
桜の季節
逢いたかった桜に逢いに
いってきました。
水上勉 『櫻守』
植木職人であり
桜に一生を捧げた主人公弥吉が
「わしが死んだら、お寺はんにたのんで、そこへ埋めてくれ…」
そう言って
桜のもとへ還っていったという
その彼岸桜『清水の桜』
滋賀
海津大崎の桜並木より
少し外れたところにあります。
『櫻守』より
~墓地ぜんたいに
かぶさるように大枝を張った桜は
見事だった。
車がわきまでゆかなかったので
国道にとめておいて
弥吉は小雨の中を歩いていった。
根もとから二た又になった
この彼岸桜は
U字型に大幹を二本伸ばし
宏大な墓地に
存分に枝をはっていたが
真下の墓石はみな
軍人の墓だった。
(中略)
戦死すれば
桜の下へもどってこれることを
夢にえがいて
召されていったのだろう。
弥吉は
小雨に濡れる戦死者の墓標に
傘をさしかけるようにして
枝を張る冬桜をみて
瞼がぬれた。
・ ・ ・
私が清水の桜のもとに着いたとき
桜はまるで
私を含め
他所からきたひとたちを
じっと観察するかのように
静かにたっていた。
他のひとたちは
正面からながめ
数枚写真を撮ると
すぐに帰っていったけど
私はしばらく
桜のまわりをぐるぐるまわり
ゴツゴツした幹に触れ
桜の息吹を感じれないかと
耳をすました。
見上げると
花の終わりがけの
白い花と青い空が
どこか儚げに見えた。
こんどは
桜から離れ
墓地の中を歩き
桜の方へ振り向いてみた。
その瞬間。
ふわぁっと風がふいて
清水の桜の花びらが
桜吹雪となり
墓石に
私に
舞いおちてきた。
なんや
まるで映画のワンシーンみたいな演出やな…
ずっと黙っていた桜が
語りかけてくれたような
気がして
涙が出た。
最後に
桜の幹に
抱きつくように触れて
清水の桜を
あとにしました。
夢のような
ひとときでした。
櫻守の中で
桜を愛したひとたちは
植樹用のソメイヨシノより
古来の山桜や里桜を愛した。
確かに
ソメイヨシノは華やかで
可愛らしい。
けれど
なるほど
里桜、山桜は
華やかさとは違う
淡いけれど強く
儚げなのに
存在感がある。
老桜の清水の桜
私は少し来るのが遅かったらしく
本来、ピンクの花なのに
散り際の白い花に変化していたので
来年またこられたら
ピンクの花を
墓地にめいいっぱい広げた
神々しさに溢れる
清水の桜が見たいです。
水上作品は
私の心にすぅーっと入ってくる。
さあ
『櫻守』を読み返し
昼寝するとしよう。
o(__*)Zzz
追記
桜はデリケートなので
私みたいに木の根もとを歩くのはよくないです。
そーっと。(; ̄ー ̄A

Posted at 2014/04/15 12:50:55 | |
トラックバック(0) | モブログ