
程度極上とやらの特選中古車がこんなに酷い物だとは思ってもみなかった。考えてみりゃ俺はメインカーは新車しか買った事がない。あ、フェラーリは中古で買ったっけ。でも車が車だけに大切に乗られていたから中古と言えども下手な新車より綺麗でこんなに酷い事はなかった。
計画変更。すべてのモデファイは後回しである。
まず完全に初期化する。俺品質でだ。
そこで実況見分である。
まず書類から検証してみる。
記録簿からみると平成17年3月、西日本の正規ディラーにて納車されている。
そこから毎回キッチリ定期点検を受けている。
新車でこの色をオーダーする方だ。よほど思い入れがあったのが伺える。
そして平成20年3月に正規ディーラーとは少し離れた工場にて車検を受けている。
転勤だろうか?なにか諸事情があったのだろう。それから車を手放したようだ。
その後、平成20年の6月に関東の中古車店から2番目のオーナーへ渡ってからピタリと記録は途絶えている。
この車をここまでボロボロにしたのは2番目のオーナーにほぼ間違いないだろう。
なぜなら、メンテナンスをキッチリしている人が外装無頓着はありえないし、
ワックス掛けるの大好きな人が「オイル交換って何?」みたいな事は経験上ないのである。
さて、詳しく掘り下げてみよう。
まず外装。
スワール傷があまりない所を見ると、手洗い洗車どころか機械洗車もあまり使っていなかったようだ。
しかしそれどころではないとんでもない状態である。
ブラマヨの吉田のような、ウッチャンナンチャンのナンチャン?!松井?ってくらい塗装の肌(表面)がボッコボコ!!
酸性雨被害である。普通、車を通勤で使うなど、少しでも動かす機会があれば、たとえ青空駐車でも水滴が流れる為にここまで酷い状態にはならない。
普段車を使わない青空駐車のサンデードライバーだったと見える。
あとくだらないマフラー交換がしてある。
出口には「GENFACTORY」とある。
はて?まさかワンオフ?それだと車検やらなんやらで厄介だ。
出口から中をのぞくと仕切り板のような物が見える。
タイコを見るとあれ?レムスだな。
こりゃ、レムスの「パワーサウンド」シリーズだ。
出口形状が設定のないオーバル型だったんで、「GENFACTORY」とやらに作らせたのだろう。
この音量が変えられるってこの手のマフラーは音量最小の状態の時にエンジンにかなり負担が掛かる。
車の為には音量最大で使わなければならず、まったく面白くない。
アフターメーカーのマフラーがもてはやされたのは昔の話だ。
オールステンだから良い?いやいや、そっちはぴかぴかしてるかもしんないけど、異なる材質をくっつけてるとそこが腐食してくんのよ。
つまりつなぎ目が痛んでくるの。知らないでしょ?
大体今車のデザインはマフラーを目立たさないようにしているのが主流だ。
フェラーリ以外のマフラー交換なんて「ぼー」とか「げー」とかの音しかしないし、性能向上もない。
今時こんなもんをありがたがるなんて遅れた考えの人だったのだろう。
「GENFACTORY」とやらの住所が2番目のオーナーの近くなので間違いなく2番目のオーナーの仕業だと思われる。
タイヤの選択肢でオーナーの価値観がわかるって言われているけど、純正指定外のタイヤ、
しかも「ダンロップビューロー」って、おいおい、車の性格考えろや。
シリアルから見て08年の21週製。これも2番目オーナーのやらかしである。
マフラーやかましくしてタイヤは静かにしてほしいとは本末転倒もはなはだしい。
あとはホイールのガリ傷があったが、これは誰がやらかしたのかはわからない。
都会の人はみんな縁石に当てて駐車するので、銀座に止まっている高級車の
ホイールはみんなガリガリである。
ま、左リアがヒットしてるあたり、お世辞にも運転がうまい人とは言えない。
内装。
前にも書いたがタバコの臭いが酷い。これではエバポレーターもやられているだろう。
灰皿には新しい灰が付いている。ごく最近まで灰皿を使った形跡があるので、間違いなく前オーナーが喫煙者だったと思われる。
この状態はすべて内装を壊している原因になっている。
まず、灰皿直上のオーディオは大抵壊れる。
2年間も煙でいぶされていたせいで、DVDの読み込みエラーが起こっている。
DVDの信号ピッチの大きさは、DVDを東京ドーム大にしても砂つぶくらいなんだそうな。
そんな繊細な信号を読まなきゃなのに煙でいぶせばたちまち壊れてしまう。
俺が現役時代も大抵喫煙者の灰皿上にあるオーディオは壊れていた。
そして何か、内装全体がうすく、水飴が塗ってあるような感じがするのだ。
スイッチやらシート、ダッシュボードに至るまで、触るとツーっと糸を引くような感じ。
これはヤニが滞積していると思われる。思わず鳥肌が立った。
内装すべてがヤニだらけと言っても過言ではないだろう。
マットがなにやら匂う。
めくってみると、びっしり犬の毛が!!
俺も犬は嫌いじゃないが、車に乗せるとなると話は別である。
全体が白く毛先だけ茶色の犬を飼われていたようだ。
そして、機能はどうだろうか?
アイドリングでぷるぷると不整脈。
エンジンの状態はアイドリングが一番良くわかる。
納車直前でオイル交換したのにこの不整脈はちょっと気になる。
フィーリングもやはりアルファと違い、
感動もなくただの実用エンジンって感じ。
走り出してみると…。
ブーン、ドカン!ブーン、ドカン!
なんなんだ、このAT…。
これが悪評高いプジョーのATか。
90年代にゲタ代わりに乗ってたアルトの3速ATとまるで変わらないフィーリング。
6速シーケンシャルからの乗り換えだからこの酷さは隔世の感がある。
だいたいプジョーのエンジニアはこのATに乗って「これじゃちょっとマズくねーか?」って誰も思わなかったんかいな?!
ゴルフと比べろといっても無理があるけど、開発時にヤリス(ヴィッツ)やマイクラ(マーチ)やパンダだってあったろうに。
フランス人の悪い癖、フランス最高!何でもかんでも自力でまかなうって精神が邪魔してるんだろうな…。
ここまで見てきて皆さんは「新車買えばいいじゃん」って思うでしょう。
そう。新車買えばよかった。やっぱ俺には中古車は合わない。
老舗の中古車屋さんに行った時、俺のアルファ見て指摘されたんだよね…。
「○○さん、たぶんあなたに中古車は合わないですよ」ってね。
でも買っちまったもんは仕方ない。
このタコを俺の手でよみがえらせてやる。
運転席の下から、ペットボトルの空きボトルと頭痛薬が出てきた。
これでもルームクリーニング済だとさ。
書類の中に税金を免除されている書類が見つかったので、
前オーナーは何か特殊な事情を持った人だったんだろう。
タバコを手放せなく、常にイライラ、ソワソワし、頭痛に悩まされていた、そんな人物像が浮かび上がった。
週末はストレス解消の為にこいつに乗り、、爆音を響かせていたのかも知れぬ。
それならメンテするより車に乗るのが優先だったのもうなずける。
さて、四の五の言ってないでやるぞ!