あれは……。
免許を取って2年目の夏。
父親の買った新車を運転したいばかりに、父親の仕事の打ち合わせへ同行。
冷房のガンガンに聞いた車内は快適そのもの、父親は隣で高イビキ。
私たちは山手通りを品川方面へ、新宿を抜け渋谷方面へ走行していました。
反対車線は渋滞中で、こちらの車線はガラ空きなので、ついつい慣らしということも忘れ、アクセルを踏む私の足には力も入ります。
スピードをやや上げ始めた矢先、反対車線の車の陰から
「
ニュゥ」と、
バイクの前輪が!
慌てて左足でブレーキを踏みこむと、車体はぐっと前に沈みこみ、急減速。
しかし停車には間に合わず、止まる直前車体前方から「
ズ……ン」と鈍い衝撃も響きました。
父親は飛び起き、おい! とひと言、その後絶句。
その父親の反応を見て、思ったよりも冷静になってしまった自分。
「ああ、やってしまった。……しかし、轢いてはいないはず」
と、妙に落ち着き払い、
保険屋に電話をかけなきゃとか、警察は呼ぶ方がいいのかとか、事後処理のことばかり考え始めました。
父親は黙りこくったわが子を見てラチもあかないと思ったのか、
「早く出ろ!」
と怒鳴り、フロントドアをまさぐりました。
と、その時!
ボンネットの上に
バン!
と黒い手が!
「わぁあ!」
……私たちは思わず声を上げてしまいました。
(※
イメージとしては、古い映画で恐縮ですが『MADMAX2』のクライマックスで、主人公の乗るトラックに轢かれたはずのモヒカン男がボンネット上に突如画面一杯に顔を出す、あのシーンのような感じです)
ヒヤッというより、
ドキッとした話ですね。
これじゃ……orz
※ここからはその後の話です。
……外に出てみると、車の前方には倒れたバイクとライダースーツを来たお兄さんがいます。体には異常はないと言い張りますが、とにかく車は左車線に寄せ、三人でバイクを歩道にどかしました。
さっきまで空いていたはずの左車線は私たちの車を先頭に、後部では大渋滞を惹き起こしていました。
結局、住所交換だけして別れました。
新車には特に傷は見あたらない(気が)したので、弁償云々の話もしませんでした。
逆にバイクのウィンカーは転倒したせいで折れ曲がり、タンクはへこみ、あちこち破損していたものの、ライダーさんは自分のせいだと言って、そのままバイクを押し、去っていきます。
「弁償の話、しないでよかったね」と私。
父親は口の中で、なんで、と、もごもご聞き返してきました。
「あれ、
メグロだよ……」
当時としても
ヴィンテージバイクだったメ
グロのパーツなど、一体いくらかかるかわからないので、ふたりとも
なぜか得したような、
助かったような申し訳ないような気になってしまいました。
……しかし、家に戻って自車を改めて見てみると、
バンパー全体が上部にせり上がり、歪んでいたのです。
ウレタンバンパーの復元性の高さからか、気も動転していたからか、現場では気づかずとも、駐車場で見るとバンパー表面には多少の擦り傷が散見できましたし、バンパー全体を持ち上げ、歪めるほど強い衝撃だった、ということに改めて
ヒヤッとしたのでした。
(やはり表現に無理があるか……)
この記事は、
「ヒヤっとした経験」を投稿してください。について書いています。
Posted at 2010/03/03 04:53:22 | |
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