※この記事はその後改訂版として書き直しました。大幅に加筆修正していますので、
そちらへどうぞ。
(https://minkara.carview.co.jp/userid/801052/blog/)
私はかなり前から車の補修に模型用エアブラシを使用しているんですが、先日そのことで詳しいことを教えてくれと聞かれました。ネットにも情報が少なくて…と言われ、初めてググってみましたが、本当に少ない。載っていても細かい話が無く、模型用と実車用では塗料も異なりますから、意外に困ることも多かったり。
私が始めた頃はネット黎明期なので情報ももちろんなく、自分で試行錯誤してノウハウ確立しましたが、今でもこんな状況なので、自分用のメモ書きも兼用してまとめてみようと思います。
■メリット
タッチペンでは大きすぎ、且つスプレーだと小さすぎる傷の補修、これに尽きます。タッチペンで大きい傷を補修すると、どうしても筆ムラが出てフラットになりません。そして、パールやマイカ塗料だと上塗りでクリアーを塗ることになりますが、このクリアーが粘度が高くて塗りにくく、普通の色以上に盛り上がりやすい。エアブラシではクリアーでも薄くフラットに塗れます。塗膜が弱いところにクリアーだけ吹くという使い方にも重宝します。
また、タッチペンだとどうしても傷の周囲の縁が残ってしまいますが、エアブラシならスプレーと一緒でぼかせます。この傷の境目がぼやけるだけでも目立ち方が全然違いますから。
逆にスプレーで小さい傷を補修すると、マスキングだらけで大げさ&面倒です。スプレーは吹きつけ量が多いため、うまくやらないとマスキング剥がしたら段差が出来てることも。マスキング無しで細かく吹けるのはエアブラシならでは。
加えて、(深く踏み込めば)調色などの細かい調整も可能。ここまで本格的に考えてる人なら、こんな初歩的な解説は不要でしょうが…。
ちなみに、私のEDは前期パール(046ウォームグレーパールマイカ)ですが、この色は本職の方でも手こずる難しい色。下手な工場に頼むと全く色合いません。
タッチペンだと結構色合うんですが、スプレーだと致命的に色合いません(泣)スプレー塗料が濃すぎて、一目で色違いがわかってしまうほど。これがエアブラシなら結構緩和できます。調色すればさらに合わせられるんでしょうけど、そこまで器用ではないので(汗)
ボディ以外にもホイールにも使ってますが(普通のシルバー)、こちらは何もしなくても違和感ありません。
■デメリット
道具が高い、慣れが必要、この二点に尽きます。
コンプレッサーまで揃えれば大体2万にはなります。コンプレッサーをエア缶で代用する手はありますが、思いの外エア缶はすぐ無くなるし、中身が少なくなるとエア圧が安定しないデメリットも。
このためだけに買えと言われれば躊躇しますよね。模型でもやらないと他の使い道もないし。
逆に、既に模型やってて道具お持ちの方は是非と思います。言われるまでもなく試してそうですが(汗)
ちなみに、私はこのためだけに買ってしまいました(汗)
また、使ったあとに洗浄するのも結構面倒です。洗浄用のシンナーも必要だし。
■エアータッチとの違いは?
最近は同じ使い方が出来るエアータッチやエアープラスというのが出ていますよね。使ったこと無いので詳しいことは書きませんが、ググってみるとやはり微調整が難しい模様。大量に塗ると高く付きますし。
何より一番困るのが、クリアーが吹けず、専用スプレーで塗るしかないこと。結局スプレーに頼ることになるのは個人的にちょっと…。
■塗料について
タッチペンかスプレーの塗料をベースに希釈することになります。これらの塗料はニトロセルロース塗料、いわゆるアクリルラッカー塗料になります。
うすめ液はMrカラーから出てるうすめ液(模型店や量販店の模型塗料コーナーにあります)を使用。成分は合ってますし、実際初期の補修傷はもう10年近くなりますが、特に問題出てないので大丈夫です。
ちなみに、エアブラシ用のレベリングうすめ液もありますが、乾燥時間が大幅に増えて作業しにくい割には仕上がりは大して変わらないので、通常のうすめ液がオススメです。
ちなみに、ホイール塗るときはホイール用タッチペンとスプレーが出ていますから、これを使います。ただ、ホイール用タッチペンは3色しかないうえ、なかなか置いてる店もないんですが(取り寄せが手っ取り早いです)。
最近凝った塗装のホイールが多いですが、ああいうのだと近似色を見つけるのが大変そうです。ハイグロス塗装もクリアを厚塗りすることになるだろうし、補修はしにくいんでしょうね。
また、エアブラシの洗浄用のシンナーも必要になります。これも同じMrカラーのツールクリーナーを使用。これは車に直接使うわけではないので、車との相性は関係ありませんね。
ちなみに、間違ってこれで塗料を希釈して吹き付けると悲惨な仕上がりになってしまうので、くれぐれもご注意下さい(経験者が語る…汗)。
■エアブラシについて
車に使うにはノズル口径0.8mm以上のものがいいと聞いたものがありますが、小さい傷の補修ならよく売ってる0.3mmのもので十分対応できます。
私はタミヤのダブルアクションタイプ(0.3mm)使ってます。
コンプレッサーやエア缶は予算に応じたお好みでどうぞ。
■タッチペン塗料
多分車用に使うのに一番悩むのがここ。塗料の希釈です。メーカーの説明など当然ありません。ググってもシンナーで薄めたとしか書いてないし。
私の試行錯誤の結果では、2.5倍(塗料1に対してうすめ液1.5)程度が最適解でした。マージン考えるなら2.0~2.5倍の範囲内。
この辺、エアブラシは個人の使い方(クセ)によって変わってきますし、色の濃度調整も絡んでくるので一概には言えませんが、大まかな目安にはなると思います。
模型の世界だとラッカー塗料は希釈率2~4倍(塗料1、うすめ液1~3)と言われており、私の設定は濃いめになりますが、車用のタッチペンはダマを防ぐために比較的薄めの粘度になっており、また実車用途だと塗膜の厚さや強度が求められること、吹きつけ回数の作業性(薄めだと重ね塗りが多くなって大変)なんかを考慮すると、この辺がバランスいい気がします。
ちなみに、あまり濃くしすぎると、塗料が詰まってブツブツ出てきたこともありました(当然塗装面もブツブツの粗目)。色も明らかに濃いめ。逆に薄くしすぎると、水っぽくなりすぎて塗料がうまく定着しないことも(爪であっさり剥がれました)。
調整幅あるように見えて、意外にデリケートです。模型やってる方なら試し吹きの感覚で判別可能でしょうが。
なお、私はソフト99の塗料を使っていますが、このタッチペン、12ml入りと書いているものの、実際に調色ビンに出してみると10.5mlしかありませんでした。
(後日追記、その後きっちり12ml入ってるタッチペンもありました。以前のは在庫期間が長くて揮発したんでしょうか?)。
なので、うすめ液もキリのいい15mlにしてます。厳密には希釈率2.43倍になっていますが、どのみち計量カップでの希釈は誤差が多いので、マージン内にさえ収まればいいと思って結構アバウトにやってます。
調色ビンと計量カップは必須になりますね。できれば塗料を混ぜるための調色スティックも(タッチペンの中に入ってる撹拌用の玉をそのまま調色ビンに入れて使ってもいいですが)。
■スプレー塗料
もう一つ、スプレー塗料を使う手もあります。
タッチペンの希釈がいいのは間違いないんですが、いちいち塗料を計測して作るのが大変なこと、塗料単価が高く付くのがネック。
そこで、私はクリアだけはスプレー塗料使ってます。クリアなら多少希釈割合が前後しても色合いに影響はないし。
ただ、スプレーの場合はエアブラシよりエア圧が高いし、ノズルも大きいので、そのままではタッチペンほどではないにしろ、濃度が高すぎます。なので、ハンドピースのカップに直接スプレーを吹き付けて塗料を出し(厳密にはガスが混じるのでよくないんですが、手間をかけては本末転倒なので無視)、そのあとうすめ液も直接混ぜます。カップの中で爪楊枝でかき混ぜればいいかと。
ここでの希釈割合は感覚でやっていたのではっきりデータ化してないんですが、1.25倍くらいで十分だと思います。タッチペンと違って、気持ちうすめ液を足してあげる感覚。濃いめだと粗目塗装になってすぐに失敗がわかりますが、薄めだと後で塗膜が剥がれて凹むことになるので、濃いめ設定の方が安全です。
■下地処理
傷に凹みがある場合、スプレーと同じでパテで埋めてから塗ることになります。ただ、パテだと、パテ自体の色もエアブラシで覆い隠さないとならないので、小さい傷ならタッチペンの塗り重ねでパテ代わりにする使い方もあります。これだとタッチペンの仕上げに薄く吹くだけで済むので作業が楽。タッチペンだと何度も重ね塗りしながら様子見れるので、ヤスリがけも少なく済みますし。
どちらの方式でも、エアブラシ塗布前のヤスリがけは必須です。
■吹きつけ
エアブラシでもう一つ重要なエア圧ですが(コンプレッサーの場合)、私は1.0kgf/㎝2が最適解でした。ただ、これも使い方や塗布面積にもよるので難しいところですが。
例によって長くなりましたが、こんなところでしょうか。
文字情報にできるノウハウはこんなところなので、あとは慣れあるのみです。使いこなせば融通効いていいもんですよ。長く乗ってると、気になるけど、塗装屋に出すまでもないような微妙な傷って結構ありますから。