疲れていた。
どれくらいの疲れかと聞かれれば、
そこに蛯ちゃんがセミヌードで寝そべっていたとしても勃たないくらいに。
出張ついでに、キャバ嬢の由貴を連れて1泊で広島へ。
体裁上、にしき堂のもみじ饅頭をお土産に買い込む。
遅い夕食を済ませ、朝までに由貴と2ゴールを決めチェックアウト。
帰りは奈良を抜ける名阪道を選んだが、ナビの様子がおかしい。
友人から譲り受けたばかりのこのプジョーは、ナビがない。
ポータブルタイプを載せてはきたが、ソフトが古くて心配だ。
行きに気付いたが、京滋バイパスも第二名神も入っていない。
古さを承知で使ってはいるが、信用出来ない。
名阪道を指示したはずが、奈良公園の前で一般道に降ろされてしまった。
「ねえ、ここどこ?」
俺に聞かなくても、左手に広がる公園に、多数の鹿が見えているじゃないか。
鹿だけのサファリパークは、奈良公園しかないだろ。
ここに来るまでにも、いくつかのトラブルがあった。
渋滞の阪神高速で屋根を開けようとしたところ、途中でモーターが止まった。
その間にクルマは流れだし、半開き状態のまま走る羽目となった。
走行中、突然全てのサイドウインドウが降りた。
一瞬、なにごとかと思うほど驚いた。
屋根のロックが突然解除された時は、驚くより先に左手で押さえた。
これでシートが飛び出せば、戦闘機か。
先日、手に入れたばかりのプジョー307cc。
幅の広い丸みを帯びたボディに、ハードトップのオープンカー。
タイヤのCMで、織田裕二が乗っていたモデルだ。
新しい308が出たおかげで、市場に玉が出てきた。
銀のボデイに、内装がプレミアムは革製。
革にステッチが最高にオシャレだ。
最新のプジョーは、マークのライオンが大きすぎる気がする。
目立ち過ぎず、少し控えめなほうが高級感があると俺は思うが。
ライオンと呼ぶか獅子と呼ぶか、エンブレムが伯爵家の紋章っぽくて良い。
前の持ち主だった建築デザイナーの友人曰く、
「欧州車、ことドイツ以外のヨーロッパ車の楽しみは、古城に似てるよな。
何が起こるかわからないホラーな面はあるが、走りに関して手抜きはない」
ヨーロッパの古城ねぇ。
確かに、伝統と格式を感じるデザインはすばらしい。
特にプジョーは、先進性に加え、古き良きたたずまいを感じる。
ホラーってのはつまり、欧州車は電気系が弱いってことか。
古城には、電灯よりロウソクが似合うと思えばよい。
窓が勝手に開いていたりするが、細かなことは気にしない。
行きは雨で、音楽を聴きながらのドライブだった。
由貴との期待でいっぱいだった、あのウキウキした気分はどこへいったのか。
今はただただ、泥のように眠りたい。
若くても可愛くても、することすればどうってことはない。
オトコは、出した瞬間に冷めてしまう。
気がつけば、またつまらないことをしてしまったと悔いるだけ。
帰りたい。
10分でも早く、家に着きたい。
隣りで由貴が「おなかすいた」とぼやくから、コンビニへ。
食べながらでも運転して、ベッドで休みたかった。
由貴がコンビニで食料の調達をする間に、ナビをいじる。
俺はなぜここにいるのか。
ナビに従わず、普通に走っていれば、今頃は三重県を通過中のはずなのに。
一旦、目的地を削除し、再度、名古屋市内の自宅を入力。
表示された目的地までの距離が、やけに多い。
こんなに走る必要はないはずと、すぐにわかる数字が出ている。
全行程を表示させると、再度大阪に戻り、京都経由で名神を走るルートが。
平仮名の「の」の字の経路が、地図上に赤く記されていた。
俺はナビの電源コードを、シガーソケットから抜いた。
あと1時間ほどだろうか、助手席でぐっすり眠っている由貴。
ミニのスカートから覗く、白い足。
ドロドロに疲れているはずなのに、そそられるものがある。
そっと手を伸ばし、ショーツの上から筋に沿って指を動かしてみる。
まったく無意味なことだけれど、疲れがとれる気がするから不思議。
やはり、オンナってのは偉大だ。
Posted at 2011/04/13 15:29:09 | |
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