マーチのパワートレイン・車格を用いて全高を上げたパッケージングであることから、このクルマの[走る]機能は決して高いとは言えない。
シートは利便性や座り心地をメインとしている為、ホールド性や長距離に向いていないし、低速重視のEG特性や形状から高速巡行も不得意である。
車高の高さからくるロールを抑えるために、足回りは固い。
リアドアは、後ろにゆとりがない場面では開きやすいが、ドアが動線にあたるので、回り込む必要が出てくる。
普段では、通常の上開きのほうが機能的であるだろう。
しかし、室内空間の広さや収納・ウォークスルー機能など車内での快適性は高く、普段の街乗りを中心に考えると好ましい仕様となっている。
開発者曰く、狙い通り「世界一遅く見えるクルマ」と評されるとのことである。個人的には、内外装の角丸スクエアデザインがダイソー感を感じるので、好きなスタイルであった。
このクルマは、ワインディングや長距離を走り続けるような「ドライブ」を楽しむことには向いていない。
その代りデザインや車内空間の快適性を注力しており、ユーザーの環境や好みによっては、クルマで大切にする部分が動力性能以外に有ることを知らしめる車種である。
現在では、かつてほど街で目にすることが少なくなったが、一度目にすると忘れられないクルマである。
これほど「名は体を表す」との言葉が相応しいクルマは、ないのではないだろうか。