新聞をみていた頃　(ジャニスイアン『17才の頃』マイバージョン)

今のようにネットもスマホもない時代、テレビも一人一台ではなく一家に一台だった時代、新型車の発売の情報は新聞しかなかった。

運動部に所属しているわけでもなく、かといって勉強に集中するわけでもない暇をもてあましていた中学年の頃。
近所のお金持ちの坊っちゃんが三流大学の入学祝いにケンメリのハードトップを買ってもらいその車に彼女をのせているのをバカにしながら羨ましく思い、そんな未来は自分には絶対来ないとわかってしまった頃。

車ディーラーもない田舎の町。
新しい車の情報は新聞広告しかなく、学校に行く前に新聞を開き広告だけを見ていた14才の頃。

今はもう顔も名前も思い出せないが、日曜日には近所の子供たちとキャッチボールをするのが楽しみだと言っていた素朴な同級生がいた。彼はまた、努力した分しか返って来ないとも言っていた。

そんな現実を突きつけられても
相変わらず努力もしないでただ新聞広告を見ていた14才の頃。