欲しいクルマ、必要なクルマ

フリードが我が家に来て1週間が経とうとしています。
今回12年振りに私がクルマを購入したわけですが、2014年に新車で購入したグレイスがあるのに
何故この様な短期間で乗り換える事になったのか語りたいと思います。


まず前車ホンダグレイスは、2年前から一緒に住むことになった伯父のクルマです。
1年ほど前に近所に外出した際に転倒し大腿骨を剥離骨折してしまい、
以降めっきり運動量が減った伯父はみるみるうちに運動力が落ちていきました。

月に3～4回はゴルフの試合に自分でクルマを運転し出向いたり、杖も使わずに電車で上野アメ横に一人で出かけるなど、とても90歳を優に超えているとは思えないほど元気だった姿からは想像がつかないほどです。
剥離骨折といえども治癒には相当時間がかかり、その間に衰えた筋力では低い所に座った状態から立ち上がるのにかなり苦労するようになりました。



そしてグレイスはセダンボディです。スポーツクーペほどでは無いですが
シートの取り付け位置自体が低く、特にクルマから降りる時になかなか体をシートから起こせない様子を何度も見て
「これはもうクルマを変えた方が良い」と判断しました。
伯父だけでなく母も高齢ですし、今後のことも考えたクルマ選びが必要でした。

正直言うと自分一人で乗るなら「ミニバン」は最初に除外されるジャンルだというのは私の愛車歴を見てもらえれば察しがつくと思います。
しかし今回は「家族のためのクルマ選び」をしなけれななりません。
がそれでもミニバンは最後の手段でした。

まず「シートの座面が高い位置にあるクルマ」を条件に、私自身十分納得できるモノとして選んだのが「SUV」です。



今や世界中で最も新しい売れ筋のジャンルなので各メーカーが力を入れて開発し
非常に選び甲斐のあるラインナップになっています。
5人乗せることすら滅多に無い我が家にとって3列シート車は不必要ですし
無駄に長いボディは自宅駐車場の敷地的に適していません。

SUVは基本5ドアハッチバックやステーションワゴンの地上高が高くなったボディなので
視点が高いこと以外はすんなり受け入れられると思いました。
そしてシート座面が高いならもう言うことはありません。

ところが実際にSUVの選定で最初につまづいたのが「その高さ」でした。
地上高が高いということはサイドシルが高い位置にあるということですが
ランクルやパジェロのような本格クロカン4WDならともかく
乗用車ベースのSUVなど地上高180ミリ程度がほとんど
200ミリを越えるのはスバルぐらいでした。



実際私は普通のクルマと同様に接する事ができたのですが
伯父も母も「乗り降りしにくい」というのです。

伯父はともかく母まで言うのは意外でしたが、サイドシルの高さだけなら問題なかったのですが
SUVに多いサイドステップの幅広さが問題でした。



またサイドシルと室内側フロアの段差も大きく、
大袈裟に言うなら風呂桶に入るような感覚なのだそうです。
高さ故に膝を90度ぐらいに曲げた状態で脚全体を上げつつ、幅広いステップをまたぐのは体力の衰えた人にとっては想像以上の苦行だったのです。

また大径タイヤを収めるためにタイヤハウスも大きく、その分室内側への張り出しも大きいため後席のバックレストよりも前にタイヤハウスが出ているSUVもありその張り出しが邪魔なのと、
脚が通るステップ回りの開口部が当然狭くなります。
つまりドアがどんなに大きく開いても実際に足を通すスペースは普通のクルマより狭いというわけですね。




この時点で選択肢は「底床ミニバン」に限られましたが、何せ今まで興味の無かったジャンルなので、1から勉強し家族構成や自宅周辺の道路事情、車庫敷地などを鑑みた結果、
残ったのがホンダフリードとトヨタシエンタでした。

必要な装備を着けていくとどちらもほぼ同価格なので
後は「走らせてみてどうなのか」だけです。




何度か試乗し、乗り心地やHVシステムとトランスミッションの点ではシエンタの方が良いと感じましたが
運転支援システムや安全装備の差（特にアダプティブクルーズコントロールの有無）、よりミニバンらしいアップライトな着座位置でフリードに決めたと言うわけです。

それにしても今回の経験でいかにこれまで自分本位のモノ選びをしてきたかを痛感しましたね。
そしてやはりクルマ選びは「難しい」し「楽しい」と再認識しましたし
何よりミニバンも勉強してみると結構奥深いモノで、
決してメーカー全て十把一絡げに出来るようなシロモノでは無いと感じました。