
日曜日に「ノルウェイの森」を観てきたんだが、少し語らせてもらう。
10年近く昔の話なんだが、私の家の本棚には村上春樹の小説が10冊以上収まっていた。
それを見た彼女は「何でそんなのを読むの?」と尋ねた。
私は普通に「なんとなく、かな?」と答えると、更に続けて
「村上春樹は文学とは呼べないと思うの、娯楽小説であって、結局
『パスタ』と『オーケー』と『やれやれ』でしか成り立ってないじゃない。」
ふむ、そうかもしれないと思った。
この彼女はトルストイやらダザイやら、何でも読む活字中毒者であった。
純文学と文学の境界が私には分からなかったが、本ばかり読んでる彼女がそう言うなら
そうなんだろうと思ったが、少し意地悪をしてみたくなった。
「じゃあ、君はカレーを『これはインド料理じゃなくて、日本料理よね』といちいち確認してから食べるのかな?」と言うと、眉間にシワを寄せながら「やれやれ」と…
といったように、村上春樹風に物語を書くと少しだけ面白い。
いやいや、本題というか感想を少しだけ述べさせてもらう。
私が10代の頃に初めて触れた村上春樹が、このノルウェイの森だった。
率直な感想として「なんでこんなものが売れたんだろう?」だった。
これを読んで共感することによって、分かった風な顔をすればいいのかな?
なんて妙にスレた感覚を持っていた、否、トンガってたんだろうな?
20代の頃にもう一度読んでみると、これが結構面白い。
文章は平坦なんだけど、内容が濃いというか複雑というか。
振り返ると、最初に理解できてなかったんだろうなぁ。
そして30代になった今、映像で観ると懐かしいような、やるせないような、
凄い頑張ったなと感動した部分あり、残念に思った部分あり。
で、具体的に詰めた話を登場人物で分けて語らせてもらう。
ワタナベ:松山ケンイチ
正直、若手俳優の中で「何でこんなヤツが人気あるんだろう?」と常に疑問を感じていた。
滑舌が悪いのは役者として致命的だよなぁと思ってたんだが、
これが村上春樹の話にドンピシャ、コイツ以外には演ずることはできないのでは?
と思えるくらいハマっている。今後の活躍に期待したい。
直子:菊地凛子
個人的にこの子があまり好きではない。
「バベル公開前独占インタビュー」を見てた時に、
「ブラッドピットを何て呼んでますか?ブラピ?」との質問もたしかにアホだったんだが、
妙にスカした顔で「ブラッドって呼んでるかもしれない。」と返した時のドヤ顔が忘れられない。
まぁ、頑張ったんじゃない?首吊ったシーンとか良かったと思うよ?
緑:水原希子
この子ねぇ、凄くキュートなんですよ、見ててフワフワァって気持ちになるんですよ。
ただ、映画初出演だったのが原因なのか、少し残念な感じがする。
この子が悪いんじゃないんだろうけど、緑というポジションは凄く大事な役どころで、
他の役が「死」を連想させるのに対し、唯一「生」を力強く主張する役じゃない。
可愛さを主張するより、元気さを主張したほうが良かったかなぁ?なんて。
あと、初めてワタナベが緑の家に行って、火事を見ながら歌うシーンは入れてほしかったなぁ。
永沢、ハツミ:玉山鉄二、初音映莉子
この二人の演技には全く文句がないんだが、もう少し出演シーンを作っても良かったのでは?
キズキと直子の関係をトレースさせたら、もっと面白かっただろうし、
合格祝いでの食事シーンは見所の一つなのに、だいぶ割愛されてたのは残念。
レイコ:霧島れいか
この人も文句はないんですよ。
ただ、もう少し全体的に触れても良かったと思うし、最後の
「抱き合った方がいいと思うの」って言ってからセックスし始めても、映画しか観てない人は
なんで???って感じだろうし、ここは原作に忠実に、直前で直子追悼の意味を込めた
ビートルズを弾き語りまくるというシーンがないと意味が分からないと思う、非常に残念。
総括:監督がロケ地に拘ったらしく、非常に映像が綺麗である。
そして邦画初の「主題歌:ビートルズ」と息巻いて撮った映画だし、
観てない人には一度観て欲しいし、意味が分からなければ、というか分かりにくいと思うから
原作も読んで欲しいと思う。
ただ上記した「火事を見ながら歌う」「食事シーンを激しく」「弾き語り」の3点を
追加して「完全版」として作り直して再度上映し直せ、バカ!って印象である。
あ、ネタバレ要素を含んでるんで、観てない人は注意が必要。