
細切れにお伝えしていましたが、昨日
セルフディスカバリーアドベンチャーin王滝 100kmクラスに参加してきました。
このイベントは日本で最も過酷なマウンテンバイクレースとしてMTBライダーに人気のレースです。
場所は岐阜県に隣接する長野県の王滝村の林道を使って開催されますがこの林道は普段は林業で使用する以外は立ち入り禁止になっておりとても山深いところ。
そんな秘境という場所だけでも気分を盛り立てます。
写真を撮る余裕が無かったのですが、途中には巨大な岩が横たわっていたり山の中の湖があったり、走って来た者だけが見ることを許される絶景が待っています。
またセルフディスカバリーアドベンチャーという名の通り、全ては自分との戦いです。
そのため途中で3か所あるチェックポイントはエイドステーションにはなっているもののおにぎりもバナナもスポーツドリンクもくれません。与えられるのはエイドステーションや天然エイドステーション(滝や湧水)での水のみ。
全ては自分で用意して持っていった物だけで補給をします。
もちろん途中での自転車のトラブルも誰も助けてくれないため、それらに対応出来るチューブや工具も必要です。
前回私はパンクどころか鋭利な岩によってタイヤが裂けたため、パンク修理用のパンクパッチをタイヤに貼ってなんとか走りました。
途中でリタイヤするにも基本的には自分で帰ることが前提なので、私も今回途中でリタイアとなってから20km以上走りました・・・
そんな苛酷なレースを完走した者は「勇者」として讃えられます。
それら全てを含めてセルフディスカバリーアドベンチャーの魅力であり、人々を惹きつけて止まない魅力なのだと思います。
私は一昨年の5月に42㎞クラスで初参加した時からその魅力を知り、昨年の9月に100kmクラスに参加して73kmチェックポイントで時間切れでリタイアになってから取りつかれ、いつか必ず100kmを完走したいと思い続けています。
「いつも自転車ばっかり乗っているし、そんなレースに参加するくらいだからよっぽど体力自慢なの?」
と思われる方も居るかも知れません。
しかし実は私、運動音痴で体育の成績は5段階評価でいつも2~3。
泳げずカナヅチ、逆上がりが出来ない、マラソン大会では5kmも走れず途中で歩く・・・
そんな人間が悪路を100km走ろうなんて思えるのが、自転車の魅力でありマウンテンバイクの魅力です。
昨年9月のリタイアから「次こそ!」と思い準備をしてきた・・・つもりでしたが出来ていませんでした(;一_一)
まずは形からと29インチMTBを導入!
王滝の常連さん達のなかで目立つのが普通の26インチでなく29インチの大径ホイールを履いたマウンテンバイク。
ゲイリー・フィッシャー(今はTREKの中に吸収されていますが)が唱えて広まった29インチのメリットは
・大径のため路面の凹凸に強い・・・凹凸を拾いにくいためスムースに走れる。
・巡航が楽・・・タイヤが大きいほどタイヤが1回転した時の移動距離は長いですし、スピードも維持しやすい。
・トラクションが掛る・・・路面との接地面積が広くなるため。
などなど、言われてはいますが実際に体感しなければ何とも言えません。
というわけで実際に王滝を走った感想は・・・
結論:王滝で29インチのフルサスに乗らないなんてありえない!!!!!
昨年9月は26インチのフルカーボン&フルサスMTB(GTマラソンカーボンTEAM)で出場したのですが、それはそれで超軽量で良いのですが、今回の29インチフルサス(GTセンサー9rPRO)に乗ってみて感じたことがありました。
・路面の凹凸が平らに思えた瞬間があった!・・・26インチではハマってしまう凹凸でも29インチだと凹にハマらなかったり、凸と凸を渡って走ることが出来る。なのでスムース♪
・トラクションがすごい!・・・小石や砂やでとんでもない路面状況の中の登坂ではトラクションが掛らずスリップしてしまう場面がありますが、29インチではほとんどありませんでした♪
というわけで、王滝を狙っている方には29インチはオススメです。というか26インチはありえないと思いました。
さらにフルサスであれば完璧です!ガレ場の下りもかっ飛ばしていけます。
肝心なレースですが、100kmクラスは1000人の定員ですがこの悪天候のため出場を見送った方も多少はいるとは思いますが、基本的にこのレースに参加する方々は超人なのでコンディションが悪いほど燃えてしまう癖があります(笑)。そのため結構な参加者がいたように感じます。
私は同僚2人とともに100kmクラスに参加。
スタート順は自転車を並べた順番なので朝の4時半の解禁と共にトップを狙うツワモノは並べますが、私はそもそも邪魔者なので最後尾で良いのでゆっくり行きます(それで昨年はスタートに遅刻・・・)。
神主さんによる御岳山に安全祈願を参加者全員で行い朝6時にいざスタート!
まずは氷が瀬の林道入り口まで6kmほどのアスファルトを走り、いざダートへ。
まずは10kmほどのひたすら登りが参加者を苦しめます。
そして私のヒザにもすぐに違和感が発生。
やはりダメか・・・
と思いつつスペシャライズドのメカニックであるEDDYさんとランデブー。
前回はEDDYさんの超高速ライドに付いていき途中でバテたことが敗因だったので今回は騙されないと思って走っていたところ、今回は超スローペース。また惑わす気か(笑)。
そして途中でグリップの締め付けに問題がありグリップが回り出す・・・
仕方なく途中でストップをして携帯工具を取り出し締め付け。
そこで同僚に抜かれる。
しかし途中でまた抜き返す。
実は彼は100km完走歴のある勇者。
今日は調子が悪いのか?余裕が無いような表情。
そのまま淡々となかなか良いペース、もちろん29インチのおかげで超楽チン♪
やはり29インチは王滝に最適だなと思いながら走る。
でもヒザは痛み出す。
ヒザの痛みは負荷のせいもありますが曲げ伸ばしの連続によるところが大きいので、これは防ぐことは難しいです。
正直30kmのチェックポイントでリタイアを考えながら制限時間4時間のところ30分残しで到着。
このレースは山の中でアップダウンを繰り返しますが、そこは標高1500m近辺。
そしてこの台風。
土砂降りでコースが川のようになっている中を走っているので走っている時は良いのですが止まったり下りは寒い・・・
すでにびちょびちょでしたがもう1枚レインウエア―を着ながら補給食を摂取。
そんなことをしている間に同僚は休憩せずに通過したというのはゴール後に聞いた話で、その後も抜かれなかったのでてっきり私の後ろで走っているものだと思っていました。
30kmでリタイアを考えつつも、ここでリタイアしてはカッコ悪いしなと思い60kmチェックポイントを目指すことに。
ここからが地獄の始まりだったとは・・・
スタートしてすぐの下りではパンクが続出して路肩で修理している方が多数。
こんな寒くて手がかじかんでいるなかでチューブ交換なんてありえない・・・
と思い鋭利そうな岩を慎重に避けつつ下りをかっ飛ばす。
が下りだからと言ってダウンヒラーとしては余裕の勾配なので前回は漕いでしまったのが失敗。
王滝の下りは休憩するために漕いではいけないと教わったので今回は我慢して慣性で下る。
と言ってもかなりのスピードが出るため、途中で転んで仲間に介抱されている方を見ましたが血だらけでした・・・
そんなことで坂を下り一休み。
補給食を食うべとステム後ろに付けていたフレームバックを開けると・・・
すっからか~ん
そうです、途中でちょっと食べた時にバックのファスナーを閉め忘れ、恐らく下りで吹っ飛んでいったのでしょう・・・
パワージェルなど8個ほどを失いました。
幸い残り半分はバックパックの中にあったため最悪の事態は逃れました。
ところで王滝を走っていると必ずやってくる時間
心が折れそうになる・・・
こんなに走っているのにまだ40km?
こんなに頑張って漕いでも時速5km?
500mしか進んでない?
もう辞めたい・・・
ということが何度も頭をよぎります。
しかしここでリタイアしてもどこから帰るんだ?
そうです、結局進むしか無いのです。
そんなうちに湖に到着。
ここが王滝で唯一の長い平地区間です。
実はここが私が29インチに乗ろうと思ったきっかけの場所だったりします。
前回の王滝のこの場所で、心が折れかかっていた私を横目にスーっと走り去ったのが千葉県八千代市の
自転車じて吉の佐藤店長だったのです。
私は26インチ、佐藤店長は29インチ、同じペースで漕いでいるのにどんどん離されていきます・・・
ツライ!
そんなこともあってこの区間は楽しみでもありましたが、今回のこの区間、水溜りだらけでまともに走れません・・・
でも前を走る26インチをどんどん抜けたので、やはり29インチはイイ!
そんなことで平地区間を抜けて登りに入ったところで休んでいると・・・
じて吉佐藤店長キタ―!!!
休憩を止めて痛むヒザをいたわりながら必死に追いかけ並びました。
「お互い次元の低いライバルだよね~」と笑える瞬間でした。
実は先ほどのように平地区間で抜かれるまでは抜きつ抜かれつを繰り返していたライバルでもありました(でも佐藤店長は前回はちゃっかり100kmを完走したそうですが)。
そんなことでしたが走りながらお互いの現状を伝え、なんとか60kmまで時間内に行ってそこでリタイアしようということに。
ここからが私たちの勝負でした。
今回は佐藤店長は29インチは売ってしまったということで26インチのクロモリハードテールというかなりのハンデを持ったバイク。登りは私より多少は速いですが下りで遅れる。
それの繰り返しでした。
時間的にはギリギリ行ける・・・
二人ともそう思っていましたが、制限時間15分前に「60km地点」の看板。
「やった」
と思い走り続けるも目の前は延々と登り・・・
あと5分・・・
痛むヒザにムチを打って悲鳴を上げながら走りましたが、時計は制限時間の13時を表示しました。
ダメだった・・・
13:02
65kmほどの地点にチェックポイントがありましたがちょうどセンサーを片付けているところでした。
私はわかっていたので
残念だ~
と言って、係の方もお疲れさまでしたと言ってパワーバーをくれました。
聞くと私の1つ前に走っていた方がギリギリクリアー。
その方が次のチェックポイントを目指しスタートしていくのを ガンバレ―! と後から続々と到着した方々と共に拍手で送り出しました。
そこで私の100km挑戦は終わりました。
そこからは敗者の道、42㎞コースへ入りひたすらダートの下りを経て舗装路に出てから10kmほど走りスタート地点になんとか戻りました。
凍死するんじゃないかと思うほど寒く、ひざも限界を超えていたためアスファルトの坂でさえなんとか登れるかという感じでした。
ふらふらの状態で戻ると同僚2人がすでに戻っていました。
100kmクラスは結局大雨の増水によりコース終盤にある橋が決壊しそうだということで80人ほどが通過した後は73kmチェックポイントで終了ということになったそうで、2人とも無事にそこに行って完走となったということでした。
それにしてもすごい!羨ましい!
私はというとグローブを外した手は血色が無く真っ白け、肝心のヒザは内出血のようで紫色に変色・・・
ボロボロの状態でしたが、体力的にも今の疲れ的にも100km完走出来たのではと思えるほどでした。
9月までにはなんとか完治させて100km完走だ!と意気込んでいる次第でありました。
というわけでこんなツライことだらけのSDA王滝でしたが、ものは試し!
9月はお待ちしています!!!
今回の写真は
こちらで!
長文最後まで読んで頂きありがとうございました(^v^)
追記
敗因はヒザ痛もありますが途中で写真撮影しなければクリアー出来たんじゃないかという噂も・・・
走行距離:87.7km(リタイアしてから20km以上走っていたとは・・・)