決めたっ!決断は後者を選択!PCCBの威力、繋がるコーナーはLSDの実力を見せてもらおうじゃないのっ!
・・・・・・
―2年前―
タケシは同じコースを埼金団のツーリングで訪れていた。当時タケシは銀色の986S Tipに乗っていた。先頭を走る黄色素僕2.7 5Fを駆るヨウ団長を追いかけるように、ツーリングでは団長の後を走ることが多い。
コーナー手前では直線部分でヨウ団長は二回ブレーキランプを点灯させる。
五回ならばアイシテルのサインなのだが・・・
一回目のブレーキランプの点灯でコーナーのRがわかるよう後方にシグナルを出してくれていた。
短ければ高速コーナー、長ければヘアピンだ。とか・・
二回目の点灯は、思いっきりのブレーキなので、後方に位置する車は、安全マージンをとりながらライントレースでコーナーをクリアできるのだ。
また、落ち着いて団長車の動きを観察できる人気のギャラリーポジションでもあるのだ。それもあるが何といっても、この団体ではツーリング中の事故が皆無なことも自慢であるのだ。
その時のツーリングで、この段差を駆け抜ける団長車の動きが判らなかったタケシは休憩時にヨウ団長に話しかけた。
エラの張ったごつい体、ポマード付きのリーゼント、鋭い眼光、赤黒の横縞シャツではあるが、話し方は少しオカマっぽいのが特徴だった。
「アーラ、タケシさ~ん・・今日はどうでしたか?」
「ヨウさん、一発目の直線からはいる右コーナー、掘れた段差がありましたよね。あそこって、いきなり団長向き変わってヤバかったっすね。」
「フフフ・・そーぉよ。私だってびっくりしたわよ。
あれわねぇ、段差の直前で思いっきりブレーキングするのよ~。
ほんで、段差入る直前でブレーキを抜くのよ。
そうすると、車のノーズの高さはそのままで、サスが伸びるから段差のくぼみに柔らかく入れるでしょ。
でもそのときは、サスが伸びきってあまりタイヤのグリップが良くないから、車の向きを変えるチャンスなの。
だーかーらっ♪段差に入るときは少し舵当てて、リヤタイヤがくぼみに入る寸前にさらにブレーキをチョンがけするの。
あとはアクセルひと踏みね。そうすれば、一瞬で向きが変わってダッシュできるのーよー。」
と楽しそうな笑顔を見せるヨウ団長・・このひと、ちょっとやばいわ・・・・
「全く理解できません!!」キッパリとタケシは不機嫌さを装う
。
「タケシさん、あそこは段差手前のブレーキングがセオリーだわよ。」としっかりと目を見据えて話しかけたのだった。
いつもの柔和な表情に戻り、愛想を崩しながら、薄笑いを浮かべて、
「私も飛び越えてのブレーキも考えたんだけどね・・ブレーキする距離としては短いから難しすぎるわぁ~・・あっはっはっ!完全にじこ~る~わ~よ~♪」レースの縁取りピンクのタオルハンカチを口にあてて、豪快な笑い声。周囲に響き、そのうち雑談の中に紛れてしまった。
・・・・・・さてさて、話は今に戻って・・・・・
ブレーキングは段差を飛び越えてからの一瞬に賭ける。
4輪がフルバンプ状態は且つ最大グリップ時でもある。
瞬速のブレーキを一発で決め、少し車に舵角さえつけば、ガードレール直前でもアクセルONでパワーオーバーステア状態になるばずだっ!・・マジか(汗)
「ふ・ん!」口を真一文字に結び、次の動作を迎えるタケシ。
エンジン回転数は高めにギヤはセレクトし段差をそのままの速度で進入・・
ロードノイズは一瞬消えた・・
タイヤの影とタイヤそのものが離れるっ・・・フウッ・・
ダウッ!!ザスッ!
着地と同時にフルブレーキンッ!!グォリグォリガガ!ここまでは絶対ハンドルは正立だっ!
「げふっ!内臓がとびだしそうだぜっ!」
ギリギリとシートベルトに圧迫される。
急激なアクセル解放は、次のブレーキ操作開始をこのボクスターは予見、ブレーキプレチャージ機能が働く。
ABSの働きでここからは舵角をあてても車の向きは変わる。
しかし、なんと、一瞬のABS動作音だけで急激に減速、
同時にコーナリングフォースが立ち上がるっ!くくっ・・ノーズは綺麗に右方向のインに向かっていく・・・
「いけるっ!」アクセルオン!! ギャッ!
「オレのシミュレートでは左側リヤタイヤは、ガードレールギリギリなので路肩の雨交じりの土埃が味方し、パワーでリヤスライドを誘発!フロントタイヤは花道に乗っかってるからグリップさえ約束されていれば、この勝負は勝ったも同然!」ニヤリ!
っとその瞬間!「う・・うん??」
「あ・アクセルが・・ふ・フケナイ・・」
-続く-