
憶い出した。
これ書いた作家のこと好きや
いうてたシトのはなし
久し振りに長いはなし
働き始めたばっかしの頃やねんけど
おんなし職場の違う科に
僕のこと、よう可愛がってくれる
二回りぐらい歳上の女先輩がおった。
ある朝、僕の科に入って来たおばちゃん
その日 出勤前に見た日本放送協会の番組を
興奮気味に話してくれた。
山の中に朽ち果てた あばら屋があってな
その周りには日本中の山から集めて来た
何百種類ちゅう櫻が植えられとって
永いこと手入れもせんと放置されとんのに
見事に咲いとってん。
いつかその櫻を見に行きたいわぁ
その翌年やったかな
それとも
もしとつ 次の年やったかな
ちょうど 今時分の季節やった。
おぃ くろぼん!
なぁ あのはなし、覚えとる?
あんた今日 暇やったら油代出したるし
あそこまで乗っけてってくれへんか?
まぁ 断わる理由もないんで
ええでっせ!
って 連れてったることに・・・
山のあるとこ 僕の庭のやったし
案内なんかのうても目的地の近くまでは楽勝。
クルマはTKDO温泉の外れに停めて
問題はそこから・・・
さてアプローチがわからん。
おばちゃんの記憶だけが頼り
番組では
急流のMK川を舟漕いで行って
崖を登ったところに線路があって
その線路を越えたところに谷があって
そこから山に入いるねん。
それ先に言うてや
安心しぃ。線路伝いに行ったら直ぐにわかるやろぅ!
ちょっとちょっと線路て、廃線ちゃうんやろ?
うん 活きとるよ。F山線やもん(笑)
なぁなぁ 列車来たら どぅすんの?
あのな ここ単線やろ。上りでも下りでもどっちか一本通りよったら
次 なかなか来えへんもんや。うちに任しときっ!
おばちゃんパワーに押し切られてしもた。
きっとコレ抜けたとこや!
線路沿いにぼちぼちと進んで行くと
トンネルが・・・
えっトンネルなんて聞いてへん。
あんた、男やろ。しっかりしぃや!
もうおばちゃんの言いなりですわ(>_<)
入口の手前で時間調整。
そうこうしてたらF山行きが・・・
機関士に見つからんよう
身 低くぅしぃや!
無事通過
さぁ トンネル 入るで!
嫌な予感・・・
足元見えとっても歩きにくい砕石の上。
中は真っ暗
蹴躓きそうになりながら歩くねんけど
向こうの明かりって なかなか近付いてけえへんもんや
ねぇねぇ
なんか聞こえへん?
線路 響いとるような気がすんねんけど・・・・
て泣きそな声で僕が言うと
もう 上りの列車が来たみたいやな(笑)
平然と答える おばちゃん
えぇどうすんの なぁ?
列車通りよるとき 壁に張りついとったら
心配せんでも轢かれへんわいな!
とうとう向こう側に辿り着くまでに
上り列車 来てしもた。
言われたとおり 壁に張り付いた。
ほっぺたが 冷たかった。
ホンマ 生きとる心地 せんかった。
抜けて出てきたら 服 ボトボトやった。
冷や汗か 結露か 湧水か
谷に入り 急な坂道ずんずん登ってくと
言うた通り あばら屋があった。
周りは一面の・・・・・
と言いたいとこやけど
まだ全然咲いてへんがな。
怖い目に遭いながらここまで来たのに
街とは違うて 山ん中のこと
咲くには1週間以上も早かってんね。
同じ怖い思いしながら
トンネル抜けて元来た道をクルマまで戻った。
また トンネルん中で肝 冷やしたし・・・
いまでは
ハイキングコースになっとって
もう堂々と通れるらしい。
もちろんトンネルもな
ほんで
同じシトが書いたこの本
この山がモチーフやねんでって
教えて貰うてたのに
まだ読んでへんたん
30年ぶりに憶い出した。
で
前置きが 長なったけど
たかだか 660円で手に入るこの本を
ポチろかなと思うただけ。
Posted at 2013/04/02 12:25:56 | |
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