
NAはシート交換、ステアリング位置調整(純正は位置調整機能無し)でやっと満足するポジションになったのですが、それが最初から用意されているNDには嫉妬です。
シート自体も乗って100kmも走らないうちに『これ腰に来そう・・・』と思った割には、何事もなく走り切れてしまいました。意外と疲れないな、という印象です。
○総評
NA〜Cを乗り比べたときは、それぞれ方向性が若干違っていて、それぞれに良いと考えていました。
ただ、NDは確かにNA/Bの延長線上に感じられて、その上で四半世紀分の進化を体感出来ました。
安全性能、環境性能が年々厳しくなっていく時代において、約25年前のクルマと同じベクトルを守れることは素晴らしいと思いました。
安全装備・衝突安全性や環境性能は現代の水準に達していて、かつ歴代ロードスターでトップクラス(!)の楽しさを誇るNDロードスター。NAやNBを”あえて”選ぶ理由がなければ私もNDを買うと思います。
ただ、その”あえて”は私の中に確かにあって、NAを乗り続けたいと思いました。
車内に漂う油のにおいを始め、全身で感じられるクルマというもの、抽象的ですが雰囲気がNAにはあります。
でもそれば時間がつくったもの。いつかNDがそういった存在になるものだと思っています。
NDは素晴らしいクルマです。
ちなみに燃費は23.1km/lでした。
※ざっくり4割高速、6割ワインディング
*出来るだけ不快に思われる方がないよう書きましたが、ビールも4本目(5本目か?)の為、乱文となっております。寛容なお気持ちでご容赦頂ければと思います。
【追記】
'16.12.24 ロードスターRF試乗
愛車の整備でディーラーへ行ったら置いてありました。視線を向けるとお姉さんが『乗ります?』と察してくれたので試乗に。乗る気配のないお姉さんに『いってらっしゃい!』と見送られたので1人で好きなコースで乗ることができました。さすがオートザムです。
ナッパレザーの内装だったのでグレードはVSでしょうか。試乗前に気になっていたのは2リッターエンジンとリトラクタブルルーフの重量増が走りにどう影響しているか。
結論から言えば、それらのネガはあまり感じませんでした。幌と比べて安定志向に感じられ、静粛性も良いので快適でした。1人で乗るなら幌、2人でならRFでしょうか。RFはNCに近いように感じました。
タルガトップは物足りないです!
髪の長い女性が乗るには良いかもしれません。
自分が買うなら1.5幌ですね。
後半面倒になって雑な追記でした。