一昨日の報道ステーションの特集は金型職人の話だった。
スタジオに実際の金型を持ち込んで、金属の平板がデジカメのボディにプレス加工される仕組みを説明した。
これなら「ものづくり」に関わっていない人にも解りやすい。
自分も金型に深い関わりを持つ業界にいたが金属のプレス加工やその金型を目にする機会はほとんどなかった。
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番組HPより引用
http://www.tv-asahi.co.jp/dap/bangumi/hst/news/detail.php?news_id=11025
2011年3月1日 (火)
【特集】日本の金型職人、中国で奮闘
技術、生産量において世界トップレベルを誇る日本の金型。1枚の金属板を自在に変形させ、立体的なフォルムを生み出す。金型があれば
1000分の1ミリ単位の精密さで大量生産が可能になる。産業の要である金型を作ってきたのは、日本の中小企業だ。しかし、その技術
力は今、大きなグローバル経済の波にさらされている。中国・福建省の地方都市・福清で、技術指導者として日系メーカーを渡り歩く金型
職人がいる。中国で奮闘する日本の金型職人を密着取材した。
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金型やプレス技術の流出が問題だ、という話は嫌になるほど報道で聞いている。実際、自動車関連金型製作の大手が中国資本に買収された
り、定年を迎えたベテラン技術者を引き抜いたりと、その手の話にいとまが無い。
番組に登場した職人は技術一本で4社を渡り歩いた仕事人だが、顧客が次々に中国に移転していき、仕方なく自分の工場をたたみ、中国に
渡ってプレス工場で技術指導している。63歳。単身赴任。普通なら隠居して余生を楽しんでもいい立場だ。中国での住み家はベッド一つ
に小さな机があるだけの小汚い部屋。そこに仕事が終わって帰ってくるのが午後9時。更に自室のPCを使って設計などの仕事。悲しいかな
技術屋の性w
番組では日系企業に卸すディスクブレーキの部品をプレスしていた。機械の稼働率を最大にしたいらしい。それほど中国でもコストが厳し
い。
不良発生。ブレーキパッドのバックプレートの平面度が出ない。プレス機の設定を修正して解決する。
別の不良発生。その場で金型修正。
現地オペレーターは、言われたことは出来るが、基礎知識がないので自分で考えて問題を解決できない。
だから、基礎から丁寧に指導する。
中国製の材料で作った金型は良く壊れる。材料のスペックすら不明。だから材料だけは日本から取り寄せる。
(余談だが金型材も作れない中国の鉄鋼技術、推して知るべし。ビル、船、海底油田施設、建造中の空母とかかなり危険w)
「中国の材料は分子が粗い」と言った。分子? なるほど結晶を巨大分子と考えれば確かに分子だw
東大阪の金型修理専門工場には毎日数十個の金型が運び込まれる。3割が中国の金型。
仕事人曰く「技術流出などと言ってる時代じゃない。中国と仲良くしていかないとコストが下がらないじゃないか」
でもそれって
(これは仕事人に文句を言ってるわけじゃないよ)
・「同じ皿洗いをするなら東京よりバンコクの方が時給が安い」と言ってるのと変わらん。
・これからも日本は「技術立国」で行くらしいから、いい加減、隠居してくれ。
・国内の高コストの産業が消え、より付加価値の高い産業が代替するなら文句はないけど。
・その腕じゃ海外生産の日本ブランド車には危なくて乗れないね。現地部品調達率、下げたら?
Posted at 2011/03/03 20:23:54 | |
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