■癌の原発巣を切ると、
何故か転移が早まって結果的に死んでしまう。
一時的に「癌の手術や治療をするべきではない」
と言う話がありました。
(近藤先生の「患者よ癌と戦うな」が有名ですね)
癌の手術は、人を長生きさせる事もありますが
逆に早死にさせることもあり、これらは経験的に語られてきた事です。
■
治療による癌の増殖(2007年)
の紹介です。
外科手術、放射線、抗癌剤治療によって時に癌の転移が促進されることがあるが、このひとつの理由がマウスの研究で明らかになった。ドキソルビシンや放射線治療がTGF-beta(腫瘍増殖因子ベータ)値を上昇させ、乳癌細胞の肺への転移を促したが、TGF-betaを遮断する抗体を投与すると、その進行は制御された。
癌治療後に再増殖、進行することは広く認知されている現象である。原発腫瘍が他の部分での腫瘍成長を抑制しており、原発腫瘍を取り除いたり破壊したりすることによって、他の部位でのまだ発見されない小さな腫瘍の増殖を惹起するのではないかと、長年専門家は考えてきた。腫瘍の増殖と抑制にかかわるTGF-betaはその答えを握っているかも知れない。TGF-betaを抑制する抗体を投与したマウス、およびTGF-betaタンパクを欠如させたマウスではこの転移のプロセスは全く起こらなかった。
このチームでは、現在乳がん患者のTGF-beta値を測定して、TGF-betaの増加する割合、またTGF-betaを抑制する薬剤などを研究している。おそらく、治療後の増殖の原因となるものはTGF-betaだけではないと考えられ、多くの要因のひとつであろう。ロイター原文4月6日
外科手術は休眠している癌細胞の血管新生を目覚めさせるか?
原発腫瘍の摘出手術を受けた乳癌患者において休眠中の癌細胞の血管新生を呼び覚ますのではないかとの説が若年性乳癌の早期再発を裏付けていると見られる。
INTERNATIONAL JOURNAL OF SURGERY誌によると、3つの試験の解析で、外科手術のみを受けた1,173人の乳癌患者のうち再発のピークが18ヶ月後と5年後の2つあることを突き止めた。さらに調べてみると、閉経前のリンパ節転移陽性患者の20%では、腫瘍摘出手術後10ヶ月以内に再発していた。このことは40-49歳の患者に起こる「マンモグラフィー・パラドクス」を説明するものだという。検診を受けない群に比べ、検診を受けた群の死亡率が暫定的に高くなるという、理論にそぐわない現象で、このデータによると、外科手術誘発血管新生が中央値2年以内に疾病を進行させ、3年目の検診時に若い女性1000人のうち0.11人の早期死亡をもたらすと予測される。
原発腫瘍は血管新生阻害物質を分泌しているため、自然に転移を抑制している。(*過去のフォークマン記事参照)原発腫瘍を切除するとその阻害物質を排除することになり、同時に、(手術に伴う)傷の治癒のメカニズムにより血管新生促進物質が活発になる。
「癌が手術後に急激に増殖する事実は100年にもわたって観察されてきた。メカニズムは十分に解明されていないが、手術中に誤りが起こったからというのではなく、むしろこのような要因によるところが大きいと考えられる。」
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■このようにバイスタンダー因子であるTGF-βは癌の転移抑制にも関わっているわけです。
(既に癌の人はバイスタンダーで転移が促される例もある・・・かもね
でもそれが全員かといえば全くそんなことはない)
■面白い事に・・・このコメントに興味深い論文の紹介があります。
内容的には今までと同じですが(2006年)バイスタンダーの意味合いの
深さを教えてくれます。
低線量放射線と細胞内シグナリング
日本には、紹介しただけでも
これだけの資料がオープンアクセスで存在します。
これほど研究が突出していながら・・・皮肉を言うなら
そうですね、喩えて言えば、
バンダジェフスキー博士が来日しますが
バンダジェフスキー万歳!!!!
とか盛り上がっているだけではもったいないな、と思います
(むしろバンダジェフスキー博士こそ
こういった論文を知りたいと願っていると思われる)
広告塔として来日させるのではなく、
そういった意見交換を
現時点での研究者とつき合わせていく
推進派にしろ、反対派にしろ、そうでないにしろ、
それ位の了見を持ってもらいたいなと思います。
それが本当の敬意を表すことだと、個人的には思っています。
少なくとも日本には、ブログの個人的ページで
これ位の意見を言う
「言論の自由」は残っているはずだと思い書いてみました。
別に呼んだ事や人の行動を批判するつもりはありませんので、あしからず。
Posted at 2012/03/09 13:39:54 | |
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バイスタンダーのエビデンス | 日記