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イイね!
2018年04月04日

したたかなデザイン・サプライズを!

したたかなデザイン・サプライズを! もう四半世紀前近い1994年、フォードはある「離れ業」をやってのけました。その年のジュネーブショーに、フォードはコンセンプトカー「ka:」(トップ写真:ネットから拝借しました)を出展しました。四代目フィエスタをベースにした新しいシティカーの提案です。
このka:は、当時のフォードが熱心に推進していたオーガニックシェイプのスタイルを特徴としていました。ご覧のとおり、ちょうど同時期の二代目トーラス的に、全身が有機的なラインと面に包まれていて、その表情にはどことなくウーパールーパーみたいな愛嬌も備わっていました。
ちなみに、ka:は確か1995年の東京モーターショーにも出展されていたはずです。私もそこに行ってフォードブースでka:を見ていたのに、なぜかほとんど記憶になく、写真もまったく残っていません。当時は、このオーガニックでつかみどころのない形があまり好みでなかったので、さほどシンパシーが湧かずにいたのかもしれません。

このコンセプトカーがka:を名乗って現れたとき、すでにフォードはヨーロッパ市場向けの新しい小型車であるKaの開発を着々と進めていて、その市販型はka:の出展から2年を経た1996年のジュネーブショーでお披露目されました。このショーのレポートを雑誌で見た時の衝撃を、私はいまでも鮮やかに記憶しています。何が衝撃かって、とにかくKaは、2年前のka:とはプロポーションこそほぼ共通でも、その姿かたちは似ても似つかない、まるで別物であったことです。ka:がヌメヌメっとした、赤い鏡餅が熱でとろけたような形状だったのに対して、ニューエッジ・デザインと称する、鋭いラインと緊張感に満ちた張りの曲面とが交錯する、実に彫刻的な造形で現れたのだから、そのインパクトたるや写真からでも十分すぎるほど!だったのです。

実はフォードは、Kaの開発過程で複数あったデザイン案のうち、非採用案のひとつをka:として、わざわざショーモデル化していたのです。その意図は、ライバルメーカーに対してフォードのデザインテーマに関する誤解をあえて引き起こしーフォードはオーガニックシェイプ・デザインをさらに継続させるものと錯覚させるー、直近に控えていた新しいニューエッジ・デザインのインパクトを最大限にさせるための大胆な戦略だったのですね。
(写真は1997年発刊の「カースタイリング」誌に掲載された、Kaのデザイン開発レポートより。一番左の写真2が開発途中の本命で市販型へ発展、その右の写真3が「落選案」にもかかわらず、ka:として1994年にショーモデル化された)


これには本当に驚かされました。おそらく、当時フォードのデザインの内情によほど通じた人でもなければ、ニューエッジ・デザインのKaの登場は予想もしていなかったはずです。だからこそ、Kaはその印象がひときわ強烈に植え付けられたのです。本当に、誰もが思いもしなかった「フォードのデザインテーマの大どんでん返し」だったのです。

こんな昔話をなぜいま繰り広げているのか?それは、数日後に迫った新しいフォーカスの登場を前に、もしフォードがかつてのように、事前に私たちに示したイメージと実はまったく異なるイメージを隠し持っている、なんてことがあれば・・と、ほとんどありえもしない妄想を抱いているから。
もちろん、25年近く前といまとでは、「情報」の扱いは比較ができないほど激変しています。もはや作り手が何かを意図して隠そうとしても隠し通せない。それどころか、隠すよりも実像を積極的に晒すほうが効果的とみなされる時代です。昨日から公開されたオフィシャルムービーでうかがえるボディのディテールや、少し前からネット上に流れた、次期フォーカスと称される偽装なしのオールヌード写真などは、おそらく間もなく登場する新型フォーカスそのものなのでしょう。

だとすれば、いま私は四半世紀前近くにフォードが仕掛けた、したたかなデザイン・サプライズの再来をつい夢想したくなるのです。
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Posted at 2018/04/04 22:30:08

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