多摩アルのブログ一覧

『鍵の掛かった男』 有栖川有栖。
いわゆる人探しの物語。というよりその人生探し。
人生は多かれ少なかれハプニングの連続で、まあこういう事もあり得るな、と思わされてしまう。
犯人の動機がちょっと？だが、現実に起きる事件も動機がわからないものが多いのでそれはそれでよしとしよう。

心に残ったのは本文中での大御所の言葉。
「物語の最後にちゃんと理にかなった解説をつければそれはミステリー小説、つけなければ文学作品になる。」
「直感とは決して超常的なものではなく、あやふやな事実の集合体だ。」


なるほどなー。

『ベルリンは晴れているか』と『そしてバトンは渡された』 2冊立て続けに読んでみた。 どちらも本屋で見つけた本だ。 ベルリンの方は、第二次大戦前後のナチスドイツを舞台にしたミステリー。壮大な背景に対して、本質部分のストーリーはやや小さく、圧倒的な歴史の流れに負けている感じがしたが・・・。それに物語の発端になる事件の動機やそれを利用しようとするソ連の軍人たちの立場にもあまり触れらることなくすませているのもちょっとものたりなかったと思ったが・・・。 バトンの方は三人に父親と二人の母親を持つ女の子の物語。 しかし深刻な悩みを抱えているわけでもなく、終始微笑ましいエピソードを取り入れながら一人称で淡々と話は進む。 まあ、小説だから現実的にはこんなことありえないなと思いながら読んでみたが・・・。 ベルリンは時代が時代だけにそして場所が場所だけに血なまぐさい描写が多くあり、殺人も起こる。 バトンは平和な現代日本を舞台に、傷つく人は誰もいない。でもこの2冊、全く違うようでいてかなり共通点がある。 それはどちらも若い女性が物語のほとんどの部分を彼女たちの目線で語っているということ。 そしてどちらも現在の状況とそれを補完する過去の記述が交互に書かれているということ。 またどちらも主人公はその女性たちであるようであって、実はそうとも言えないということ。 そして最後はどちらの物語も、女性と行動をともにした男性が彼の言葉で物語を締めくくり、ベルリンを晴らして、またバトンを渡しているということ。 どちらも最後は後味よく、ちょっと感動して終わります。

雪女と蟹を食う。
久しぶりのコミックス。しかも新品。
何十年ぶりだろう？。
小説も漫画も物語の類は膨らませたものをいかに収束させるかが肝心。
そういう意味では前回読んだ『ベルリンは晴れているか』は
ちょっとものたりなかった。
しかしながらこれは納得する結末を迎えなくてもいいかもしれない、と思わせる。
さて、何十年ぶりかの新品のコミックス、いつ読み始めるか？。