高級ブランドが今、飛ぶように売れる!
ロレックス、メルセデス、バカラ、ロエベ…
どうやら円高の恩恵だけではないらしい。
「ストレス解消消費」は「もったいない」の表れか?
売れる!1000万円の高級時計
注文殺到!4000万円超の輸入車
内閣府の発表によると、今年7~9月期の実質国内総生産(GDP)の速報値は、前期比1.5%増で4四半期ぶりのプラス成長、年率換算では6.0%という高い水準となりました。この数字を見る限り、3月11日の東日本大震災で深刻な打撃を受けた日本経済は予想以上に早いスピードで回復しているようです。
とはいえ、普段の生活で景気の回復を実感することはなかなか難しいとは思いますが、一方でこの数字を裏付けるかのように、今、ブランド品をはじめとする高級商材が飛ぶように売れるという現象が起こっているのです。
日本百貨店協会の全国百貨店売上概況によると、美術品、宝飾品、貴金属の全国の百貨店での売上高も、6月に52ヵ月ぶりにプラスに転じた後、7月は5.3%の増。さらに日経平均が8000円台となった8月も、同4.8%増と高水準の伸びが続いています。
たとえば、東京の三越日本橋店では200万円以上の高級時計が前年同月の2倍を売り上げており、100万円台の商品も同65%増。松坂屋名古屋店でも、1000万円以上の高級時計が売れているそうです。
また、三越伊勢丹HDや高島屋でも高級品の動きがよく「100万円以上もするロレックスやフランク・ミュラー、高級グラスのバカラが飛ぶように売れている」(大手百貨店関係者)という話もあります。
高級商材が売れているのは百貨店だけではありません。
8月の新規登録輸入車台数では、BMWが2.7%増、メルセデスベンツは7.0%増、アウディは35.5%増と、主要な輸入車は軒並み前期比増となっています。そのなかでも1台数千万円もする超高級車が堅調な売れ行きを見せています。
伊ランボルギーニは、最新モデルの「アヴェンタドール」を今年3月に発売しましたが、4100万2500円という高額にもかかわらず予約注文が殺到し、現在は納車まで1年半待ちという人気ぶりです。 F1で知られる英マクラーレン・オートモーティブも「MP4-12C」を発表、2790万円で年間100台程度を日本で販売する予定ですが、すでに55台の注文が入っているそうです。
米コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーは、2011年の日本国内の高級商材売上高は2%拡大する見通しを立てました。高級商材市場が拡大するのは、売上減少が始まった2007年以来4年ぶりのことです。
「円高だから」なのか。
人々が今、高級商材に走る理由
では、なぜ今、このように高級商材が売れているのでしょうか。たしかに、今年夏以降の1ドル80円を切るほどの円高で、輸入品の割安感が広まったことは要因の一つでしょう。
しかし、円高だけが原因なのでしょうか。
前回のお話のなかで2つのドラマの視聴率を例に挙げ、視聴率に差がついた原因は「時代の感覚に合ったストーリーとコンテクスト(文脈)」にあると申し上げました。今回ご紹介した高級商材市場の拡大の事例にも同じことが言えると思います。
そもそも、人の心を動かす「ストーリー」や「コンテクスト」とは何でしょうか? どうしたらそれを見つけられるのでしょうか? それを知るにはまず、実際に起こっている現象からその時代の雰囲気を分析することが重要です。
2011年の最大のできごとは、はやり何といっても東日本大震災でしょう。
地震発生直後から繁華街のネオンが消え、電車の運休による帰宅への不安から夜の人通りもまばらになり、停電によって休業を余儀なくされる店舗が続出しました。イベントやコンサートは節電を理由に次々中止され、多くの学校で卒業式や入学式が行われませんでした。連日の被災地の過酷な現実と放射汚染の不安を伝える報道、余震に加えて日本各地で頻発する新たな地震に人々の消費マインドは大きく冷え込みました。
そして、震災から9ヵ月が経ち、最近行った消費者インタビューの中からある共通の興味深いキーワードが見えてきたのです。それは「ストレス解消」「がんばった自分へのご褒美」というコメントです。
震災により、私たちは放射能汚染や節電の影響で極端に不自由な生活を強いられ、先の見えない不安から計り知れないくらいの大きなストレスを、長期間にわたって与え続けられてきました。
そのストレスにさらに拍車をかけたのが、震災直後に社会全体を覆っていた過剰なまでの自粛と謹慎の空気です。ひとたび「贅沢な消費行動」「売らんがための販促活動」とみなされると、「恥を知れ」「非国民」などといった罵詈雑言が「不謹慎」の大義名分の下、ソーシャルメディアなどを通じて容赦なく個人や企業、メディアに投げつけられました。そのことが人々の消費行動や企業の経済活動を厳しく監視し、委縮させました。
そして、被災地の復興が徐々に進みつつある今、人々は「抑圧された生活で溜まったストレスを思いきり発散したい」「あれだけがんばった自分にご褒美をあげてもいいだろう」という思いから今を楽しみたいという空気が広がり、そのことが消費マインドを大きく押し上げたというストーリーが考えられるのです。
「ストレス解消消費」の目的は
ストレス解消だけなのか
われわれが最近実施したいくつかの購買行動に関する調査でも、参加した消費者に共通するキーワードとして「ストレス解消消費」の顕在化傾向が強く読み取れました。
それはアパレル業界の売れ筋商品の傾向にも表れています。今年の秋冬のファッショントレンドは、ここ最近主流だったモノトーンに替わり、さまざまな色目の商品が主力となっていて、ファッションを楽しむという動きが鮮明になっているそうです。
スペインのラグジュアリーレザーブランドのロエベも、今年は「アマソナ」など定番のバックを中心に売り上げが2桁増と好調で、これまでのベーシックな定番カラーに加え、グリーンやパープルといったカラフルな色がベストセラーに加わってきているといいます。同社では、震災後、特にこういった「カラフル=気分が上がる」バッグに対する需要が強くなっていると分析しています。
とはいえ、ヨーロッパの債務危機、タイの洪水など世界的な景気低迷につながる要因がいくつもあるなか、こうした堅調消費のトレンドが今後どのくらい持続するのかは非常に興味深いところです。
一方、「持続」というキーワードから「ストレス解消消費」を考えてみると、ストレス解消目的以外のコンテクストが見えてきます。
私は震災後のキーワードの一つとして「サステイナビリティ(持続可能性)」というキーワードに注目しています。
震災の前までは、企業が演出した流行やトレンドを追いかけて、まだ十分使えるにもかかわらず服やバック、アクセサリーなどをシーズンごとにニューモデルやニューデザインに買い替えることが当たり前のように行われてきました。ところが震災をきっかけに、多くの消費者はこの使い捨ての「もったいない」ライフスタイルが永久的、持続的でないことに改めて気づいたのです。
流行に左右される短命なブランド品をシーズンごとに次々と買い替えるよりも、本当に高いクオリティーを持つ高級ブランド製品を10年、20年と使い続けることによる持続性の大切さを実感し、長く使うことによる生涯価値としてのコストパフォーマンスの優位性を認めはじめたのではないでしょうか。
確かに永く使えるものは良いですよね。
あとブランド!ブランド!って主張しないもの
これみよがしのブランド物って今となっちゃぁ
恥ですしね。
まぁ、いつ食うのにも困る状況になるかも知れない現在・・・
先が判らないから時代だからこそ消費しちゃうのかも知れんけど、倹約は美徳ってのも忘れないようにしないと♪
Posted at 2012/02/23 12:02:17 | |
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