先日友人とツーリングへ行ってきました。一人はZX-25Rをレンタル、もう一人はCBR250RRをレンタル。で、私はADV150でついていくことにしました。色々とバイクを乗り換えながら400kmほど走りました。いやぁ、楽しかったけど疲れたw。
250ccクラスは車検も不要で高速にも乗れ、タンデムも出来、そして比較的安いということで昔から人気のクラスでした。一方、グローバルで見ると今は250ccというより300ccクラスというのがスタンダードになっています。このクラスは先進国諸国ではエントリーレベル、途上国ではハイエンドに近い位置付けです。一時期このクラスにスポーツバイクはなくなっていたのですが、2008年にカワサキがNinja250をリリースして以降スポーツバイクを中心に各メーカーがリリース。そこへ最近は若い方がバイクに戻ってきていることもあってこのクラスが盛り上がっている・・・という感じです。
しかしこのクラスは廉価であることが重要であるため、ほとんどのメーカーが東南アジア生産としており、国内4メーカーはもちろん、BMWやKTMも東南アジア生産です。そして廉価を狙っているので全体的に造りがショボいということもあります。そんな中、突如出てきたのがカワサキのZX-25R。今の時代にまさかの250cc4気筒を搭載するスーパースポーツ。これも東南アジア生産ではありますが、エンジンだけでなく車体全体も随分と造りが良さそうで廉価版とは明確に違います。
私の初めてのバイクは’87 FZR250、4st 4気筒の250でした。当時は所謂レーサーレプリカ全盛期で、250ccと言えども当時としてはエンジンからシャシーまでかなり気合が入った造りのバイクが多かったと思います。2st, 4st含め各メーカーともラインナップは豊富でした。(因みに当時はヤマハ党だったんです。もう30年ヤマハは買っていないんですがw。)そんなわけでZX-25Rを凄く楽しみにしていました。当時のFZR250はレッドライン17000rpm、45ps(軽の64psと同じく自主規制値)というスペックでしたが、NSR250Rの45psと比べると比較にならないくらい遅い45psでしたw。そしてZX-25Rも45ps/15,500rpm(←15,500rpm!!)レッドライン17,000rpmというスペック。こんな超高回転型エンジンをまた250ccクラスで出してくれるなんて・・・。ちなみにボアxストロークは 50.0 x 31.8!!(とは言えCBR1000RR-Rも1000ccなのに218psを14,500rpmで絞り出すというとんでもない高回転型なんですけどね。)
そのZX-25Rですが、走り始めてすぐ笑顔になる、めちゃくちゃ楽しいバイクでした。見た目の品質は80年代とは比較にならないくらい高く、600と遜色ない大きさがあり、(そう、結構大きいんです)各部の仕上げがとても綺麗で豪華とすら言えるレベルです。走り始めると何しろ音が最高。音のために作ったようなバイクですからね。排気音はもちろん、吸気音もかなりチューニングしているようで、甲高い排気音と吠えるような吸気音が混ざり、バイク好きなら誰もが笑顔になるスクリーミングサウンド。大排気量では絶対に味わえない音です。信号が青になって発進してクルマの後ろを走っているだけでこの音。制限速度程度でもめっちゃ頑張ってる感があって体感速度が速い速いw。
逆に言えばトルクがないので必然的に回すことになるということでもあります。が、そんな状況でタコメーターを見るとまだ10,000w、レッドまで7,000rpmもありましたw。そしてレッドまで回すと記憶にある4気筒250より全然速い。それどころかCBR250RRよりも全然速い。変だな、と思って良く見るとフルパワー50ps(EURO3規制対応)のインドネシア仕様。そりゃ速いわけです。ワインディングで走らせるとシャシーは剛性が充分にあり安定性もあります。しかし思ったより重いフィーリングでした。それもそのはず。重量が実は890DUKE Rと変わらないくらい重い。(890DUKE Rが普通じゃない軽さとも言えますが)そして小さいとは言え4気筒のクランクが17,000rpmも回るのでジャイロが結構あるんです。なので攻めれば攻めるほど、スピードが上がるほど重さを感じるんです。
そしてCBR250RR。この個体はマイチェン前の38ps仕様。20,000kmも走っている若干整備不良箇所もあるレンタルバイクだったので細かいところは評価してもしょうがないのですが、しかしこちらも充分なスポーツ性を持ったバイクでした。エンジンはパラツインですが14,000rpmまで回るエンジンで、車体はZX-25Rより10kg軽い。ライディングポジションはZX-25Rよりハンドルが低く攻めたポジションです。低中速のトルクは明らかにZX-25Rより太く、乗りやすいと言えるでしょう。でも180°クランクのボーッという平凡な音は全く気持ち良くなく、スポーツバイクというよりは実用車の音。14,000rpmも回るので本質的にはスポーツ性はあるんですが、回しても良い音というより煩いと感じてしまいました。ワインディングではシャシー剛性も高く250らしい軽快感があり、サスセッティングも良いバランスだと思います。ZX-25Rより10kg前後軽く、中速トルクもあるので全体的なバランスはこちらの方が上かもしれないと思いました。
2台ともに言えることとしては、ワインディングでとにかく全開で遊べます。シフトを駆使してスロットル全開で超高回転域にタコを貼り付け、少ないパワーを絞り出して走り回る楽しさ、攻めたライポジで積極的に身体を動かして荷重をコントロールするスーパースポーツ的な楽しみ方。絶対的なスピードは大したことありませんが、充分スポーツ出来るし楽しいです。
一方、現代のバイクとしてやむを得ないところですがどちらも昔と比べれば重いバイクというのも事実です。1987年のCBR250Rは装備重量で155kg、FZR250は159kg。(ついでに言えば1988 NSR250Rは何と145kgしかなかった)対して2021年のCBR250RRは2気筒にも関わらず168kg、ZX-25Rは183kgです。今のバイクはインジェクションシステム、触媒やABS、そして各種電子制御や太い倒立フォーク、フルカウルは内側が見えないようにメーター周辺にパネルが貼られている・・・。一方でシャシーはコストの問題が大きいと思いますがフレーム、スイングアームともアルミではなくスチールが使われ、しかもラジアルタイヤに合わせて剛性も上げられています。全体として昔と比べれば複雑なメカニズムなわけで、重くなるのも当然です。クルマと同様にエミッションや現在求められる品質などの理由で重くなっているのですね。
今回400kmほどを走りましたが正直ちょっと疲れました。高速巡航は120くらいなら性能的には余裕で出来るのですが、この速度域になるとエンジンが回り過ぎで常にギンギンです。これくらいの速度でも大体10,000rpm以上回ってます。だからどちらのバイクも何回7速へ入れようとしたか分かりませんw。なので長距離はキツいです。体感スピードが速くて低いスピードで楽しめるバイクというのは本当なら望ましいバイクのような気もするのですが、ヤマハSRや古いハーレーのように本当の意味で低速域でも楽しめるというのではなく、「結果的に楽しめた速度が低かった」ということなんです。楽しみ方としてはしみじみ景色を見ながら心もゆったりしつつ走るというのではなく、「うわー、楽しい!」とアドレナリンが出るような楽しみ方。だから現実的には東京周辺からこのバイクが楽しめるワインディングまでが遠い。これを楽しめる人は全然良いのですが、私はこれだとワインディングまでが移動になってしまいます。これはハンターカブCT125がいくら魅力的でも東京周辺では山まで行くまでがしんどいのと同じです。この辺りは郊外や地方に住んでいてワインディングが近いのであれば全然話は変わってくるでしょう。なので、特にZX-25Rは乗っていて笑顔になる楽しいバイクだったのですが、所有するとなるとちょっとな・・・という感じです。それにZX-25R、CBR250RRとも80-90万円前後します。車検もないしランニングコストは安いんですが、90万前後となると600-750クラスが同価格帯からちょっと上くらいで買えますからね。ヤマハのMT-07なんてこの2台より安い上、700ccなのに重量すらほぼ同等なんです。
あの遅さ、トルクのなさを「おっせーw」と笑いながらエンジンを上までぶん回す。超高回転のエンジンを楽しむためだけに90万出せるか・・・というところですね。もちろんサーキット用にするならそれはそれで楽しめると思います。
え?ADVですか? ツーリングも意外に行けるとだけ書いておきますw
ブログ一覧 |
バイク | 日記
Posted at
2021/02/23 18:27:08