2013年06月20日
大人のための絵本。母親の優しさ
お気に入りの絵本より
私なりの翻訳解釈に文章を修正しています。
むかし りんごの木があって
かわいい ちびっこ と なかよし
毎日ちびっこはやってきて
木の葉をあつめて 木とあそぶ
ちびっこ は 木のみき によじのぼり
えだにぶらさがり
りんごをたべる
あるひ 木と ちびっこ はかくれんぼう
あそびつかれて 木陰でおひるね
ちびっこは木がだいすき
そう
とてもだいすき
だから木もうれしかった
けれど ときはながれてゆく
ちびっこ はすこし 大人になり
木はたいてい
ひとりぼっち。
ところがある日 そのこがひょっこりきたので
木は言った
「さあ ぼうや わたしのみきにおのぼりよ わたしの えだに ぶらさがり
りんごを お食べ。」
すると その子は
「ぼくは もう おおきいんだよ
きのぼりなんて おかしくて
かいものが してみたい
だから おかねが ほしいんだ
おこづかいを くれるかい?」
木はいった
「こまったねえ わたしには お金はないのだよ
あるのは はっぱと りんごだけ
それじゃ ぼうや わたしのりんごをもぎとって うったら どうだろう。 そうすれば
おかねも できて たのしくやれるよ」
そこで そのこは きにのぼって
りんごを もぎとり
みんな もっていってしまった。
木は
それで うれしかった
それから そのこは
長いあいだ 来なかった
木は 悲しかった
ところが ある日
その子が ひょっこり もどってきたので
木はうれしさ いっぱい
からだを ふるわせ
木は いった 「さあ ぼうや わたしのみきに おのぼりよ
わたしのえだに ぶらさがり
たのしくすごして おゆきよ ぼうや」
おとなになった そのこは
「きのぼりしてる ひまなんかない」
「あたたかな いえが ほしい」
「およめさんがほしい こどもがほしい」
だから いえが いる
ぼくに 家を くれるかい?
木が 言った 「わたしには 家はないのだよ
この 森が わたしの 家だから
だけど わたしの えだを切り
家を 建てることは できるはず
それで たのしく やれるでしょう 」
おとこは えだを きりはらい
じぶんの いえを たてるために
みんな もっていって しまった
木は
それで うれしかった
だが おとこは
また 長いあいだ 来なかった
そして おとこが ひょっっこり もどってくると
木は うれしくて
ものも いえない
ほどだった
「さあ ぼうや」
「さあ ここで おあそびよ」
おとこは 言った
「年はとるし 悲しい事ばかりで
いまさら あそぶ 気持ちになれないよ」
船に 乗って ここから はなれて
どこか とおくへ ゆきたい
船を くれるかい?
木は いった
「わたしの みきを きりたおして
ふねを おつくり
それで 遠くに いけるでしょう
そして たのしく やっておくれ
」
おとこは 木を切りたおし
船を つくって 行ってしまった
木は それで うれしかった
でも
それは ほんとかな?
長い としつきが すぎさって
おとこが また 帰ってきた
木はいった
「すまないねえ
ぼうや
わたしには なんにもない
あげるものは なんにもない
りんごも ないし、、、」
よぼよぼの そのおとこは
「わしの歯は よわくなって
りんごは かじれないよ」
ぶらさがって あそぶ
えだも ないしねえー
「としよりだから えだに ぶらさがるなんて むりだよ」
みきも ないから
のぼれないしねえー
「疲れて きのぼりなんて。。」
木は ふっと ためいきついて
すまないねえ
なにかあげられたら いいんだが、、
いまのわたしには なんにもない
いまの わたしは
ただの ふるぼけた きりかぶだから、、、
よぼよぼの そのおとこは
「わしはいま たいして ほいしいものはない
すわって やすむ しずかな ばしょが ありさえすれば。
わしは もう つかれはてた」
木は
「ああ それなら」と せすじを せいいっぱい のばし
「さあ ぼうや
こしかけて
こしかけて
おやすみなさい」
男は それに したがった
木は それで うれしかった
シェル・シルヴァスタインのおおきな木
という絵本を私は持っていて、この人の絵本は絵が特徴的で、物語も読む年齢によって感じ方が変わる不思議な絵本です。
他に一緒に持っているのは
ぼくを探しに
ビッグ・オーとの出会い : 続ぼくを探しに
の三作を所持してます。
どれも大人が読むと子供と感じ方がまったく違う。
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Posted at
2013/06/20 01:40:57
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