日本霊異記の話を小泉八雲が書き記した物を以前に読んだ記憶がる。
京都に身ごもった婦人の仏を葬った墓があり埋葬後墓の中で生まれた赤ん坊に
母御が乳の代わりに飴を与えるという怪談であった。
我が子可愛さに飴の代金代わりに着物の袖を二度に渡って置いてゆく女を
不審に思った飴屋の主人が女の後を付けて行き 其の女の墓場から赤子を
見付けるという話だ。
女性の子どもに対する執着は時に激しく激烈を極める。
私の敬愛する御婦人には素晴らしく胆のすわった豪傑が居られる。
御主人が逝去されたあと、 義弟が彼女の長男の商業権利を譲渡せよとせまったそうだ。
実の甥から仕事の権利を取らずとも善いではないか、 と諭すと
「四の五の申されるな、そのような御仁は我が家の獅子(彼はライオンを飼育しておったそうな) に喰わせてしまうぞよ!」 と申されたそうな。
御婦人はすかさず 「 獅子に喰わされると恐れて 我が子を窮地にさらす母でにはあらず、 喰わすというなら喰わせてみやれ!」 と宣ったそうな。
以後も御婦人は御健在でおられる、 獅子も彼女には歯が立たなかったらしい。
まこと 母の情けに勝るものは無い。