ウチのコスモLは、かれこれ11年前に、なぜか510ブルーバードなどオールド日産を専門にしているお店から売りに出されていたのをみつけて、久留米まで入手しに行った個体です。
当時ODOメーター56,000kmほど、13Bは幸いにもかなり程度のよい状態でした。ただ、製造されてから33年も経っているわけですから、その後それなりに手を加えてきており、なかでも走行性能に大きな影響を与えたのが、クラッチのOH(クラッチカバーにクラックが入っていた)と前後ショックアブソーバーの交換でした。
たまたま、ですが実家の近くにヨーロッパを中心とした自動車パーツの買い付けをしているお店があり、主にはフェラーリグッズやランプ類などイタリアのものが多いのですが、BilsteinやKONIをはじめレアもののショックもたくさん在庫をそろえてくださっています。とくに古い国産車に適合する当時もののショックも買い付け次第で店さきに並ぶことがあり、マツダ車では、1970年代のRX-3、RX-4、5(共用です)、そしてサバンナRX-7用のKONIショックなどが手に入ります。
ちょうどコスモLを入手して4年後、ルーチェ・コスモ用のKONI製当時もの(フロント)が入っており、お店をたずねて店主とお話ししたところ、片方がどうも固着気味だけど、たぶん使えるのでは?ということで購入しました。また、リアについても、当時のリジッドアクスルはそれほど形式が多彩ではなく、たとえばコスモのようにショックが直立しているタイプなら共用できることが多いこと、たぶんポルシェ356用の可変ショックが適合することをおしえてもらい、KONI7という現行品(ポルシェ356用は現在も普通に流通している)を入手したのでした。(タイトル写真は、純正(TOKICO)フロントショックで、交換時に撮影したものです。ストラットケースのなかでオイル漏れをしていました)
では、以下に備忘録として、いまはなきBlogariの拙ブログ記事を再掲しておきます。(つい最近、件のショップの在庫をチェックしたところ、またRX-3、4、7用が入っているようです。ルーチェ用は、コスモと共用と思うのですが、未確認です)
以下引用-----------
さて、本当に入るかどうか不安が残っていましたが、もともとCDコスモ、ルーチェ用適合だったフロントショックばかりでなく、ポルシェ用の汎用ダンパーであったリアも、ちょっとの工夫で問題なく入りました。めでたい。では、フロント、リアと新旧対比してみます。
まずは、フロント。入れたのは、これ。
リアに入れたのはこれです。
フロントのCDコスモ適合品は、もちろんすでに製廃品ですし、おそらく今回の入手も奇跡的なものだったと思います。事実上の最後の1セットだったかも知れません。ただ、フロントストラットに関しては、すでに車高調を実際に入れておられる方もいらっしゃいますし、サスごと換える手もあると思います。一方、リアはポルシェ356用で、製廃かどうかは確認できていませんが、おそらくパーツ自体は世界中に、そして日本にも結構残っているはずです。私が入手した先では、フロントはもうない、と断言してましたが、リアはまだまだあるね、モノも新しいし・・ということでした。
ただ、ちょっとだけ注意があります。今回、同梱されていたゴムブッシュがオリジナル品ではなかったのかも知れませんが、トップのネジ山の長さと合わないのです。
こうやって使うのですが、コスモのリアに取り付けようとすると、附属のゴムブッシュをかませるとネジ山の残寸がたりなくなって、ナットを締めることができないのです。今回は、もともとついていたゴムブッシュ(ヘタッたためか、幸い薄かったので)をそのまま流用し上手く装着してもらえました。
-------------------------引用おわり
実は、これで終わりではなくて、フロントの当時ものの片方が固着ぎみ、とコメントしていましたが、これがその後さらにひどくなってゆきました。
どうしよう、と困ったわけですが、実はこのショックがKONI製であったことが、さいわいしました。KONIは半永久的にレストアサービスをしているのです。
ここからは、その後の顛末を記したブログの再掲です。
引用再開-------------
装着して1,500 kmほど走ったころでしょうか、今年の2月ころから右フロントサスが大きめのギャップに乗ると、「ゴクッ」という異音を出すようになりました。症状が短期間に強くなりましたので、リフトアップして調べてもらったところ、右フロントサス伸び側で動きが悪化していました。やはりダンパーの引っかかりのようです。
いずれどの時点かでは、純正で組めなくなることは判っていましたので、そろそろ車高調でサスを組み直せというお告げかも知れません。それでも、ひょっとして・・という期待もあって、KONIの代理店を調べると・・。現在はFETさんが取り扱っている様です。
すぐにFETさんに連絡をとってみたところ、なんとあっさり「できますよ」という一発回答でした。ただし、「個人との取引はできません」。さて、困りました。ダンパーを入手したショップは、趣味のパーツ販売ショップで、工場を持っていませんからNG。そこで、いつもお世話になっている知人の工場(普段はスバル、三菱車中心)にするか、純正パーツでお世話になっているマツダさんにするか、だいぶ悩みました。ダメもとでマツダさんにお願いしたところ、快諾していただくことができ、マツダさん経由でオーバーホールを依頼することになりました。
そこで明らかになったことは、「どんなに古いものでも、KONI純正ショックならば、元通り装着できるようにオーバーホール可能です」という事実です。すばらしい。
作業後の状態(どうやらダンパーケース以外、ほとんど中味が換わった感じですが)
よくみると、ケーストップを塞ぐ部品の長けが短くなっています。また、ストラットケースへ挿入するネジ山も見えません。実は、ダンパーケース先端に寸法を調整するためのアダプタ(ワンオフの削りだしに違いありません)をかませて、これ↓
でストラットケースに押しつけて固定する仕組みにかわっていました。
で、肝心の乗り心地ですが・・。
ちょっと信じられないくらいフラットになりました。というか、私たちの時代のKONIといえば、純正より相当しっかりしたスポーツダンパーでしたし、実際に当時所有したSA22Cに装着した印象も「硬い」の一言でした。コスモに装着した当初も、フロントは昔風に硬くしっかりした印象しかありませんでした。一方、今回のフロントサスの仕上がりは極めて現代的なそれで、細かいアンジュレーションを消して「軟らか硬く」フラットになる、言ってみれば「今風」によく動くアシになっていました。
意外というか、想像以上の出来で、リアのKONI7ダンパーの特性と相まって、高級車のそれです。あとは、これがどれくらい続いてくれるかですが、とにかく現在は相当得した気分です。
-------------------------引用おわり
上記のレストアダンパーの記事は、2015年6月のもので、ODO 75,000km頃です。結果として、このときの印象がその後6年間維持できていることになります。
なお、リアダンパーのゴムブッシュは、現在も古いものをそのまま使っていますが、最近話題にしたNolathane製で新品が入手可能とわかりましたので、非純正品の流用ではありますが、理論的にはコスモの足回りをほぼ完全にリフレッシュできます。
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2021/05/05 18:58:52