これでもか!という位に張り出した前後のフェンダー、ギュッと絞られたボディー。
地を這うような低い車体。
幼いころ絵に描いていた憧れのスポーツカーそのもの。
滑らかな曲線で形作られたFRPの艶めくボディーを開けて滑り込もうとすると、
「入ると抜け出せなくなるわよ、いいの?」
と、高いサイドシルが覚悟を問いただすかのように立ちはだかる。
バケットシートに身を委ね、ほぼ水平に投げ出した足先を上げると異様に重く感じる。
周りを見わたすと、アルミの板を接着して構成されたバスタブフレームの地肌が惜しげもなくさらけ出されている。
簡素な内装と必要最小限のスイッチ類が軽量化にこだわったレーサーのよう。
実際、軽自動車位の重量しかない。
小径の革巻きハンドルを握ると心臓の鼓動が高くなるのを感じる。
キーをひねりスタートボタンを押す。
少し長くセルの回る音がして、ブロン・・とサクラムの音とともに目覚める。
今日も良い音色を聴かせてくれるだろう。
ワインディングロードにハンドルを切り、緩急のコーナーを非力だが軽い車重と前後ダブルウィッシュボーンのサスペンションでヒラリヒラリとクリヤーしていく。
助手席のワイフは、かなりのペースで走っているというのにバケットシートに包まれているせいか、軽い寝息をたてている。
エリーゼとの会話の邪魔をしないようにしてくれているのだろう。
「もっと攻めて!」 「もう限界・・!」
ハンドルを握る手に、シートからお尻に、いや体全体に感情が伝わってくる。
ワインディングロードを走る今が至福の時。
高原を抜けて湖の畔に車を停める。
澄んだ空気の中にほんの少し焼けたオイルのにおいがする。
「ちょっと攻めすぎたかな?」
軽くウィンクしながらドアを押し込むように閉めた。
愛しのエリー
泣かされた事もある 冷たくされてもなお よりそう気持ちがあるからいいのさ 俺 にしてみりゃ これが最後の lady エリー my love so sweet ・・・
Posted at 2013/03/15 15:53:07 | |
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エリーゼ | 日記