雨の日は“試乗会”（その６）

うっとうしい梅雨空が続きますが、“Ｔ氏”との試乗会には絶好の季節です。(^Д^)

“Ｔ氏”の家業は果樹農家なので、基本365日休みがありませんが、うっとうしいこの時期だけはほんのちょっと気休めが許されます。

車好きの諸氏にとっては、カラッと晴れた日こそがドライブ日和なのでしょうが、彼にとっては雨降りこそが絶好の試乗日和となるのでした。






先日のこと、我がセニックRX4が何をしてもエンジン始動が出来なくなり、某ガレージへと保険レッカーで運ばれて行きました。

レンタカー特約でやって来たのは“イプシロン”。

ランチャーの三角おむすびのようなマークの方じゃ無くて、翅のマークのクライスラーバージョンの方でした。
（クライスラーいつの間にかペンタゴンマークじゃ無くなっているのね）








フロントグリルのフォルムが、ランチャーのおむすびを引用しているのに、肝心のエンブレムが無いのが「何か足りない」って言う不思議な感じですが、リヤの方はいささか立派すぎるエンブレムが付いていても、違和感が少なく気付かずに終わってしまいそうですね。









さて、独特の“デュアロジック”を操って、何時もの山坂道（生活道路です！）からスタートするわけですが、自動変速のポジションでは速度につれてシフトアップしてしまうため、坂道の途中で失速してしまいます。

マニュアルポジションにして、シフトレバーの操作に合わせ一瞬スロットルペダルへの力を緩めるようにして走れば、下手くそな“ヒール＆トウ”よりもよほど上手にブリッピングしながら、空走感を感じること無くシフトチェンジしてくれます。

「これは面白いかも知れない」と、一通り操作に慣れたところで、折しも朝から雨模様の中、“Ｔ氏”を誘い出したのでした。






慣例に従い、何時もの山坂道を最初に私が運転しながら、シフトの様子やステアリングレスポンスの様子を感じてもらうところからスタートです。

丁度昼時に近かったため、仕事関連でもつながりのある「カレーの大原屋」さんでランチを済ませ、そこで運転を交代します。

そして、いつもとはちょっぴり違う西へ向かう山麓のルートに車を進めました。






このルートは適度に道幅が有り、ゆるめの中速コーナーとタイトなコーナーやブラインドのヘアピンなどがほどよく混じり、何時もの山坂道（生活道路です！）よりも車にも人間にも優しく適度なスピードでドライブが楽しめます。

ただし、展望が悪いのがちょっと残念ではありますが、もとより雨降りですからこの際運転に集中することにします。






走り始めて“Ｔ氏”は先ずはエンジンのトルク感に感激しています。

ツインエアーは絶対的なパワーもトルクも望めませんが、2,000rpmくらいからトコトコ走る感覚がちょっと面白く、「ちょっと大丈夫かな？」と心細さを伴いながらも確実に車を前に進めてくれる感じです。

オートバイで、90°ツインや180°ツインの大排気量車（この車より排気量もパワーも有り）に慣れている私は、ツインエンジンの低回転でのトルクの細さが身にしみているので、どうしても回転を上げたくなってしまいますが、“Ｔ氏”は低回転での美味しいところを充分に堪能できている様子です。





「スピードメーターなんて全然見ていません」と、元々左ハンドル車故助手席側に付けられた何故か奇数表記のメーターに目をやりながら、「エンジンのトルクに任せているとどんどんスピードが上がっちゃいます」と加速感を楽しんでいます。





フィアット500よりは少しは長いとは言え、短めのホイールベースなのにピッチングも少なく、シートの形状も相まって乗り心地は快適です。

“Ｔ氏”の運転が丁寧で正確なこともあり、リラックスして助手席に腰を落ち着かせていられます。
（元々私は、人の運転で車に乗るのは苦手なはずなんですが・・・）

車の全体の雰囲気からすると、ちょっと過剰かと思われる扁平タイヤですが、流石MICHELIN Pilot sport、サイドウォールがしっかりと役目を果たし、上手に路面の荒れをいなして行きます。





所々で現れるタイトターンを、適度なペースで回り込んで行く時の、“イン側のタイヤの接地感”の良さにも“Ｔ氏”は感激しています。

ヘアピンの上り坂で、グッとアクセルを踏んでも破綻の兆しは無く、左右両輪がしっかりと路面を掴んで加速して行きます。

この辺りの挙動はムルティプラにも共通するところが有り、“Ｔ氏”も共通性を感じることを訴えていました。

その５の後で入手した、RRの愛車とFFのイプシロンとの違いを楽しみながら、軽快に駆け抜けて行きます。

これが、過去の“試乗会”で乗った某メーカーのスポーティーカーなら、簡単に接地感を失っていたことでしょう。






県境近くまで西走したところで、街道筋の至る所に掲示されている「県を越える移動は控えましょう」の指示に従いUターンです。

帰りには市街地でオートモードも試していましたが、やはりギヤチェンジの空走感は気になる様子です。

市内で“Ｔ氏”よりコーヒーをご馳走になった後、私に運転を交代して帰路につきます。





的確な分析能力のある人と、個性的な車を試乗するのは楽しいことですね。

“T氏”とは試乗会の番外編としてこんなのにも乗れましたが、また何かの機会に個性的な車の“試乗会”をしてみたいですね。






下の写真は別の日の撮影ですが、“過去のエンジンレイアウトと駆動システムの違う車”のスタイリングを引用したベース車よりも、こちらの方が遙かに魅力を感じます。

この車の良さを理解するのはちょっと難しいかも知れないけれど、もっと売れても良かったのに・・・








このお尻良いよね。







あっ、そうそう。

セニックRX4は、無事に修理完了し只今絶好調です。(^_^)v