
第一条約は
戦地にある軍隊の傷者及び病者の状態の改善に関する1949年8月12日のジュネーブ条約
といいます。
日本が締結したのは独立後の昭和28年10月21日です。
摘要される戦争とはなにかというと
第2条に
”2以上の締約国の間に生ずるすべての宣言された戦争又はその他の武力紛争の場合について、当該締約国の一が戦争状態を承認するとし
ないとを問わず、適用する”
とあります。
宣戦布告された戦争だけが対象というわけではないのですね。
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第一条約の中で一番肝心なのは
第12条と13条で、
第12条は
”(第13条)に掲げる軍隊の構成員及びその他の者で、傷者又は病者であるものは、すべての場合において、尊重し、且つ、保護しなければならない。”
第13条は
”この条約は、次の部類に属する傷者及び病者に適用する。”
該当者は以下の6種類の者
(1)正規軍の構成員および正規軍と同じ指揮命令系統で動く民兵隊や義勇隊の構成員
(2)正規軍ではないが、以下の4つの条件を満たす民兵隊や義勇隊の構成員
(a) 部下について責任を負う一人の者が指揮していること。
(b) 遠方から認識することができる固着の特殊標章を有すること。
(c) 公然と武器を携行していること
(d) 戦争の法規及び慣例に従って行動していること。
(3)相手側が承認していない政府の軍の構成員
(4)軍隊に随伴する業者、記者、労務隊員。但し随伴する軍隊の認可を受けている場合に限る。
(5)紛争当事国の商船の乗組員及び民間航空機の乗組員で、他の国際法で一層有利な待遇とならない者
(6)占領されていない領域の住民で、敵の接近に当り、正規の軍隊を編成する時日がなく、侵入する軍隊に抵抗するために自発的に武器を執る者。但しそれらの者が公然と武器を携行し且つ戦争の法規及び慣例を尊重する場合に限る。
と、傷病兵士等は保護されるのですが、
傷病していれば誰でも第一条約による保護を受けられるわけではなく「統率された」「兵士である」ことが即時に解るようでなければなりません。
これを守らぬ者、例えば武器を隠し持った民間人が、いきなり敵兵に対して武器を向けたことで撃たれて負傷した場合、敵兵側には保護義務が無く放置されるか、あるいはトドメを刺されるということになりかねません。
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第12条と第13条の規定により敵側に保護された傷病兵士等は第14条によって「捕虜」となります。
第14条
”交戦国の傷者及び病者で敵の権力内に陥ったものは、捕虜となるものとし、また、捕虜に関する国際法の規定が、それらの者に適用される”
ということですので、上記の「武器を隠し持った民間人」は第一条約によって自動的に捕虜になることはできません。
第四条約による保護もありません。
やはり放置かトドメですね。
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また、他国との先頭で無い場合、例えば内紛についてはどうかというと、ちゃんと言及していて、
第3条に
”国際的性質を有しない武力紛争の場合には、各紛争当事者は、少くとも次の規定を適用しなければならない”
として敵対行為に直接に参加しない者(中略)は、すべての場合において、(中略)不利な差別をしないで人道的に待遇しなければならない”と規定されています。
具体的には
暴行、殺人、傷害、虐待及び拷問すること。人質とすること。侮辱的で体面を汚す待遇。裁判によらない判決の言渡及び刑の執行。
はしてはいけないということですし、傷傷者は収容して看護しなければならないとしています。
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そういえば、傷病者本人が「敵に無様な姿を見られるなら死んだほうがまし」と言えるのか?という疑問が生じますが、ちゃんとそれも想定してあって
第7条に
”傷者、病者、(中略)は、いかなる場合にも、この条約(中略)により保障される権利を(中略)放棄することができない”
とあります。
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続く・・・
Posted at 2011/01/09 03:07:53 | |
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