
3:鮮鋭さの範囲、焦点の選択。
H.E.:全てが同時に鮮鋭に見える。
C.E.:ピント合わせによって、鮮鋭像を得る。それ以外はボケ像。
H.E.では対象を見ると同時にピントが合い、鮮明に見えます。近くを見ていて、いきなり遠くを見てもピントが合わないということはありません(近視、乱視、老眼などの場合は矯正していることを前提としています)。
C.E.では何らかの方法で「ピント合わせ」を行わなければ、鮮鋭な画像は得ることができません。そしてピントが合っていない部分は鮮鋭ではない「ボケ像」となります。
画面の中に鮮鋭像(写真の主題となるモノ:視線を引く力)とボケ像(主題を強調させるモノ)が同時に存在することが人間の目では得られない写真の独自性だと言えます。
カメラの自動焦点合わせ機能(オートフォーカス)が発達して、かつてよりは「ピンボケ」を起こす機会は減ったといえるでしょう。しかしながら、その機能も決して万能、万全ではありません。撮影者が望む部分(主題)に、カメラがピントを合わせる場所(フォーカスエリアなどと言われる)が一致していなければなりません。撮影時には、そのあたりの確認も必要であり、一致していなければ手動でフォーカスエリアの選択や、フォーカスロックの活用、あるいはマニュアルフォーカスでのピント合わせも必要になってきます(オートフォーカスが得意な被写体、逆に苦手な被写体もあります。カメラの機種によって異なったりますので、説明書などを参照してください)。
4:瞬時性、動きに対する見方
H.E.:瞬間的には作用しない…動きのイメージを定着できない。連続した動きとして知覚。
C.E.:シャッターの機能によって瞬間の固定が可能…時間の蓄積。モノのブレによる動きの表現。
H.E.では瞬間を捉えることはできません。常に連続した動きとして見ています。
それに対して、C.E.では速いシャッタースピードなどを用いれば瞬間を捉え、固定することができます。また、逆にシャッタースピードを遅くすることでモノの動きは「ブレ」となり(通称「動体ブレ」)、動感の表現となります。
例えば、野球でバッターがボールを打つ瞬間は人間の目では見えませんが、カメラならば速いシャッタースピードを用いればバットにボールが当たる瞬間を捉えることができます。また逆にシャッタースピードを遅くすれば、バットなどの動きはブレとなって、振り抜く様子が動きのイメージとして見る側に伝えることにもなります。
さらにもっとシャッタースピードを遅くすれば、例えば夜に走るクルマの車列のヘッドライトやテールランプを光の軌跡として画面に定着することができます。これが時間の蓄積であり、この場合は光も同時に蓄積していると言えます(H.E.では光の蓄積は不可)。
次回で、この章の最終回の予定です。
Posted at 2010/12/17 21:25:37 | |
トラックバック(0) | 日記