カメラのレンズが出来るまで(元加工作業者が語る)

三十数年前始まり社会人になった時、配属先がレンズ加工場

発売前の試作品を作る部署で前加工工程に入りました。

ざっくり言うと今も昔もどこの会社も同じように作る匠の世界

ガラス工場から買ったガラスの塊をダイヤモンド砥石で小割

蝋と松ヤニを混ぜた接着剤で貼った棒状のガラスを丸くして、ダイヤモンド砥石で球面加工します。

自分の配属先はこの工程がメインでした。

削ったレンズを鉄皿で800番の研磨砂を使って大体の曲率に表面をならします。

コールタールピッチで土台を作って磨き皿に貼ったら…

更に細かい研磨砂で透明になるまで磨きます。

曲率は原器から作ったマスターレンズと合わせて光の干渉縞で確認します。

紫外線～赤外線と低い波長になるから、赤い縞の色で何本あるかで評価するんですよ。
0本は黄金色になります。

曲面がダレてると縞がいびつになります。

なだらかでない方向に縞が引っ張られるんですけど、レーダー干渉計を使わないとチェック出来ません。

磨き終わったレンズの芯を出して外径加工したら、レンズ表面に反射防止のコーティングします。

コーティング後は組合レンズの接合をしたり…

乱反射しないように縁を墨塗りしたらレンズが完成。

完成したレンズを枠に入れて…


レンズを組み立てていきます。

枠に入ったレンズやヘリコイドをレンズ本体を組み立てしていくと…

やっとカメラのレンズ本体が製品として出来上がります。

内視鏡のレンズなんかはすごく小さいんですよ。

昔のカメラ(一眼レフ)はプリズムやミラーがありました。

枠も金属だったんですけど、今のカメラは樹脂や接着剤が多用されてぜんぜん違います。

ほぼ手作業の世界なんで、日本やドイツじゃないと細かい作業が出来ないから、分解修理が出来ない製品が増えました。
儲かんない世界なんでニッチに生きていく業界なんでしょう。