
「ガールズバーいかがっすかぁ?」
お中元とお歳暮の時期になると少しややこしい仕事が回ってくるんだが、
それに数名を自社から投入しなければならない。
その仕事たるや、俗に「懲役」と呼ばれる過酷なもので、
労働基準法など一切無視した、1ヶ月以上もの長い期間、
朝から晩まで休み無しで、それはそれは過酷な作業なのである。
その懲役を無事に勤め上げ、今週から復帰してきた部下の労いの意を込めて昨夜、
場末な繁華街の外れを部下と歩いていた時に、客引きの女の子に声をかけられた。
私はそういう娘と世間話をするのが好きなオジイチャンなので、
足を止めて、いつものようにくだらない話に興じていた。
パッと見た客引きのその娘が誰かに似てるなぁと思い始め、それが段々気になりだして
「誰かに似てるって言われない?」と尋ねると
「あ、藤原紀香に似てるって結構言われるわぁ。」と返してきた。
「コラ!オマエ!どう見ても森三中の黒沢やんけ!」と斬って捨ててピンサロへ向かう。
そしていつもの店に到着すると、店の前でいつも鎮座してる、通称タコ入道が謝ってきた。
「今日は女の子にいきなり休まれて開店休業ですわ、スンマセン。」
謝られてもって話だが、「あぁ、いいよ、また来るわ。」と返す。
仕方ないので何店かが並びで構えてるうちの、隣の店にいくことにした。
オキニのナナちゃんに会えないのは少しさびしかったなぁ。
そして入店して着座するのだが、この女の子がくるまでの時間が一番楽しい。
私達の間では「大人のクジ引き」と呼ぶのだが、アタリハズレはその時の運である。
しばしの高揚状態に終止符を打つべく「こんばんは~」と言いながら女の子がやってきた。
……。
ねずみ男みたいな娘が満面の笑顔で登場する、せめて猫娘似だったらよかったのに…。
いやぁ、久し振りに大ハズレってのを引いた気分にさせてくれた。
それらを含めて楽しむのが大人だと思ってるので、自分なりに限られた状況での
楽しみを見つけようと頑張ってみる。
先ずは会話から「何かに似てるって言われない?」
ネズミ男とは言わないだろうなぁとボンヤリ考えつつも尋ねると
「原田知世って何回か言われたことあるわぁ」と即座に返答してきやがった。
いやいや、ちょっとまってくださいよ!と突っ込めない小心者の私は
「ふーん」と返すのが精一杯だった。
会話を重ねると、必ずと言っていいほどに「関東の人やろ?どこ出身?」と聞かれる。
自分では全く意識してないのだが、言葉がメチャクチャらしい。
関西人には関東弁と呼ばれ、関東人には関西弁と呼ばれる、どーでもいーんだけど。
そして、その問いには必ず「ん?横浜やけど?」と返す。
「静岡の三島って知ってる?え?知らない?新幹線の駅が止まるんだけどね。」
とかいう会話が面倒臭いってのが半分、自分の見栄が半分って感じだろうか?
静岡って言うより、横浜って言った方が確実にオシャレなイメージであろう。
でも最近気付いたのは、横浜と言って「オシャレ」と返してくるのは30代以上で
20代以下の子は「あっそう?」程度にしか返ってこないことが多い、これまたどーでもいーんだけどね。
時は過ぎ紆余曲折を経てなんとか終了、ある意味では楽しめた。
先に部下が店の外で待っててくれて、「どうだった?」と互いの状況報告をいつもするのだが、
その日はいつもとちょっと違った。
「チラっと目に飛び込んできたんですけど、課長のとこに凄いの行きましたよね?
妖怪クラス?アレは酷くないですか?横顔しか見てないですけど」と速攻で私に尋ねてきた。
「クソッ見られてたか…」とは言えず、「正面から見るともっと凄かってん。」とも言えず、
その時の私にできる精一杯の一言を発した。
「原田知世バリに可愛かったっちゅーねん…。」
Posted at 2011/07/29 15:10:51 | |
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