東京証券取引所の斉藤惇社長(71)と大阪証券取引所の米田道生社長(61)は10日午前、経営統合へ向け協議入りする考えをそれぞれ明らかにした。
共同で持ち株会社を設立し、現物とデリバティブ(金融派生商品)など商品別の取引所を傘下に置く方式を軸に検討、2012年秋の発足を目指す。両社長は月内に会談し、統合協議入りで基本合意する見通しだ。
東証の斉藤社長は同日午前、東京都内で記者団の取材に対し、「海を越えてやるよりも、まず国内。似たようなところは1つでいいんじゃないか。交渉はしたい。前向きに考えていきたい」と積極的な姿勢を表明。
大証の米田社長も大阪市内で記者団に「やるなら3カ月以内に基本合意まで行きたい」と述べ、「できるだけ早期にイノベーション(革新)が起きる形で進めることが大事だ」と語った。
東証と大証の両社長は月内にも話し合い、統合に向けた協議に入ることで合意する。東証は実際の統合に先立ち、4月から引受証券会社の審査など自社株式の上場準備を開始。今秋の上場を目指す。これを前提に、来年秋の統合へ向け具体的な交渉に入りたい考えのようだ。
一方、すでに新興市場ジャスダックに自社株を上場している大証は、大証がまず東証株を証券会社などの既存株主から現金で買い取ったうえで、両取引所の商品別の再編を進めていく2段階の経営統合案を検討しているとみられる。
東証と大証がそれぞれ考える統合方法に隔たりは残るが、両取引所とも最終的には共同で持ち株会社をつくり、その下に商品別の取引所をぶら下げる形を想定する。
東証は現物株取引で9割以上のシェアを持ち、大証は日経平均先物などデリバティブ取引で5割のシェアを持つ。今回の統合協議では、東京と大阪という地域別の枠組みは見直し、現物株とデリバティブを別組織に再編・一体化して運営コストを引き下げていく考えだ。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)を運営するNYSEユーロネクストとドイツ取引所が合併で合意するなど世界で取引所の再編が加速しているのは、規模の拡大で経営を効率化して、取引所の競争力を決する取引システムの投資余力を高めるためだ。日本の二大取引所である東証と大証も経営を一体化することで世界の取引所間競争で勝ち残りをねらう。
東証と大証の統合交渉が本格化すれば、他の取引所にも動きが波及する可能性がある。東京工業品取引所の江崎格社長は同日、東証と大証の経営統合への参加について「(将来の交渉については)可能性を排除しない」と述べた。関西商品取引所(大阪市)の岡本安明理事長も「総合取引所に向けた動きで歓迎する」とコメントしている。
ブログ一覧 |
企業動向(企業再編) | 日記
Posted at
2011/03/12 09:48:56