5:視覚…焦点距離、視野の範囲H.E.:焦点距離は一定=一定した遠近感や視界の範囲(広角的、望遠的な見方は可能)。C.E.:交換レンズにより焦点距離を変えることが可能=遠近感や視界の範囲を変えることが可能。 H.E.では焦点距離は変えることができませんから、近くを見ても、遠くても遠近感は一定です。また見える範囲も一定ですが、眼球の移動や首を捻ることで広い範囲を見渡せ、また意識によって若干の望遠的な見方をすることもできます。 C.E.では焦点距離の異なる交換レンズの存在によって、遠近感や視界の範囲を変えることが可能です。対象までの距離や、前後のボケの具合など、組み合わせによる表現方法は無限といっても過言ではありません(交換レンズの持っている、それぞれの特徴については後述)。 6:まとめ H.E.とC.E.が様々な面で異なっていることを少しは理解いただけたかと思います。それは言い換えれば、目で見た位置でそのままカメラを構えて撮っても、必ずしも見た印象どおりには写らないということです。逆に言えば、目で見た印象を、そのとおりに写真として残そうと思えば、H.E.とC.E.によって生じている差異を何らかの操作や行動などで必要になってくるということであり、時にはカメラの位置(対象までの距離や高さなど)も変えた方が良いかもしれません。 今回参考にしている資料は二十数年前の「ノート」なのですが、改めて見てみるとデジタル化やそれに伴うテクノロジーの発達によって、当時よりもはるかにさまざまな部分の自動化が進んでいることに驚かされました。特にデジタルコンパクトカメラの機能に至っては、です。どうやら目指している方向性としてはH.E.のようです。顔認識機能などで撮りたいモノを判断して自動でピントを合わせ、適切なホワイトバランスにして、場合によっては暗い部分などは補正したり、あるいは自動でフラッシュを発光させたり。 でも、それらは全て万全、万能ではないのですね。カメラとしては与えられたことを忠実に従っているだけなのですが、時と場合によってはそれが好ましくないときもある。では、そういう時にどうするか? それは撮影者自身が補うしか方法がないわけです。特に「1:物の見方」は自動化が進んでも補い難い部分ではないかと改めて思いうのですね。