※追記:本件は2011年3月29日現在の情況に基づくエントリーです。
一応、楽観的に記載していますが、冷却機能がポンプによるものを含めてダウンしたり、
或いはダウンした場合に回復しなければ
再び悪い方向に変わる可能性も未だ多々あります。
よって、今現在も命を懸けて頂いている諸関係者の頑張りで、
現場の放射線レベルが押えられ、今の状況及び冷却が維持できる事を強く希望しています。
また本文中の爆発は「原子炉の爆発」の事です。水素爆発は容器外の爆発ですので
本エントリーで防がれた「爆発」とは別の性格のものです。
拙い表現ですが、ご注意下さい。
急いだ為、表現に不完全な部分があり、一部修正しています。
追記終)
■マスコミが騒ぎ出した。これから色々な吊し上げと扇動が始まる。
「プルトニウムが出た?」と騒ぎ、
「総理がヘリで見たから爆発したんだ?」と騒ぐ。
(確かに邪魔だけど、時間の問題だった気がするので)
「安全じゃなかったのか?」と騒ぐ一方で
「安全だったのに煽ったのは誰だ?」と騒ぐ。
■目的は日本を貶める事?それとも、日本国民に罪を植え付けること?
そうだとしたら、馬鹿らしい、本当に馬鹿らしい。
■日本国民は今回の件についても
自分たちの誇りだけは失う必要はないと思う。
関わった人も関わらなかった人も。
■データを見れば、起った事はほぼ推測が可能である。。
素人に毛の生えた自分ですら、近未来の予測が出来るのに、
マスコミはそれが出来なかったのか?マスコミは何をした?
事実の隠蔽に手を貸し、訳の分からない追求をしただけではないのか?
データ訂正されたら、それに合わせて記事を差替えるべきだと思う。
データ訂正を責めるのもいいが、そこを直さないで攻めるのはお門違い。
何度も言っているけれど、誤解を招くような紛らわしい記事は出さないでほしい。
普段からそうなのかもしれないのですけれど。
■以下の2者も分かっていたのだろう。
保安院は? 東電は?
今彼らはどのように事実を公表すべきか、苦悩を始めた。
真実とパニックの可能性との狭間で彼も彼らなりの悩みがあるのだろう。
数日前の情報が多いのはそのためと考えている。
■今発表が揺れ動いているのは、
発表できないような事が起きていて、今メドがようやくつきつつあると言うことだと思う。
見せなかったことが明るみに出てきたそれだけの事なのだと思う。
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■今回の原発事故は最悪のシナリオの中にあった。
というか、途中まではまさに最悪の道を辿っていた。
■これを持って罪はないという気はないのだけれど、東電は頑張っていたし、頑張ってる。
自衛隊、機動隊、ハイパーレスキューも頑張っている。
こんな、恐らくチェルノブイリを軽々越えるような可能性の事故を、
「たった」というには余りにも重いけど
「たった」これだけに押し留めようとしている事は
実はすごい事なんだと知ってほしい。
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■じゃあ、何があったの?
参考図
■1,2,3号機とも、程度の差こそあれ、
圧力容器系(原子炉密閉機能)が損傷や格納容器系が損傷がある
2号機にいたっては圧力、格納とも容器能力を喪失した。
3号機は圧力系が能力を喪失し、格納系も能力低下が著しい。
(注意:容器が無事でも配管が破れれば密閉は守られない。)
■その結果として、
1号と3号で漏れた水素ガスに引火して、爆発が起きて
放射性物質が撒き散らされた。福島県の一部は高濃度に汚染された。
(プルーム理論、カテゴリ参照)
当然ガスの中には、ヨウ素やセシウムが含まれていて、
その他の物質があったことは否めません。
2号については爆発こそなかったが、この原因は建屋にあけられた穴と、
炉心溶融が激しく圧力容器に損壊が出たためと考えている。
(その為に格納容器が爆発を起こしており、水素ガスの経路が違った可能性がある)
このような状態になると、もう、どうしようもない。
でも、内圧で壊れるにしても順番を持って、設計どおりに壊れました。
まずは配管、そして、バルブ、そして建物上部。
設計の順番どおりに壊れていった。
これは結構すごい事です。
そしてこのことがチェルノブイリとの最も大きな差だったのかもしれない。
■このことによって物質は外に漏れるが大爆発は防がれたと思われる。
風船に小穴が開いていたから、風船(圧力容器、格納容器)ははじけ飛ばなかったのだ。
もしそういった構造でなければ、
風船に針で穴を開けたような大爆発(水蒸気爆発)となった可能性がある。
何かがずれていたら、3号機まで全て爆発して、関東は壊滅した可能性すらあります。
炉の設計者(GE)には例え全体として多少の欠陥があったとしても
確かな設計哲学に感謝しなくてはいけない。
■2号機は圧力容器が恐らく損傷している。
これはチェルノブイリとほぼ同条件が起きたという事です。
(原子炉の開放)
2号炉内部では、恐らく再臨界も起っており、
格納容器がなければ、こんな範囲での避難被害ではすまなかったでしょう。
燃料が地震の際に一度停止して臨界状態ではなかったのが
本当にせめてもの救いでした。
※データ上は、爆発してもおかしくない数値が本当に出ていました。
遅くとも18日に発表されていましたが、ようやく手に入ったパラメータを見ると
実際には12日~13日には既に危機的状況になっていたようです。
■再臨界については、東電のというより恐らく東電の協力会社の人達が
水を注入して食い止めてくれた。それを指揮した東電の人もいるはずです。
■日本の格納容器はその圧力容器をも破壊した圧力に耐えました。
漏れについても容器ではなく周辺系の配管などで対応しています。
■チェルノブイリは原子炉がむき出しの構造でした。
それが、一気に爆発して、あの惨事を起こしました。
格納容器という殻を持つ、別構造の炉であったとは言え
同じことが起きたかもしれない現象を「漏れ」で防いだ事は尊敬に値します。
参考図:http://www.fepc.or.jp/present/safety/past/chernobyl/sw_index_01/index.html
電気事業連合会より引用
■そして、圧力容器、格納容器の密閉機能の低下を原因として、
爆発や急速なガスの漏れに伴い、放射線濃度が上がり
発電所内が人が近づけない環境になろうとしていた所を、
ハイパーレスキューの人達が命を賭けて救ってくれた。
そして今、人材の交代や投入が出来て現状に至ります。
■漏れ出た水は、正確に壊れるべき所が壊れた事を意味します。
その結果漏れた水に、高濃度の放射性物質や、プルトニウムが含まれることは
燃料が損傷していれば、当たり前のこと。
大爆発が起きればプルトニウムはもっともっと広範に分厚く飛び散ったのです。
■それ(高濃度の水)にケチをつけるということは、
「爆発しなくて残念だったね!!」
と言っているに過ぎません。
漏出した物質の放射線濃度を見ると、
確かに重い、とても重い事実ではあるのですが、
全体から見ると、これは不幸中の幸いなのです。
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■奇跡の数々
・爆発しなかった。漏れで防いだ
・2号機は原子炉に爆発可能性があるが、殻が損傷のみで守りきった。
・敷地内に今、ある程度の時間人が入れる、それが奇跡だ
・放射性物質が燃料棒崩壊に伴う再臨界等により、確かに放射性物質の量は増えたが、
炉の中の放射線が、水に溶け、ゆっくり出てきていること、これも奇跡です。
・燃料が漏れ出ることで、燃料が分散し、発熱が大分抑えられます。
それは即ち。今後の爆発を防ぎ、ガスの漏出を防ぐ事ができます。
これは広範囲の被害が抑えられる可能性です。
こんなに奇跡があります。
但し、地元の被害が圧倒的濃くなると言う大きなデメリットを伴うため
(土壌や海の汚染)
個人的には喜ぶ事ができません。
被害である、放射性物質の「漏れ」を喜ばなければいけないのは、
悲しい事です。
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後は「漏れる水などの液体」は、半減期の短い元素が多数含まれていますので、
半減期を経て、β崩壊させて、放射線量の安定するのを待って、
これはやむをえないですが外部に漏らして、海に出してしまうのが有力な選択肢です。
(漁業補償はしっかりするべきですが)
そうすれば余熱が落ちる時間が早くなり冷却の余裕が出来るでしょう。
中の放射性物質の全体を減らす事が、事故地域のいち早い復旧に繋がると
考えられます。