
三、四年前から夫を通して知り合いになった高齢のご夫婦。
当時、年上の奥様は週三回の透析と、軽い認知症を患っておられ、
ご主人が一人でお世話をされていました。
最初の頃は、家にお邪魔すると奥様がお茶の用意をして下さり、
ご主人と私の会話をニコニコしながら聞いておられました。
ご夫婦とも離婚経験があり、ご主人は度々、ご自分の生い立ちから現在のお二人の暮らしに至るまでの波瀾万丈のお話をされ、いつも最後には『この人(奥様)がよく我慢して尽くしてくれたから、最期まで看てやろうと思ってるんだ。僕も糖尿があるけど、頑張るよ。』そうおっしゃっていました。
二、三ヶ月に一度くらいのペースで訪問しておりました。
いつものようにご主人の話を聞きながら、奥様に『今日は顔色が良いですね。』と声を掛けるとご主人が『この人はもうダメなんだよ。もう僕が誰だか分からない。僕もこの頃調子が悪いから、何処か良い施設があったら預けようと思ってる。』と辛そうに話されました。
傍で奥様は悲しそうな、困ったような表情で笑っておられました。
ご主人からの電話はいつもは用件だけなのですが、一度だけ長話になり、『悪いね。僕には子供が居ないし、親しい友人も居ないから…。』と申し訳なさそうに言っておられました。
一年くらいして、夫から奥様が施設に入られたと聞かされました。
気にはなっていたのですが、認知症との事なのでお見舞いをためらっていました。
その頃から、家の用事が重なりご主人にも連絡を取っていませんでした。
九月の終り頃、ご主人も入院されている事がわかりました。
夫に、心配だからお見舞いに行くときは声を掛けてね。と言うと、今、会社が忙しい時期だからなぁ、入院先を聞いておくよ。との返事。
しつこく言うと機嫌が悪くなるし、忙しい人だから仕方ありません。
どうしても気になるので、自宅に行ってみると玄関の郵便受けには物が入らないように中から塞いでありました。
近所の人に教えてもらった病院に電話で、
○○さんが入院されてるときいたんですが…
どちら様ですか?
知り合いなんですけど。
どういう関係の方ですか?
あの…、お見舞いに行きたいので入院されているかどうかだけ教えてもらえませんか?
教えられないんですけど。
あの…、八十代の男性で住所は○○町で今、一人暮らしで…
ちょっとお待ちください。
同じ苗字の方がお二人入院されていますがお名前分かりますか?
…分かりません。お会いすれば分かるんですが…。
申し訳ありません。お教えできません。
なんか、不審者扱い…。
と言うより、ご主人の名前さえ知らなかった自分自身に腹が立ちます。
その夜は落ち込んでしまって夫に話す気にもなりませんでした。
翌々日、夫に○○さんね…と切り出すと、
うん、○○さん、亡くなったらしい。
いつ!?
昨日。奥さんの長男さんから連絡があった。葬式は親族だけでするらしいよ。
あの時、ああすれば良かった、こうすれば良かったなんて、今だから言える事。
後悔ばかりです。
画像は
みずひき草
花言葉は、祭礼
龍の髭
花言葉は、変わらぬ想い
Posted at 2014/10/31 13:55:18 |
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想う事。。(* v v) | 日記