暴風雪で不明の親子、父親は死亡 湧別、長女は意識あり
(03/03 08:48、03/03 12:14 更新)
【湧別】2日午後4時ごろ、オホーツク管内湧別町の漁師岡田幹男さん(53)と長女の小学3年夏音さん(9)が、暴風雪の中を車で出掛け行方不明となった。
遠軽署員や消防隊員らが2日に続き3日午前も町内の一帯を捜索、同7時すぎ、車外の牧場敷地内で雪に埋もれていた2人を発見し、病院に運んだ。
岡田さんは死亡が確認された。夏音さんは意識があり、手当てを受けたが命に別条はない。
遠軽署によると、2人は知人宅を訪ねるため外出した。
「連絡が取れない」との通報を受け、捜していた消防隊員らが2日午後9時35分ごろ、自宅から約500メートル離れた町道に止めてあった岡田さんの軽トラックを発見した。
<道内暴風雪>湧別の岡田さん、体温で娘守り抜く
(03/04 10:45、03/04 14:03 更新)
【湧別】オホーツク海側を中心に吹き荒れた記録的な暴風雪による8人の犠牲者。
オホーツク管内湧別町東の道道で車が立ち往生し、行方が分からなくなった岡田幹男さん(53)は、長女の夏音さん(9)を抱きかかえるようにして力尽きていた。
子煩悩な父親は猛吹雪の中、最期のぬくもりで娘の命を守り抜いた。
「車が雪にはまって動けない」。
2日午後3時半ごろ、岡田さんから親類に電話が入った。
カキやホタテの養殖を手がける岡田さんは一昨年、妻と死別してから夏音さんと2人暮らし。
仕事の間はしばしば預けていた湧別児童センターに夏音さんを車で迎えに行き、自宅に戻る途中に暴風雪に襲われた。
岡田さんは、道路脇に見覚えのあるシラカバの木を見つけ、知人宅が近いと判断したらしい。
午後4時ごろ、親類のもとに岡田さんから
「(今いる)場所は(知人宅の近くに)間違いない。(車を降りて)歩いていく」と電話があったきり、連絡が途絶えた。
地元消防が午後9時半ごろ、岡田さんの車を発見。
翌3日朝になって、警察官が車から約300メートル離れた農業用倉庫の前で2人を見つけ、「大丈夫か」と声を掛けたが、うつぶせの岡田さんから返事はなく、その下で夏音さんが声を上げた。
岡田さんから最後の電話を受けた親類は「(岡田さんは)娘さんがかわいくて仕方ないようで、娘も『お父さん、お父さん』とよく言っていた。
『車に残れ』と言っていれば…」と悔やんだ。
命かけ娘を温めた 10時間以上、抱きしめ…
2013.3.4 23:58
北海道湧(ゆう)別(べつ)町で暴風雪の中、凍死した同町の漁師、岡田幹男さん(53)は、長女の夏(なつ)音(ね)さん(9)の体の下に両手を回し、娘の体を守るような状態で発見されたことが4日、分かった。
夏音さんは低体温症だが命に別条はない。
父親が10時間以上も暴風雪から守り、体温で温めたことが娘の命を救った。
新たに1人の死亡が確認され、2日からの道内の暴風雪による死者は計9人になった。
9人の命を奪った今回の暴風雪は、強風によって雪が巻き上げられ視界が奪われる「ホワイトアウト」という現象が起きた可能性があるという。
岡田さんは3日朝、車から約300メートル離れた農業用倉庫前で、あおむけに横たわった夏音さんに覆いかぶさり、凍死しているのが見つかった。
両手を夏音さんの体の下に回して抱きしめ、寒さから守るような状態だった。
捜査関係者によると、発見時に岡田さんはすでに意識がなく、岡田さんの下にいた夏音さんはうめき声を上げ、その後泣き出したという。
地元消防団員は
「体温を分け与えるようにかぶさっていた。夏音さんが苦しくないよう、呼吸する隙間を空けたままの姿勢だった」
と話す。
岡田さんは、車の燃料がなくなり友人の家まで歩いて行くと知人に電話。
その後、行方不明となり、知人が現場最寄りの地元消防に通報した。
だが、隊員が出払っていて、さらに約7キロ離れた場所の他の救助隊が出動していた。
低体温症に詳しい苫小牧東病院(北海道苫小牧市)の船木上(かず)総(さ)副院長は「風雪から守られたこと、父親の体温に保温効果があったことが良かった。
亡くなると体温は下がっていくので、もう少し救助が遅れたら娘さんも危険だった」と話す。
暴風雪:命賭し愛娘守る…風を背に10時間抱き続け
北海道を襲った暴風雪。湧別町で行方不明になった父親は、たった一人の娘を守ろうと、体で覆いかぶさるように約10時間に
わたって抱きしめ続け、命を落とした。周囲の雪を猛烈な勢いで吹き上げる地吹雪は夜通し続き、住民らは改めて自然の猛威に
体を震わせた。【遠藤修平、伊藤直孝】
「大丈夫か」。
3日午前7時すぎ、湧別町東の牧場用倉庫前で、雪の中に黒色の上着の一部を見つけた道警遠軽署員が大声を出した。
雪を払いのけると、同町の漁師、岡田幹男さん(53)が小学3年の長女夏音(なつね)さん(9)を両手で抱きかかえながら、うつぶせに倒れているのが見つかり、その胸の下にスキーウエア姿の夏音さんが泣きながら震えていた。
岡田さんは風が吹いていた北側に背を向けていたといい、夏音さんは低体温症ながら命に別条はなかったが、岡田さんは搬送先の病院で凍死が確認された。
同署によると、岡田さんは2日午後に夏音さんと一緒に知人宅に向かったが、同4時ごろ、携帯電話で「車が雪にはまり動けない。車を捨てて歩いて行く」と連絡があった。
その後、連絡が取れなくなった。
車は同9時半ごろ、自宅から約1.5キロ西の道路脇の雪山に突っ込んだ状態で発見され、そこから約300メートル先の倉庫の前で2人は見つかった。
倉庫の裏には民家があったが、気づかなかったとみられる。
知人らによると、岡田さんは2年前に妻を亡くし、夏音さんと2人暮らし。
近所の男性(51)は「一人娘をとにかく可愛がっていた。守りたい一心だったのでは」と話す。
別の知人によると、夏音さんは病院で「お父さんはどうなったんですか」としきりに気にする様子だったという。
湧別漁業協同組合の常務理事、雲津幸治さん(57)は「岡田さんは勉強会にも積極的に参加し、漁協の中心的存在だった」と話す。
雲津さん自身も2日午後1時半ごろ、車が雪山で動けなくなり、車を捨て、カーナビの位置情報と信号機の光だけを頼りに約300メートル離れた民家に助けを求めたといい、「50年以上住んでいるが、こんな吹雪は初めて」と顔をこわばらせた。
父親の姿 教えてくれた 岡田さん葬儀しめやかに 湧別
(03/06 09:49)
【湧別、中標津】暴風雪の中、娘を抱きかかえるようにして亡くなったオホーツク管内湧別町東の漁業岡田幹男さん(53)の通夜が5日、同町の集会施設で営まれ、約500人が故人をしのんだ。
読経を終えた僧侶が「親の本来の姿を私たちに教えてくれた」と語ると、もらい泣きする参列者もいた。
岡田さんの漁業者仲間(63)は「温厚な男だったけど、(娘の)夏音ちゃんといる時はもっと優しい目をしていたのが印象に残っている」と振り返り、原田雅美町長は「子供をかばって亡くなったと聞いて涙が流れた。本当の父親だった」と語った。
娘守った父に別れ 北海道暴風雪、知人悔やむ
2013.3.5 22:19
北海道湧別町で暴風雪の中、長女を抱きかかえたまま凍死した漁師、岡田幹男さん(53)の通夜が5日、同町で営まれた。
2人暮らしで、子煩悩だった生前の様子を知る参列者は悲しみに暮れた。
助けを求める電話を受けた親族や、出掛けるのを見送った知人は不慮の死を悔やんだ。
知人らによると、岡田さんは平成23年、妻と死別してから長女の小学3年夏音さん(9)と2人暮らし。仲良く買い物をしたり、岡田さんが得意な卓球を一緒に楽しんだりしていた。
ひな祭りのケーキも予約していたという。
5日夜、通夜に参列した漁協の男性職員(26)は「夏音さんを乗せて帰宅途中の岡田さんに、雪で動かなくなった車を押してもらった」と話し、親切な人柄をしのんだ。原田雅美湧別町長(71)も「残念でならない。
本当の父親の姿を見せてもらった」と涙を浮かべた。
<道内暴風雪>「命守ったお父さん、誇りに思って」 湧別の残された娘に全国から激励
(03/07 09:45)
【湧別】暴風雪の中、オホーツク管内湧別町で亡くなった同町東の漁業岡田幹男さん(53)が抱きかかえるようにして守った長女、夏音さん(9)を励ますメールや電話などが、全国から湧別町に寄せられている。
町には6日までに、東京や大阪のほか海外在留邦人らから電子メールが24件、電話が約70件あった。支援のためとして、現金10万円と3万円をそれぞれ添えた手紙も届いた。
メールや手紙には「命をかけて自分を守ってくれた父親がいたことを心の支え、誇りとしてこれからの人生を進むよう遠くから祈っています」「日本一の父を誇りに思ってください。
決して一人にはならないですよ。日本全国が応援しています」などと、夏音さんを励ます文面がつづられている。
原田雅美町長は
「岡田さんを親の代表のように思うし、その行動が全国で共感を呼んでいるのだろう。送られた善意については、夏音さんや関係者に届けたい」
と話している。
Posted at 2013/03/07 13:19:49 | |
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