
改めて考えてみる。
リアルとフィクションの境界線って
一体どこにあるんだろうか。
「そんなモン簡単だろう
そんなことすら判別がつかないから
こじらせたオタクは性質が悪いんだ」
私もどこかでそう思っていたし、自分自身が当のオタクであるがゆえに
できるだけ “そうならないよう” に努めてきた節もある。
もっと言えば、“聖地巡礼”と称してはしゃぐオタクたちの姿を
どこか冷めた目で見ていたようにも思う。
さて そんな私なのでありますが、今回は少々思うことがあり
7/27~28の間、
西宮(兵庫県)と
宇治(京都府)を訪ねることになりました。
7/26(金)の勤務明け早々に帰宅して仮眠をとり、日付を越えた深夜3:00頃に起床。
バッグひとつだけを掴み、一路関西を目指すべく愛車のハンドルを握ります。
思えば、ここまで大規模な車での遠出は
2013年の広島遠征以来。
関西圏といえば修学旅行の定番であり、私も中学生のときに当該地域を訪れたことがありますが
そのときは
公共交通機関を利用したし、旅行の変なテンションで
移動のしんどさとは無縁だった。
大人になり会社の出張でも数回訪れているが、新幹線を利用すれば楽なモンで
九州からでも
体感距離を“近く”感じてしまうから不思議である。
え? じゃあ今回も新幹線を使えば良いじゃないか とな?
いやいや、ここみんカラですし。
申し訳程度でもクルマに絡めとかないと怒られちゃうでしょ。
・・・ってのは某Y興行の社長ばりのキレキレの冗談であって
新幹線代と高速料金(燃料代含む)を比較すると、後者のほうが安いのですよ。
てなわけで最寄の行橋ICから高速に乗り
まずは1時間もかからないうちに関門海峡を渡り、あっけなく九州を離脱します。
ここでまず
「お、いけるやん」なんて思いがちです。広島旅行のときにも思いました。
ですが、ここからが一番の難関。
ただでさえ単調な運転になりがちな高速道路なことに加え、まず山口県が長い。
前回は行きも帰りも早々に山口県内で心を折られてしまい・・・。
目的地がその隣の広島県だったから良かったものの、
今回はそこから更に4県ほど先がありますのでね。 わー大変だー(死んだ魚の目)
とまぁ、同乗者のいない孤独なドMプレイのような行程ですが
小休止を挟みつつ、
7/27(土)の10:30頃には合流地点に到着することができました。
現地で出迎えてくれたのは、
ノヴさん(京都のオタク)と、
おぷてーさん(愛知のオタク)。
おぷてーさんとは半年ぶり、
ノヴさんとはなんと6年ぶりの再会です。
久しぶりの再開にわーわー言いながら、ひとまずはこの3人でもって
「涼宮ハルヒの憂鬱」の舞台となった西宮を散策します。
とはいえ時間的な制約もあったので、ガッツリではなくお手軽程度のもんですが。
《西宮市フレンテホール展示場の模様》
《作中に登場する喫茶店のモデルとなったお店(移転後)》
《作中で頻繁に登場する西宮北口駅/甲陽園駅》
《作中でハルヒたちが通う“北高”のモデルとなった学校》
「涼宮ハルヒの憂鬱」の1期が放送されたのは2006年のこと。 もう13年前になるんですね・・・。
私は当時大学生でしたが
「なんかすごいアニメやってるぞ」 と
友人たちの間でもブームになっていました。
その後の2期(2009)も、劇場版“消失”(2010)も、勿論楽しませていただきました。
まぁ、エンドレスエイトに関しては
様々思うところがあるにはありますが。
さて、場所を移動しましてお次は宇治です。
こちらは
「響け! ユーフォニアム」 の舞台となっております。
(雨天のこともあり、こちらも散策はお手軽コースです)
《劇中で久美子たちが通う高校の最寄駅とされる京阪六地蔵駅/ファンの間で「うまくなりたい橋」と呼ばれる宇治橋》

《久美子たちが通う北宇治高校のモデルとなった学校/物語の折々で登場する公園》
実はわたくし恥ずかしながら、ユーフォはまだ1期しか拝見していないので
ロケ地に関しても少々ピンと来ていない部分もあるのですが
案内していただいたノヴさんにお話を聞きながら、
しっかり観ようと思いを新たにしたところでございます。
さて、今回散策した西宮にしても、宇治にしても、訪れてみて思うのは
とにかく“アニメに登場するほぼそのままのものが実在している”ということです。
まずは、製作した京都アニメーション様のロケ取材における力の入れよう
そしてアニメとしての画に落とし込む丁寧な仕事ぶりが見て取れます。
いままで“聖地巡礼”をあまり心良くは思っていなかった側の立場ですが、
実際に訪れてみると、これはオタクがどうこうとか聖地がどうこうとかの問題ではなく、
ただ単純に、いま私たちが生きているこの街、景色、気候、空気感みたいなものが
登場人物たちの人間味であったり、心情背景に大きく色を添えてくれる。
そして、作中で登場人物たちが“思い”をもって動き回った舞台を
今度は逆に私たちが共有し、元気付けられたり、勇気付けられたり・・・
言うなれば
鏡写しのような。そんなことなのかもしれません。
・・・で、ここからが本題です。
まずは、先達起こってしまった痛ましい事件の被害者、亡くなってしまった方々、
および京都アニメーション社員の皆様に深く哀悼の意を捧げたいと思います。
今回どうして、はるばる九州から関西圏を訪ねたのか。
それは 「この悲惨な事件に衝撃を受けたから」 としか言いようがありません。
まぁ、西宮や宇治に居るときもそうだったんですが・・・
どんよりした気持ちでその場所へ向かいます。
《現場近くのショッピングモールの立体駐車場から京阪六地蔵駅方面を臨む。画面中央に小さく“それ”が見えます》
《黒く焼け焦げてしまった壁が火災の凄まじさを物語ります。焦げたような匂いがまだ残っていました》
《静かな住宅街に突然現れる“焼け跡”。悲しくも異様な光景です》

《住宅街ということもあり道が狭く入組んでいます。消火活動も困難を極めたそうです》
なんというか・・・ 言葉が出てきません。 ただただ絶句です。
件の“第1スタジオ”がある場所は、静かな住宅街のど真ん中。
今日も明日も、ずっとその先も 静かな日常が流れていたはずの場所なのです。
そこに突然現れる、黒く焼け落ちた建物。
あたり周辺にまだ残る、焦げたような、くすぶるような、そんな匂い。
なんだか頭がぼんやりとして、現実と非現実の境目がわからなくなる。
先程述べた聖地うんぬんの話もあいまって、明らかに脳みそが混乱しています。
連日、報道で何度も何度も観たのだ。
建物をなめつくす赤い炎、立ちのぼる黒い煙、逃げ惑う人・・・。
私は、悲しい気持ちで画面をみつめていたはずなのだ。
これは現実に起きたこと。テレビのむこうの作り話ではないのだ。
わかっているはずなのに、頭が理解を拒んでいた。
実は九州を発つ前、私のみん友さん(オタクに理解のある方)たち数人に声をかけて
寄せ書き的なものを作って、お花と一緒にお供えしませんか
私が現地へ行きますから、皆様のメッセージを一筆いただけませんか と。
わがままながら、そのような動きをとらせていただきました。
有志の皆様が書いた直筆のメッセージを写真にとって送ってもらい
少しばかり絵心のある友人と私が描いたイラストに皆様のメッセージを加工追加したのです。
さながら
“デジタル寄せ書き”とでも申し上げればよいのでしょうか。
《心ばかりの花籠と、有志の皆様の思いを乗せた寄せ書きです》
《私が献花する様子を、ノヴさんが撮影していてくれました》

《京阪六地蔵駅そばの顕花場には、溢れんばかりのお花が手向けられておりました》
私の思い、友人の思い、そしてみんカラで繋がっていただいた皆様の気持ちも一緒に届け
顕花場で 深く 深く お祈りさせていただきました。
去り際に取材のマイクを向けられましたが
お答えできるような立場でも身分でもないただのオタクですので、お断りしました。
代わりにといっては何ですが、皆様から寄せていただいたメッセージは
テレビやネットを通じて報道に乗ったようです。
改めて、私の気持ちにご賛同いただいた有志の皆様にお礼を申し上げたいと思います。
当該記事のページ(関西テレビ放送様)です ↓
https://www.fnn.jp/posts/2019072719122510KTV
https://www.fnn.jp/posts/2019072721095505KTV/201907272110_KTV_KTV
最後に。
とにかく、ただただ残念です。
オタクなので何か特別なフィルターはかかっているかもしれませんが
アニメを抜きにしても、一体何を思って他人の日常に・・・
頑張って毎日を生きている方々の会社に押し入って
あろうことかガソリンをぶちまけて火をつけ、多くの命を奪うことなど
決して許されるものではないし、あってはならないことです。
容疑者が犯行の為に購入したとされる
40Lのガソリンは
今回私が
九州から京都まで車で走る際に消費した量とほぼ同じです。
およそ1.2tの金属のかたまりを600kmも動かすような量です。
それに火をつけたら・・・ 考えるだけでも恐ろしくなります。
再三の繰り返しになってしまいますが
いまはただ、いちファンとして、オタクとして、人間として
京都アニメーションのすべての社員様へ
お見舞いを申し上げるとともに、
負傷された方の一日も早いご回復
そして、亡くなられた方のご冥福を
お祈り申し上げたいと思います。