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ご自由に
『私もよくよく運のない男だな』
 ホワイトベースのサイド7への入港を捕捉したシャアが、ストーリー上の初セリフとして言ったのが、
この言葉だ。「私もよくよく運のない男だな。作戦が終わっての帰り道であんな獲物に出会うとは……」

 作戦が終わって弾薬なども尽きかけている状況で、敵の新造艦に出会う。人によっては、まさにピンチ。
“運のない男”だと思う。
しかしシャアの自嘲は少し違う。普通の人がこんなの無理だろうと思うものも、
いや引いて見れば、別のものが見えてくるから全然不可能じゃない。
ではこの自嘲するセリフからは、どんなことを読み取れるだろうか。

 「状況を客体視するということです。シャアは、自分が物語の中にいるのを認識しながら
シャアを見ているようなところがあります。『機動戦士ガンダム』という番組の登場人物で
あることを理解しながら演じているようなセリフです。後世の人が『シャアはこのときそう思った』
と言うようなしゃべり方を自分でして、自己確認していくんです普通は逆転の発想といいますが、
逆さまに見るのではなく、遠くから見る。状況全体を把握して、流れをコントロールする」

 シャアは仮面を常にかぶっているが、この仮面の効果もあるだろう。“シャア少佐”が彼にとって
すべてではない。そこが余裕につながっている。

 「『○○という会社の△△です』。このとき○と△がセットではないと辛いかということです。
会社を定年退職すると惚けてしまう人もいます。それはアイデンティティをそこに持ってしまうから。
もう少し距離を持てればいいんです。少なくともシャアは“シャア少佐”ではなくなっても、
自我が崩壊したり惚けたりはしないはずです。
自分というものの下にシャア少佐という存在があり、いろいろな役割が存在している。だから、客体視して
自分の行動を冷静に見られる。自分自身に対して有益な助言もできる。距離を持って物事を見られる」

ピンチに陥ったとき「運のない男」と自嘲しながら、局面を一歩引いてみて、プラスに捉えられるかどうか。シャアの自嘲に学ぼう。
ピンチをチャンスに

一流の目的と二流の才能

 『彼は常人よりは上位にありながら、ニュータイプとしては二流という、きわめて中途半端な才能を与えられていたのである。赤い彗星の異名を与えられた彼の前半生の輝きに比べ、ニュータイプとしての後半生が華やかさに欠けるのは、この見識と才能のギャップを突きつけられたからにほかならない』
特に後半生のシャアは、悩み、苦悩する人物として、誰もが自分に重ね合わせられるキャラクターです。
 「一流の目的と二流の才能。これは誰しもが持つものだと思うんです。でも、敢えてやらなくてはいけないと自分に課す。目標を掲げて、それを一流だと信じたら、それを成し遂げてみたいと思う欲は出ますよね。
そのときに、自分の実力はこれだけかと思う。
となると、二流だと自覚しながら自分でやらなくてはいけない。
そういうことって日常生活の中でもあると思うんです」

 「しかし自分は能力がないから、とあきらめる前に、目的のために何ができるかを考えていく、努力していくという姿勢がシャアにはある。シャアが努力している姿は見えないわけですが、
そのギャップに苦しみながら行動することが、人生における努力だと思います」

 「子供のころ、○○ちゃん頭良いね、と言われて育ち、そのうちだんだん成績が落ちてきて、
でも、いい大学に行かなくちゃと思う。そんなときにシャアを感じるわけです。また、いい大学を
出ていい会社に就職したはずなのに、え周りの皆こんなにできるの? と。学生時代にデキル
ヤツと言われていても、会社に入ってみたら当たり前だったというようなショック。その挫折で
ドロップアウトしないで、それでもやらねばならないとがんばっている」

 「そんな中で、昔、デキた時の彼を知っている人が部下として来るわけです。『シャアさんがん
ばってくださいよ』『昔すごかったらしいじゃないですか』『シャアさんならできますよ』。
一方で、なんでも要領よくできちゃう人もいますよね。アムロ。初めてものを任されたのに、ポンっとできてしまうわけです」

 「改めてシャアを見ると、痛々しいですよ。ずっと負け続けるわけですから。
それでも人生を降りないでがんばる。一方で、何でもできちゃうけどやらないアムロ。
いってみれば、アムロは見識は二流だが才能は一流なのです。勉強のできる子だっ
たアムロよりは、見えない陰で一生懸命勉強して追いつこうとするシャアのほうが好きですね」

 シャアになれるか?ならねば。

10の努力は1の才に負ける、では100の努力なら?1000の努力なら、1の才に負けるはずがない。
努力 努力なんですよね 凡人は・・・・
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