2014年01月19日
最後の書類を手に取り、処理を済ませ時計を見ると
21時半を回っていた。
『終わったみたいね・・・』とナナコが言った。
『あぁ・・・やっと終わった』とだけ言ったボクに
『行きましょうよ♪』と、ナナコはどうやら今夜は簡単には引き下がらない様子だ。
たしかにナナコはソコソコやり手の営業ウーマンなだけあって
言葉の操り方も上手く、1度自分で決めた事は実現させるために
あらゆる提案を出し、目的に近づけようとする子だった。
そして今夜は飲んで帰るという目的と、自分のグチを吐き出すのだと
決めたようで、ボクごときではどうにも回避する事はできなそうだ。
『じゃぁ行こう。せっかく待っててくれたんだし、好きなものご馳走するよ。』
『そうね。少し話してスッキリしたらお腹が空いてきちゃったわ。
明日は休みだし、焼き肉なんかどう?』
『焼き肉ならお薦めで連れて行きたい店があるんだ。』
そう言って、ボクは近所にある昔ながらの焼肉屋に入った。
かなり古びた店で換気扇の弱い店で七輪を囲み、ホッピーなんか飲みながら肉を焼くスタイル。
肉やホルモンにかなりこだわった主人が、その日のお薦めの肉を出してくれる、
ボクのキラーチューンな店。
『明日休みであれば少し煙くても良いよね?』
『ぜんぜん平気よ。むしろこういう店に女性だけでは入りづらいし嬉しいわ♪』
ナナコはあまりお世辞を言うタイプではないので、それは本心だろうとボクは思った。
そして「とりあえず」な感じで僕たちは生ビールとキムチ盛りを頼み、
肉を焼きつつボクらは呑み始めた。
他愛のない話をしつつ、そして少し酒が進んできた頃にナナコが話し出した。
『私ね、こういった1晩だけ寝るだけの関係って初めてなの。
30にもなって可笑しいわよね。最近特に結婚願望が強くなって焦ってるのかもしれないわ。
だって同級生や同僚たちが結婚していく姿ってホント嬉しい気持ちがほとんどだけど
少し寂しい気持ちもあるのよ。』
ナナコは本心を話し出した。
お酒が入ると仕事中に見る営業ウーマンの鋭い話の駆け引きは身を潜め
よく居る一般的な悩める女性にボクの目には映った。
そしてボクにはそれが少し可笑しかった。
『綺麗な身体でいる事が良いっていうのは昔の話であって、今では何であっても
たくさんの経験を積む事が良いと当たり前に言われているし、それが男でも、女でも
身体の関係であってもたくさん経験した方が人として魅力が増すもんだと考えているよ。
だからキミは今回の経験を後悔する事なんてないし、むしろ1つ男性経験が増えた事を
嬉しく思えば良い。今回の話をしてドン引きした友人だって本心は羨ましく思っているかもね。
これはキミを慰めているわけではなく、ボクの本心。』
ボクも釣られて本心で話した。
『ほんとアナタの考えてる事って変ね。悪い意味じゃなくって、ポジティブ過ぎるのよ。
いつも仕事の時の会話の時からそう感じてたわ。何となく元気出たわ♪何となくねw』
『それは誉められているんだとポジティブなボクは受け止めるよw
結婚を考えているんであれば、これからは自分を守る為に閉じこもるのは良くないわけだから、
もっとたくさん色んな男性と経験した方がいい。その方が世の中の男達も喜ぶよwww』
『ハハハ・・・何ソレ?』ナナコは笑いながら言い、
『世の男性の気持ちを代弁しているんだよwww』とボクは言った。
そういった話を交えながらホッピーも4〜5杯飲んでいると、
何となくナナコの表情もウチに来た時に比べれば格段と良くなってきた。
グダグダと愚痴を語る酒の飲み方じゃないという事が救いだった。
そして網の上の炭になりかけたカボチャを見て笑えるテンションに僕たちはなれた。
『って事はアナタも世の男性の1人なわけだから、私と寝たいとか考えてるのね?』
と、ボクをからかうように聞いてきた。
『キミは魅力的な女性だし、今までの話の流れだとそう考えてもおかしくはないよね。
でも取引先の女性やお客様と寝るような事をするほどボクは子供じゃないし、困っていない。』
『困ってない・・・?』
グラスの中の氷を1つ口に入れ、ボクに向けた瞳の奥には
酔って少し可愛く見えたナナコではなくなっていた。
そしてボクは瞬時にこう思った・・・
口を滑らせた。。。と。
ボクのワンミスで彼女はいつものナナコに戻った。
言葉巧みにボクの困っていないとはどういう事か?
その理由を聞き出すという、ナナコが決めた目的達成のために。。。
。
Posted at 2014/01/19 19:16:07 |
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