既に、わたしの五選に参加されている2名の方から、今年は5台ベストカーを選考するのが難しい、とのことで、何かと難航しそうですが、当方は何とか・・・ではなくて、しっかりと5台選んだ上に、今回新たに設定した「特別枠」に対しても、別の1台で対応しました。
では、いよいよ発表です。
【第1位】 VW ゴルフ
(画像) VW ゴルフ 直4横1.4T TSIハイライン・ブルーモーションテクノロジー DCCパッケージ バイキセノンパッケージ プレストン18インチアルミ 7速DSG FF (344.5) 9.43(1320kg/140馬力)
本企画を提案するに辺り、当方にとっては「ゴルフありき」でした。
と言うのも、実用車としての完成度の高さでライバル他車を圧倒していたから。
ジャイアンツが強いと、何かとアンチ巨人が現れるのも人間の心理で、隙間がないくらいに出来が良いと、どこか反骨精神が生まれるというもの。
そんな中、当方もあえて優等生ゴルフⅦを外すクルマ選びをも、同時に提案してきた、そんな1年でした。
そんなゴルフⅦの中でも、当方一押しグレードは、気筒休止機能付き1.4TSIを搭載したハイラインで、尚且つジキルとハイド的にコンフォート性とスポーツ性とを高い次元で両立させてきたDCCパッケージ付き仕様なのです。
更に、オプションの18インチタイヤにインチアップして、尚且つクルマの動きとしてのしなやかさを失わない、サスペンションの仕上げの良さが光った仕様のインプレを以下に抜粋します。
期待外れなポロ・ブルーGTに乗った後に、ゴルフⅦのハイラインに改めて乗ると、格段にクルマの仕上げが違うことを実感する・・・。
何が違うかと言えば、ボディ・サスペンションの剛性感の高さであり、かつ18インチにインチアップしてもバネ下重量を感じさせない脚の動きにしなやかさを感じる部分であり、DCCをノーマルモードにしてステアリング操舵力を軽くしても、確実にドライバーにインフォメーションを伝える部分なのです。
走りと燃費性能との両立という部分で言えば、この勝負は格段にゴルフの方が上手。
燃費とかしなやかさとか言えば、むしろ新型ゴルフGTI以上にも思ったくらい・・・。
しかも、クルーズコントロールと連動したレーダー機能が付くのはゴルフⅦだけのものであり、ポロにもトゥーランにも今のところは搭載されず。
5ナンバーサイズのポロも良いけれど、今度のゴルフⅦの完成度の高さは、そこらの並の新型車のレベルでは到底ない程であるだけに、出来るならば頑張ってゴルフⅦを選んで欲しい、と思った程。
【第2位】 ランドローバー レンジローバー
(画像) ランドローバー レンジローバー V8縦5.0SC オートバイオグラフィー 8速AT AWD (1670.0) 4.94(2520kg/510馬力)
2位と3位は、エグゼクティブカーの連続となりましたが、何も当方がセレブの味方をしているから・・・ではなくて、高額車なら何でも・・・でもなく、実際に乗って心の底から、これ良い!欲しい!と思った、のが選考した理由であること、ご理解いただけたら・・・と思います。
以下、レンジローバーの試乗記を抜粋。
3代目でBMW資本になって以降のレンジローバーを、電子制御装備が増えたことを揶揄して「電子レンジ」と称することが某CCV誌で多々あったのですが、更に高級化・大型化しながらもオールアルミボディで軽量化(それでも車重2.5t強!)した新型4代目と接して思ったのは、大パワー・大トルク・重い車重を見事に手なづけた仕上げである、ということです。
それは、決してランクル勢のようにアクセル踏み始めで不意に乱暴に加速することもなく、ランクルよりも更に重い車重ながらエアサスを使って、高い剛性感に基づいたボディ・サスペンションを基本に、プレステージカーの名に恥じないしなやかさを持って躾けられているのです。
プレステージカーの名に恥じないのはパワートレインのみに留まらず、前後全席において見た目だけではなく、実際の座り心地まで贅沢な居住空間に仕上げているのは、ここでもランクルが及ばないところです・・・。
510馬力で車重2.5tオーバーですよ!
通常だったら、ブレーキング時に制動力が弱くて・・・があってもいいはず(アウディQ7には、その傾向があった・・・。)なのに、街乗りにおいても普通
それにしても、V8・5Lスーパーチャージドのクルマのように制動できる・・・。(ポルシェ911のような制動力が・・・という話ではないですが・・・。)
PSだって、伝統の油圧式のままで、低燃費と高効率に貢献するけれどもフィーリングが不自然になりがちな電動PSは採用せず。
ただ、唯一車重の重さを実感するのが発進時の加速時のみ。
それすらも、悪戯にドライバーにアクセルを踏ませようとする演出されたスポーティーさが強調されていないため、500馬力オーバーのモンスターでありながら、その獰猛さをアクセル全開時以外では感じさせることのないジェントルさを醸し出しているため、先の車重の重さ故の発進時の鈍ささえ弱点とはならない程のまとまり具合なのです。
これならば、1670万円を投じて、惜しみなくプレステージカーの世界を味わえる、そう確信した1台でした。
【第3位】 ポルシェ ケイマン
(画像) ポルシェ ケイマン 水平6縦3.4 ケイマンS 左H 7速PDK MR (820.0) 4.31(1400kg/325馬力)
ボクスターと共に911とモジュール設計で、911がRRに対してボクスター・ケイマンはミッドシップで、回頭性面では優位に立つも、911のプレステージ性?確保の為に、常にエンジン排気量は911よりは小さく、かつリアサスは911のマルチリンクに対してボクスター系はストラットで簡略化、更にはボクスターはオープンボディで、ケイマンはリアハッチバック形状で、ボディ剛性面でも格下扱い。
という部分で、プアマンズ911の立ち位置が強要されているのは、新型ケイマンも例外ではないけれど、981ボディになってからはドアパネルは専用設計となって、よりミッドシップスポーツカーらしいスタイリングになった、と言う部分は進化として認めても良いのでは?と。(ご指摘された福野礼一郎様、ありがとうございます。)
と言いつつ、やはりポルシェのエンジンレスポンスは格別で、他ブランド車での代用は到底効かないもの。
その証拠に、エンジン音は勇ましいけれど、エンジンフィール・ギア変速フィールに切れ味が欠けてたジャガーFタイプに乗った時、つくづく思った・・・。
よって、純粋なスポーツカーとして、更には普段の街乗りでもコンフォートなスポーツカーとして、純粋に評価した、というのがケイマン選考の理由です。
以下、試乗記抜粋。
ケイマンって、所詮プアマンズ911でしょ?
911の優位性を保つために、あえてエンジンスペックを落として、ボディ剛性面で不利なハッチバックボディとし、簡素なリアサスでストラットレイアウトを採用したモデルでしょ?
と、ある程度達観していたケイマンですが、今回の981ボディになってからはミッドシップ専用のドアパネルが採用されたことで、ドア後方に大胆なエアダクトが付いた、よりミッドシップらしいスタイリングへと進化したことで、かつて程のかっこ悪さは影を潜め、実際に乗っててもミッドシップらしい軽やかなコーナリング特性を味わいやすい1台へと変わったことが大きな進化ではなかったのでは?と思ったのです。
この際、ポルシェのことだから、運転環境がドラポジが・・・とは一々言わないのは、そんなのポルシェにとっては常識中の常識でクルマ作りをする上で、まず外さないポイントであるから。
昨年、新型911カレラSに乗ってエンジンスペック過剰で楽しみきれなかったこと、そして2.9Lのボクスター右Hでエンジンのパンチ力に欠ける傾向があったことを思うと、今回のケイマンSはスポーツカーらしい迫力と、扱いやすいパワーで等身大に近い感覚であったことから、今の自分に相当合ったスポーツカーの1台ではないか?と確信したのでした。
これがベストです・・・と断言するには、同エンジンでもスペックに違いがあることから、2.9Lのケイマンはどうか?同じ3.4Lなら911カレラはどうか?いっそのこと4駆ワイドボディのカレラ4は?という疑問に応える必要があるので避けますが・・・。
おそらく、当方自身としては、丁度等身大よりかは、少し自分を追い込む選択をすることでしょう。
と言うのも、ポルシェ乗って単なる成金趣味に成り下がったのでは、何ともかっこ悪いではないですか!
トランスミッションについて触れると、もはやMTの必要性が薄いのでは?というか、大方のドライバーにとっては、むしろPDKの方が速くスムーズに走れるのでは?と思う程進化を感じました。
普段乗りはノーマルモードで十分で、マニュアル車に乗った感覚で変速制御するので、Dレンジホールドでも全然OK!
スポーツ+モードに入れると、7速は封印されるけれど、下手なMT以上の変速スピードを誇って、スポーツカーらしい引き締まった走りを実現してるので・・・。
【第4位】 トヨタ クラウン
(画像) トヨタ クラウン V6縦2.5 アスリート 6速AT FR (357.0) 7.64(1550kg/203馬力)
!
とかく、マツダ車のクルマ作りを以って、クラフトマンシップと言われることが多いけれど、その心は「職人の技能。職人芸。技巧」とのことらしい。(コトバンクより)
でもね、実際に乗ってみると、オールスカイアクティブ満載のマツダ車は、まだまだVW・BMWなどのドイツ車と比べてしまうと、ボディ・サスペンションの剛性感や走りの質感面で、大きな隔たりを感じてしまうのです。
では、何でクラウンと関係あるの?と言われそうですが、クラウンの脚って、実は相当出来が良い、と当方は思っているのですよ。
基本設計で言えば、ゴルフⅦ基準なら確実に10年は時代遅れなんだけど、荒れた路面を結構なハイスピードで通過した際の、衝撃の吸収性が非常に高く、そこにボディ・サスペンションの剛性感の高さを感じたわけです。
でね、クラウンって元々日本国内専用車両で、日本の国土に最も合わせて設計された高級サルーンで、これ程に日本人に合ったクルマ作りって、他車種では見たらないことで、これはこれで凄いことだと思うのです。
そんな中で、時代が変わると共に世代交代した日本人が求める高級車の走りも変わり、昭和時代ならば50年代のアメ車が理想だったのに対し、今ではメルセデス・BMWなどのドイツ車に負けない高速走行性が求められていて、そんな今の要望に応えながら、クラウンらしさはきっちりと継承している。
例えばの話、今回紹介するただのアスリート(ガソリン)でも、同日に試乗した320i・GTスポーツと比較すれば、純粋なステアリングインフォメーションだとかボディ・サスペンションの剛性感でタイマン比較ではクラウンは劣勢になる。
けれども、それはBMWを目指したけれど達成できなかった類ではなくて、やろうと思えば、よりダイレクトな乗り味に仕上げることは出来たけれど、それを目指すとクラウンらしさを失うから、あえてステアリングフィールは軽めにして、脚も必要以上に固めにはしないで、あくまでもストロークの長さを確保することを優先する。
そんな日本人の意地、みたいなものを感じたわけです。
そりゃ、コスト面を言えば、購入時の出費が多くてもハイブリッドの方が圧倒的に優勢で、購入後の燃料代で大差が付く、というのは目に見えているのですが、それでもあえてガソリンで・・・というのも説得力あるところ。
と言うのが、欧州ではトレンドになっているダウンサイジングターボ搭載じゃなくて、往年のマルチシリンダーエンジン独特の味わいが残っているから。
と、走り面で純粋に評価できるのも、走りに関係ない装備でプライスアップしていない、クラウンリピーターからは敬遠されがちな廉価グレードだからこそ。
手動シートリフター・手動チルトテレスコピック機能付きクラウンこそが、当方としては最も誇りを持って乗れるクラウンなのです。
【第5位】 ボルボ V40
(画像) ボルボ V40 直4横1.6T T4 セーフティパッケージ 6速DCT FF (289.0) 7.94(1430kg/180馬力)
ボルボV40の選考に関しては、直4のT4への印象は抜群に高かったけれど、5気筒のT5に対する印象、特にRデザインで大きく低下し、それの差し引きによるものである、とご理解いただきたい。
特にRデザイン、パワートレインのしつけイマイチで、発進でグワ、トルコンで変速切れ味落ちて、脚ガチガチで、今のボルボじゃ最もボルボらしくないという意味で、T5・Rデザインは、むしろワーストボルボ。
それからすると、直4・1.6Lターボ+DCTは、これでRデザイン名乗って良いのでは?と思う程、走りはスポーティかつ安心感高いもの。
その中でも一押しは、インチダウンタイヤが付いたSEが付かないT4なのです。
以下、試乗記抜粋。
より豪華装備が付いて安全装備が選択出来て、お買い得感が非常に強いT4-SEで良いじゃない?と一瞬思ってたけれど、廉価仕様のT4がまた素晴らしい。
これを指名するだけの価値すらある、と確信したのです。
何がそんなに良いのか?
まず、16インチタイヤにインチダウンして、脚の弱さを感じることなく、かつステアリング操舵力が軽くなって、よりフットワークが軽快になったから。
第2に、布シートは素晴らしいです。
と言うのも、四季を通して快適に使えて、しかもローコストで手入れがしやすいから。
しかも、シート調節機能が手動になるも、シート座面角調整も残されており、この部分ではゴルフ勢を超えた部分であることも推したいポイント!
更に、メッキ加工がなくなってはいるけれど、その分見た目が精悍になったステアリングも、革の質は高額グレードと同等の上質なタッチで、実際の乗り味の部分で廉価仕様にはなってないのが素晴らしい・・・。
でも、やっぱり装備は欲しいからT4-SEにするけれど、後で16インチにインチダウンしたら・・・とお考えの方もいらっしゃるでしょうが(当方もその一人^^;)、レーンキープアシスト機能との関係上、誤動作の恐れがあるために、安易にタイヤサイズを変えない方がいいとのこと。
また、T4に17インチタイヤのオプションも可能だけれども、その際には16インチ用のデータを一旦アンインストールして17インチ用にインストールし直す必要があり、かつこの操作で元には戻せなくなる、というリスクとの相談になる形です。
V40全般で言えば、相当にグルメな車種ではあるけれど、本当にグルメな1台を・・・となると、それ相当の覚悟が・・・と言うのは、どこの世界でも共通?
【特別枠】 スズキ キャリィ
(画像) スズキ キャリィ 直3縦0.66 KX 5×2速MT AWD (105.5) 14.80(740kg/50馬力)
今回の特別枠設定には訳があって、性別の壁を越えたはるな愛さんをCMキャラクターに起用するという、スズキの英断を評価してキャリィを選考するため、言わばCM大賞での選考の意味合いを込めてのことで、「キャリィありき」だったのです。
昔だったら、表社会からは弾き出されて、夜の水商売しか職業がなかっただけに、今回の新型キャリィのCMを見て、時代が大きく変わってジェンダーフリーへの道が更に開けた、と思ったからなんです。
クルマそのものは、エンジンが新世代になって安全装備が増えた軽トラック、という以外は、あまり見どころはなかったのですけどね。^^
では、試乗記を以下抜粋します。
満を持しての、はるな愛さんCM出演の新型キャリィ試乗です!
旧型から大きく変わったのは、ショートホイールベースのフルキャブ方式に一本化したこと。
それにより、旧型ショートホイールベース比でクラッチペダル位置が自然な位置になり、かつキャビンが広くなって使いやすくなったのです。思えば、旧ショートのキャビンはある意味被虐的な狭さで、当方の記憶ではシートを後方に目いっぱい下げても、まだ狭く感じたものでした。
更に大きく変わったのは、搭載されるエンジンがK6Aから新型R06Aに換装され、先行してMRワゴン・ワゴンR系の乗用車で搭載されたときと同様に、低速域でのトルクが増大して、あたかも排気量が上がったかのようなトルクフルなエンジン特性となり、非常に乗りやすくなったことです。
一方で、残念なところを申し上げますと、旧型4駆では全グレードに副変速機が付いていたのに対し、新型では見習わなくてもいいところでハイゼットを見習って?高額グレードと農業向け仕様以外では副変速機を廃止してしまったこと。
もう1点は、今回乗った3台中の新型キャリィで、少なくとも2台に対して電動PSのアシストに不自然さ
があったこと。
といった部分もありますが、今の乗用車が電子制御が増えて人とクルマとの対話が希薄になりがちなクルマ作りが目立つ中、本来の目的はプロの道具に過ぎないにしろ、人とクルマとの間に余分なものが少ない分、皮肉にも中途半端なスポーティーカーよりも遥かにクルマの動きをダイレクトに伝わって、ある意味究極のスポーツカーになり得ている、という部分に非常に魅力を感じているわけです。
なので、FRレイアウトであることをいいことに、ハイリフト4駆でクロカン仕様にしたり、また車高調+ローダウンでドリフト仕様にしたりと、遊びのクルマとしても色々と楽しめる魅力満載なのです。