今回もブログを見て高速シミー(高速域の微振動)でお悩みのオーナー様が来店されました。
症状は110km/h付近でのハンドルのブレで、重量バランスを取り直して良くなったがまだ多少残っている感じが有るとの事でした。フィーリング面でさらなる改善がご希望でした。
微振動は一度気になると我慢できなくなる場合が多いので何とか頑張って改善したいと思います。
車種はポルシェ ケイマンです。 ホイールは純正18インチ タイヤはミシュランパイロットスーパースポーツ(PSS)です。
ハンドル振れの原因を探るべく、ユニフォミティテスター
GSP9700にセットして重量バランスの誤差とユニフォミティを測定します。
測定結果です。重量バランスを取り直したはずですが20~30g程度狂っています。
振動に一番関係するRFVですが30Nと50Nと悪くは有りません。通常の車両では100N以下で有れば問題ない場合が多いですが、高性能車の場合は80N以下でフロントタイヤの場合は40N以下が望ましいです。100N(ニュートン)で荷重された状態での振れが0.6mm程度となります。
この数値でシミーが出る車両は高性能車の証ですが、ユニフォミティの良いタイヤを装着しないと本来の性能が発揮できません。
タイヤがユニフォミティ的に大変優秀なPSSなのですが、組付けにコツが要りますので
ユニフォミティマッチングを実施してRFV最小化を目指します。
ホイール単体にしてGSP9700にセットします。ホイール単体の重量バランス誤差は27gでした。この数字を覚えておいてください。バーデンがPSSを一押しする理由が分かります。
ホイールのビードシート部のランナウト(振れ)を測定します。 縦ブレは0.05mmと優秀です。
測定後一番凹んでいる部分(ローポイント)にマーキングします。
ユニフォミティを向上させる秘密のテクニックを使ってタイヤを組み込みます。
再びGSP9700にセットしてユニフォミティを測定します。
測定結果です。組付けた状態でRFVが55Nと今一つです。タイヤ単体のRFVピーク部分とホイールのローポイントが180度ずれています。
この状態の重量バランスの狂いです。ホイール単体の場合の重量バランスの狂いとほとんど変わりません。タイヤを組んだことがある人は分かると思いますが驚異的な数値です。
タイヤのRFVピーク部分にマーキングします。緑のテープがタイヤの一番縦剛性が高い部分で青のテープがホイールの寸法的に一番凹んでいる部分となります。
一旦タイヤのビードを落として位相組換えをします。 組換え後再びビードを正確に篏合させる秘密のテクニックを使用して組付けます。
GSP9700にセットしてユニフォミティを測定します。
測定結果です。55Nから15NとRFVが激減しています。数値としては走行状態の振れが0.33mmから0.09mmに改善した事に成ります。数値的には僅かですが真円度はかなり良くなっていますので官能評価が高い車両やドライバーは体感出来ると思います。
タイヤを180度組み替えた時の重量バランスです。ホイール単体時、1度目のタイヤ装着時と重量バランスはほとんど変化していません。この事からバランスウエイトの量とタイヤの剛性的真円度(RFV)には何の関係もない事が分かると思います。
良くバランスウエイトを最小化する事が最良だとおっしゃる方がいますが現在では時代遅れの考え方です。
RFVを最小化してから1g単位で重量バランスを取ります。 これは剛性的真円度は組み合わせでしか変えられませんが、重量バランスは後から取ることが可能な為です。当たり前ですが重量より真円度を優先させます。
ホイールの当たり面も汚れていると取付時に誤差が出ますのでクリーニングします。
マイブーム中のコパスリップでグリスアップします。
RFV1次ピークを上死点にして装着します。
今回はフロント2本のみの施工でした。
最初の状態からはRFVがほぼ半減しているのでシミーは無くなると思いますが、無くならない場合はタイヤ以外が原因と思われます。
ミシュランPSSは基本的に
C3M製法で作られています。この製法は特に重量のバランスが非常に良いのです。今回の結果からもタイヤ単体の重量バランスがほぼゼロだと思われます。タイヤ単体の重量バランスが良いと高速ユニフォミティが良くなりますのでバーデンではPSSが一押しなのです。この当たりの理屈はスーパー長文になるのでまたの機会に書きたいと思います。
オーナー様シミーは改善したでしょうか?
今回は遠方よりご来店ありがとうございました。
Posted at 2013/03/14 22:07:58 | |
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ユニフォミティマッチング | 日記