昨年末にユニフォミティ不良で検査に出していたタイヤの検査結果が返ってきました。
詳細は
その1 その2 その3 こちらを参照ください。
出したタイヤはとあるメーカーのフラッグシップモデル新品のプレミアムスポーツタイヤでした。
検査に出してから回答まで8ヶ月ほど掛かりました。少し遅かったのですっかり忘れていました。
検査結果ですが、報告書を見せることは出来るのですが、渡すことは出来ない?との事でしたので見ながらの口頭報告でした。
バーデンでは、ユニフォミティ不良と思われるタイヤが有った時は、出来るだけ精度の高い1Pホイールに組み直して、再測定をしてから検査に出しています。
ホイールの精度が悪いとタイヤの正確なユニフォミティが測定出来ないのです。
1本目です。タイヤ単体の1次RFVが140Nです。
RFVのTIR(ピークトゥピーク)が165Nでした。
1次RFV以外は悪くは無いようです。グラフの見方ですが、青い線がホイール縦ブレの平均です。黄色い線がタイヤのユニフォミティをフーリエ変換したRFV1次波形です。ピンクの線がタイヤRFVのTIR(ピークトゥピーク)です。
グラフ目盛ですが、真ん中が0で上下が振れ、左右が角度です。太い目盛で45度で端から端までで360度(1回転)です。直線に近い方がより剛性的真円度が高いです。
2本目です。タイヤ単体の1次RFVは85Nです。
RFVのTIR(ピークトゥピーク)が125Nでした。2次RFVが70Nといまいちです。
2次RFVが今一つです。ピンクの波形が2回ピークを表しています。
メーカーの検査結果と比べてみます。大体合致していると思います。メーカーさんは2次RFVの測定結果が無かったので何とも言えませんがTIRがほぼ同じなので数値的には当店のユニフォミティテスター
GSP9700も信用できると思います。RRO(ラジアルランナウト)とは、無負荷状態の縦ブレです。RROとRFVは完全な相関関係は無いので、職人技でいくら見た目の位相合わせやタイヤの切削をしてもシミー(微振動)が無くならない場合が有りますので注意が必要です。
肝心な検査結果ですが、不良品ではなく、ユニフォミティ的にはタイヤメーカーの選別規格内とのことでした。RFVの上限値を聞いたのですが社内秘との事でした。報告書の文面からは150N近辺ではないかと思います。この数値は少し大きいように思いますが、このタイヤは安価で販売されている場合が多いので妥当かと感じました。(廉価なアジアンタイヤ等は200N程度は普通です)
一般的にRFV1次が100Nを超えるとジャイロスコピックプリセッション作用のためにハンドルシミーが発生しやすくなりますので、100N以下に抑えたい所ですが、タイヤは未だ手作業の部分も多く非常に公差の大きい製品なので、各タイヤメーカーはユニフォミティの上限値を決めて基本的に全数検査しています。上限値については基本的に社外秘のようです。上限値により歩留りが決まるので当然価格に反映されます。
同じように自動車メーカーもユニフォミティの上限値(こちらはホイールとタイヤのセット品)が有るのですが、国内メーカーは社外秘です。輸入車では上限値を公表している場合が多く、過去に聞いた限りではベントレーが85N、ベンツ、BMW100N、アウディ120N以下等でした。
まとめると
・今回のタイヤは、車種によりシミーが出るが公差の範囲内の為に良品判定
・公差の範囲は社外秘のため非公表
・廉価な物は公差の範囲が大きいために、所謂当たり外れが大きい
・HUNTER GSP9700の低速ユニフォミティ測定精度は信頼性が高い
・ジャイロスコピックプリセッション作用については又の機会に。。。。
メーカー様この度はご協力ありがとうございました。
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ユニフォミティマッチング | 日記
Posted at
2013/09/04 17:43:19