
僕は病院に勤めています。
その中で、病院の外へ出られない老人の入院患者さんにも
できるだけ外の世界を忘れてもらわないようにと
前に所属していた病棟の一角で季節を感じてもらえるような
フォトギャラリーを作って今でも更新しています。
新たに展示する写真の貼り替え作業の時など、
患者さんと写真の内容や感想についてお話できる時が
何よりも幸せなひとときでした。
そんな僕の写真をずっと心待ちにしてくれていたとあるおばあちゃんが
昨夜この世から旅立って行きました。
今月のはじめに同僚からすでにターミナル期に入っていると聞かされて
「ひょっとしたら最後になるかもしれない今年の桜を見せてあげたい」
・・と、慌てて今月10日に満開の桜を撮影してきました。
その2日後、額に入れたこの写真を見せた時、すでに腹水でパンパンに膨れあがった体で
きついだろうに顔を上げて僕の写真を見て優しく微笑んでくれました。
「また元気になって一緒に桜を見に行こう」
と、声をかけるのが精一杯でした。
自分の写真で1番のファンを失った悲しさと
それでも最後に桜を見せてあげられた思いが複雑に交差します。
今年の桜は忘れられない桜となりました・・・。
Posted at 2011/04/21 10:12:08 | |
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カメラ・撮影 | 日記