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2022年04月26日

2022年式ノア感想文

2022年式ノア感想文
レビュー情報
メーカー/モデル名 トヨタ / ノア S-Z_7人乗り(CVT_2.0) (2022年)
乗車人数 2人
使用目的 その他
乗車形式 試乗
総合評価
おすすめ度
3
満足している点 1.ワイドバリエーション
2.走行性能の向上
3.競合をキャッチアップした安全・先進装備
4.初期制動で食いつきすぎないコントローラブルなブレーキ
5.そっと発進できるスロットル特性
6.シンプルながら最大の機能を発揮するユニバーサルステップ
不満な点 1.2500rpm付近のエンジンノイズ
2.低速域のステアリングの軽さ
3.傾斜した床、ロンスラのレールが邪魔
4.3列目の座り心地は明らかに劣化
5.質感アピールの裏に細部の造り込み不足
6.シート中心とステアリング中心のズレ
総評 ●気づいたときには家族の贅沢品に
2022年にノア・ヴォクシーがFMCを受けた。フルキャブオーバーのライトエース(1971年)・タウンエース(1976年)以来、のステーションワゴンの老舗ブランドとして進化を続けてきた。貨客兼用で開発し、走る応接間を志向した各種アクセサリーによってセダンに飽き足らないアクティブなファミリー層や多人数乗車のニーズに対応してきた。1990年代にはRVブーム到来によりワンボックスカーではなく、よりセダンライクな動的性能が「ミニバン」に求められるようになり、トヨタはMRのエスティマ(1990年)やFFのイプサム(1996年)を生み出しながら、キャブオーバーの資産をうまく活用したセミキャブFR方式のライトエースノア・タウンエースノア(1996年)を発売した。2001年には競合を意識したFFに駆動方式が変わり、30年近く続いた貨客兼用のビジネスモデルから脱却した。FF化以降のノア・ヴォクシーは、正統派ファミリーカーのノアとドレスアップ派のためのちょいワル(死語)な内外装に化粧直ししたヴォクシーによって、競合のハイウェイスターやスパーダと真っ向から競合した。車両本体価格200万円程度で中心的なグレードが買えるお買い得合戦、エアログレードによるワル合戦の後は、三者三様のハイブリッド合戦、運転支援合戦へとフィールドを変えながら熾烈な販売競争が繰り広げられてきた。

ノア・ヴォクシーは、両者を合算するとクラストップのボリュームを誇る。ぱっと検索したところ、2021年上半期の販売実績は下記の通りで合算すれば2位のセレナのダブルスコアをたたき出して圧倒している。

ノア:25200台(4200台/月)
ヴォクシー:41100台(6850台/月)
セレナ:32300台(5384台/月)
ステップワゴン:21300台(3550台/月)


先代ノア・ヴォクシーの泣き所は先進安全装備への対応の遅れであった。先代デビュー時に明らかに時流を読み違えて緊急時ブレーキ補助機能などの設定でプロパイロットやホンダセンシングに水を開けられた。圧倒的な販売力によって販売競争には勝っていたが商品性で歯切れが悪いのが苦しかった。

新型はミニバンにしか実現できないうれしさを一層深化させ、「より快適に」「より便利に」「より安心な」みんなのミニバンとして誕生(プレスリリースより)した。

まず、P/Fを一新し、TNGA技術が導入されて基礎体力が引き上げられた。そして負けていた先進装備をキャッチアップしつつ、高価なセンサーやアクチュエータを用いないトヨタらしいからくりで使い勝手向上を図るという全方位の改良が加えられた。一方で高価なセンサーやアクチュエーターを駆使した先進安全装備は先代の反動からか先進安全装備が充実したので私がスゴいと思う物のみ簡単に触れておく。

緊急時の被害軽減のために自動でブレーキ操作を行う「プリクラッシュセーフティ」は今や当たり前の装備になりつつある。新型ノアは交差点で交差する車両・バイクを検知するほか、車線内で回避操舵を行う機能が付与されたことで衝突回避の可能性を少しでも上げようと車が頑張ってくれる。

更に高速道路などでレーダークルコン使用時、追い越しの為にウインカー操作をすると自動で車線変更を行う「レーンチェンジアシスト」が備わった。私はLS500hでこの装備を体感したが、慣れたドライバーがうまく使えば疲労軽減に役立つだろうと感じた。長距離ドライブの可能性が多そうなミニバンにはいい装備である。

また、パワースライドドア装着車で、後方から車両が接近しているときにドアを開けようとすると、パワースライドドアの作動を停止させる「安心降車アシスト(ドアオープン制御付)」を採用した。類似した装備は昨年発売されたレクサスNXに採用されたばかりの比較的新しい装備だ。これはRr側方に着いているセンサーと全方位カメラによって車両を検知するシステムだが、子供が乗り降りする可能性が高いスライドドアに有ると安心感が増すことは事実だ。(枯れた技術を使うならチャイルドロックも有るには有るが)

運転支援という側面では渋滞時にドライバーが前を向いているときに限って「アドバンストドライブ(渋滞時支援)」が作動する。これは自動車専用道路での運転において、渋滞時(0km/h~約40km/h)レーダークルーズコントロール及びレーントレーシングアシストの作動中に、ドライバーが前を向いているなど一定の条件を満たすとシステムが作動。自動運転を行うことで渋滞時の疲労軽減が可能となる。ストレスが高くなりがちな渋滞走行だけでも肩代わりしてくれると大変有り難い機能だが、上限速度は渋滞末期の60km/h程度までは上げて欲しいところだ。

センサーとカメラで自動的に所定の駐車位置に車を止めてくれる「アドバンストパーク」はアクアの様に電子シフトレバーの採用で車内に居てシフト操作を補助する必要性が無くなったことからハイブリッドに限って、ドライバーがスマートキー携帯時に、車外から専用アプリをインストールしたスマートフォンを操作することで、駐車および出庫が可能なリモート機能が追加された。狭い駐車場では先に同乗者を下ろして、ドライバーが外からスマホ操作でノアを駐車することが出来る。ボタンを押したら全て勝手に操作を行うのでは無く、スマホ画面を指でぐりぐりと回すことでジョグダイヤル的な操作で駐車までをやってくれるため、安心感を持って駐車できるのもよく出来ている。(おそらく速さ重視で動作も出来るだろうが自分なら不安だ)これらの先進安全装備はオプションながら、旧型から大きく進化した部分である。

新世代となり、全車が全幅1730mmとなって小型車枠から脱した事は大きい変化点である。メーカーによれば販売の中心となるエアログレードは先々代から1720mm、1735mmと拡大を続けており1700mmに対する抵抗感が無くなったと判断したようだ。ノアの歴代ボディサイズを比較した。



こうして見ると意外な事に、新型は先代よりも小さいことがわかる。ボディサイズに対するユーザーの注目度(締め付け)が高かったと想像されるが、それでも遂にこのクラスも全車3ナンバーかと感慨深い。

乗ってみると、意外と動的な性能の進化が感じられて市街地メインで運転しやすく、一部精彩を欠くが静粛性の向上などTNGAの資産を上手に活用した部分も見受けられた。

ステアリングセンターのズレやアップライトな姿勢を取ろうとしたときのステアリングコラム調整代不足など歪な面も見られるが過去から一貫した悪癖であり、ここに拘る人は少数派なのかも知れない。2列目以降も横スライド機構が廃止された事でキャプテンシートでも車両の外側ギリギリに座らされる感じが勿体ない。これは1列目にも言えることだが。新型ノアでは1列目のヒップポイントを下げた(パッケージング的に着座位置が後ろに動かざるを得ないはず)影響なのか2列目と3列目の足元スペースが成立するスイートスポットが非常に狭い(例えば2列目を広くすると、3列目はかなり窮屈)事も気になるし、3列目が元々座り心地にアドバンテージがある方式を採りながら、新型では良くない競合に合わせて簡素化されている点も実に勿体ない。とは言え、確かに3列目は、Rrフロア格納タイプでは無く、跳ね上げ格納タイプを継承しただけで無くワンタッチで跳ね上げ操作できるように改良した点は世代を追うごとに進化を感じる部分である。

個人的にフロントマスクは好みでは無いが、地道なブラッシュアップの積み重ねという実に日本的な車だと感じた。

22年に亘りFFのキャブワゴンとしてこれまでドメスティックな国内市場に特化したクルマ作りを続けてきた。その間、軽自動車の躍進や市場そのものの縮退などで日本国内市場をメインとする車は徐々に生きづらい世の中になった。そのしわ寄せなのか2014年に206.7万円だったスタート価格は242.7万円と36万円ほど上がった。今や、常識になりつつある新装備を考えると値上げはやむを得ない部分もあるが、それにしたってセグメント移行も無い中でこの価格は高くなったと考えざるを得ない。

エスティマのユーザー層も取り込む為に上級グレードを設定したとのことだが、快適装備の装備水準が近いベースグレードが高くなる理由にはならない。日本市場に特化したミニバンを用意してやる手間賃という感覚なのだろうか。それはあたかも「請求書の紙発行手数料」とか「ヒトカラ専用料金」のような時代の流れを感じる。しかもその変動量は30万円以上。本当はこの車を買ってガンガン遊びに行きたいのに、買ったところで息切れしそうだ。少なくとも10年くらい前まではミニバンが大衆化される中で総額300万くらいでセダン並みの走りと広々したキャビンが贅沢に楽しめた。手に入りやすく便利でお買い得なファミリーカーというポジションから、高いけど頑張って贅沢する車に変わったと言える。これはもしかするとFRからFFに変わった時を凌ぐほど大きな変革なのかも知れない。
項目別評価
デザイン
☆☆☆☆☆ 3
●外装
基本的な外装デザインは先代との連続性も感じられるが、プロポーションが似た競合との差別化は顔でつけるしかない!とばかりにノアもヴォクシーも面積いっぱいまで寸法を使ったフロントマスクで自分たちのアイデンティティを大声で叫び続けているようだ。

ノア標準・ノアエアロ・ヴォクシーと3種類の顔つきがあるが、どれも私の美的感覚が至らずピンとこない。消去上だが、明るい色を選ぶならノアエアロ。ダークカラーにするならノア標準を選ぶ。本当は標準が良いがどうしても三段グリルと黒いU字型の縁取りが気になってしまう。

ヴォクシーは初代からヘッドライトを上下で二分割する伝統がある。初代の時は当時人気があったシボレーアストロのパクりだなどという声を見かけたが、面白い事に20年以上続ければ、オリジナリティーを感じるようになるものだ。新型ではヘッドライトを二分割するのではなく、上部の義眼(デイライト)とスクエアなグリルに統合された
下部のLEDヘッドライトと完全に別部品にする事でノアとの差別化を図っている。特にグリル両サイドは波のようなエグいグラフィックが目を引くが、黒素地では無くメタリック塗装されており、手入れの楽さは魅力的だ。(ノアの黒素地はおそらく経年で白ボケするだろう。顔が大事だというなら塗るべきだった)



どの顔もFFらしく鼻を突き出しつつ、Aピラー根元から水平基調のベルトライン(上級グレードはモールがSUS製)が伸びてQTR部で勢いよく跳ね上がる。ベルトラインだけだと落ち着きが無いが、すぐ下のスライドドアのレールの高さに一本水平線が引いてあり安定感と伸びやかさを補っている。先代と比べて全長は短くなったのに伸びやかなのは案外、真円から上部を潰した形状のホイールアーチの意匠による物かも知れない。従来型はボディが5ナンバーサイズに縛られて凹凸が着けられず平板な印象があるため、エアログレード専用で意匠的自由度のあるドア下モールを張り出させる事でバランスを取っていた。



一方、新型はボディそのものを拡幅する事で意匠代を確保したため、前後フェンダーを張り出させる事ができ、従来よりグラマラスでありながら煩雑さが減ったと私は感じた。特に斜めから見た写真では拡幅効果がよく現れている。



Rrはアルファードに似ていると評されるが、特徴的だった縦型のRrコンビランプをやめてL字型のRrコンビとガーニッシュでワイドさを強調し、RrスポイラーでRrワイパーを隠している点は似ている。しかしノア・ヴォクシーは斜め後方から見ると、錯視効果によりRrコンビとQTRウィンドウと繋がったように見える面白さがある。ちなみにホンダフリードを参考にしたのか上位グレードはバックドア側のコンビランプも点灯するが、それ以外は車体側のコンビランプしか点灯しない。

●内装



内装も先代と比べると8年分の進化が見られる。トレイ状で低く構えたインパネは広々感を演出しつつ7.0インチTFTカラー液晶メーター、コネクテッド機能が充実したディスプレイオーディオなど近年のトヨタ車レベルの装備水準を誇る。一等地にはディスプレイオーディオ(10.5インチor8インチ)が配置されるのは従来と同じだが、水平基調で視覚的にスッキリしたのが新型である。先代ではドライバーに対して高さのある凸形状でボリューム感があったが新型は流行に沿ってディスプレイオーディオを独立させ、インパネは両サイドにカップホルダーを配し、深いトレイ形状で機能性を訴えながらステッチソフトパッドで質感も示している。

本当に細かい事を言えば、メーター上のバイザーに金型の合わせ線が目立ったり、ドアトリムのPLの切り方でシボの入り方が乱暴だなと思う部分もあるにはあるが、それよりもディスプレイを独立させた事によるすっきり感の演出が巧みで好感を持った。



ただ、助手席インパネ前の収納トレイは万が一の衝突時に物が飛んできそうな形状で他人事ながら心配している。TNGAの資産の活用としてスピードメーターはカローラやRAV4と同じ7.0インチTFT液晶メーターが採用されているが、エアコン操作パネルやシフトノブもTNGAの水平展開のようだ。ウォークスルーを考えてインパネシフトが採用されているが、ゲート式からワークスペース的に有利なストレート式に改められた。ハイブリッド車は電気式シフトレバーとなったが、こちらはレクサス風の新デザインとなっている。

新型ノアも他のトヨタ車同様にグレードマネージメントが巧みに行われており、シートマテリアルも3種類が用意される。新型で少し驚いたのは中級グレードのG系であってもシートサイドやシートバックが無慈悲にも合成皮革(と言うかビニール)で割切られている点だ。



もう40年前になるが、1982年発売の2代目タウンエースでも最上級の一個下のスーパーエクストラなら同じ様にサイドや背面はビニールレザーなのでそれに倣いましたと言う事か。もっとも汚れが拭き取りやすく耐久性さえ許せば私は許容できる部分だ。昔のビニールレザーは経年で柔軟性を失ってパリパリに割れてしまう例が多かったので懸念はそこだけだ。一方で高い質感を誇るソフト触感ドアトリムも最上位のZ系のみでG系はカチカチ樹脂なのが残念。耐傷つき性を考えると、せめてGグレードのドアトリムはZ系と合わせて欲しかった。(その分ステッチは諦めても良いので)



自動車の価格は値上げ傾向が続くので、保有期間が延びると予想され、耐久性が大切だ。傷つきにくい材質で工夫して欲しい。私が見た展示車のドアトリムは既に傷だらけになっていた。是非とも対策して欲しい。先に挙げた40年前のタウンエースですらスーパーエクストラは成型ドアトリム(勿論柔らかい)なのだから。
走行性能
☆☆☆☆☆ 4
●走行性能
2.0S-Z(7人乗り)とG(8人乗り)、1.8HEVのS-Z(7人乗り)に試乗した。以下は2.0S-Zを中心に他グレードは変化点のみ触れる。

わずか30mmのワイド化でグッとグラマラスになったノアの運転席ドアを開けた。ベルトライン上が大きく開くようにヒンジ配置が工夫されていて狭い駐車場で大変助かる。



運転席に座りドラポジを取ると思ったよりステアリングセンターとシートの着座中心のズレが気になった。ぱっと見で少なくとも10mm位はズレているだろうか。TNGAが導入されて最新化されたP/Fだと思ったが、共用化とウォークスルーの影響でシートが外に出されているようだ。ここは運転以前の問題とも言え、非常によろしくない。こんな部分が意外と40年前のワンボックスカーをずるずると引きずっているのである。

また、着座姿勢もヒップポイントを下げて良く言えばセダンライクだが頭上空間が大いに余る。私の立派な座高でもこぶし3.5個の余裕はかなり無駄な空間が広がっている。シートリフターで調整して敢えてアップライトな姿勢を取ろうと試みた。すると今度はペダル面が合わないし、ステアリングのチルテレの調整幅が足りずにメーターに思いっきり被ってしまい、大人しく低めの位置でドラポジを取った。本当はキャブワゴンスタイルを堅持するならアップライトに座らせるべきで、後述するがこれが3列目の足下スペースに影響している。

ディーラーから出発した。私が決めた自由なコースを走って良いと言われたので最初に流れの良い国道を走らせた。2.0L直4DOHCエンジンはライトエースノアの時代から変わらないが、新型に積まれるM20A型エンジンは最高出力は170ps/6600rpmと一昔前のスポーツエンジンのようである。ただ、最高出力発生回転数がかなり高く、最大トルク20.6kgm/4900rpmという値を見て意外と高回転型なのかな?と軽快してしまうが、2500rpm程度の一般的な加速で使用する実用域でも十分トルクフルで気難しさはない。ただ、2500rpm近傍にはE/G音が大きくなるピークを持っていて若干気になった。絶対的な動力性能としては試乗した際の2名乗車レベルなら2000rpmも回っていれば十分に走る。



信号待ちからの発進では、アクセル操作に対して飛び出し感無く動き始めており、進化を感じるポイントである。過去のミニバンは「遅い」と言われる事を極端に嫌い演出のため非線形スロットルで踏み始めから大きくスロットルバルブを開ける制御がもてはやされた時期もある。そのため、油断するとグワッと飛び出してギクシャクする事もあった。新型ノアは少し元気に加速させてもレッドゾーンまで使い切る事無く、軽やかに走れるのは低速型に振った2Y-Uや3S-FEを知る者としては、技術の進化を感じた。ただしエンジンのザラついた音質はクオリティアップを望みたい。上に挙げた旧世代のエンジンはパワーは無かったし、絶対的な騒音は大きかったと記憶するが、音質に助けられていた。新型ノアのエンジン音はもっとファミリーカーらしく角を落として欲しい。

あと、信号が少ないバイパスではなるべく低回転で負荷をかけたがこもり音は目立たなかったのはミニバンとしては優秀だ。また、舗装の綺麗な道路ではないが、思ったよりもロードノイズが小さい。最近はロードノイズがうるさいなと感じるような新車の試乗体験が多かったので良い意味で裏切られた。サイドバイザーが着いていなかった事もあるが60km/h程度出しても風切り音が小さかった事も意外な頑張りが見られる。

ハイブリッドは、エンジン型式こそ古参の2ZR-FXEだが、ハイブリッド技術としては新世代になった。その進化は走り出しのEV感に現れている。TNGAとなってからモーターが押してくれる感じが強化されてモーターの強みである走り出しのトルク感やレスポンスを楽しむ事が出来るようになった事は他の車種でも感じたが、特に市街地でスッと走り出してエンジンが掛かるまで、そして緩い加速時にエンジンが掛かったときのレスポンスが良くなっている事に気づいた。ハイブリッドにお乗りの方なら分かるだろう加速中にエンジン始動して「ぶいーん」と余計に回る感じが緩和された。アクセル踏み込み量が増えると結局昔のように2000rpm以上まで回るが、普段使いのシーンでもちゃんと魅せ場があることは重要だ。逆に1800rpm以下と2500rpmより少し下(ヘッドアップディスプレイの回転計指示)付近でエンジン音が大きく感じるエリアがある。燃費はWLTC23km/Lと現状、競合の追従を許さないが個人的にどちらを選ぶかと聞かれると、廉価版扱いだがガソリンエンジンを推す。経済性のメリットは捨てがたいが、車としての完成度はガソリンエンジン車の方が上であると感じられたからだ。この様に書くと逆張りをしているように見られかねないが、いくら電動化が叫ばれたところでエンジン技術者達だって馬鹿では無い。着実に進化を続けているのである。

せっかくなのでかなり狭い路地に入り込んだ。全車3ナンバーとなったノアだが、依然として取り回しは良好である。ヒップポイントがセダンより高く、元々四角いボディは車両感覚を把握しやすく許容レベルだ。車幅だけでなくミラーの見やすさもボディサイズを感じさせない工夫の一つである。かなり操舵力が軽いステアリングをぐるぐる回して直角の角を曲がる。最小回転半径は5.5mでいたずらに大きなタイヤを履いていない(205/55R17or205/60R16)ため切れ角が確保されている。対向車とのすれ違いも幅寄せしやすく、パノラミックビューモニターがあれば向かうところ敵なしである。(?)意地悪な気持ちを持って小さな踏切を渡ったが路面の大きな凹凸でも突き上げ感無くミニバンとしては減衰感も良い。ファミリーカーとして必要な乗り心地はノアとして最も不利な17インチを履いてもきっちり確保されていた。

TNGAの資産が良い方向に作用して新型の走行性能・乗り心地は旧型から乗り換えたロイヤルカスタマーにもきっと喜ばれるはずだ。NV性能はロードノイズやこもり音はまずまずだが、やはりエンジンそのものの音質(急に大きくなるなどの変動感含む)が改善されると嬉しい。
積載性
☆☆☆☆☆ 2
新型のキャビンは5ナンバー時代と比べて画期的に広がったわけでは無い。しかし緻密な空間パズルを組み立てて2列目シートを横スライドせずにロングスライドを可能とするなど地道な進化を遂げている。



2列目は3人掛けベンチシート、キャプテンシートがメインである。30年前の1BOXは回転対座や1~3列目まで繋がるフルフラットシートなどが当たり前だったが、それらのギミックよりもロングスライドやキャプテンシート(CRSを使う人には有り難い)が喜ばれるようになった。

先代は7人乗りと8人乗りでは3万円程度価格差があったが、新型は7人乗りも8人乗りも同一価格になった。従来は沢山乗れる事に価値を見い出す人が主流だった。多人数移動といえども質を求める人は追加コストを支払って最上級グレードを選んでいたが、最廉価のXグレードでも7人乗りが有るというのは個別にCRS取り付けが必要な現代らしい。

ホイールベースの中央に位置し、最も揺れが少ない2列目だが、ウォークスルーのスペースを考えて若干車両の外側に座っている感が強い。こんな時、横スライド機構が有れば良いのだが廃止されてしまった。シートのサイズ自体は昔と比べれば立派で大人が座ってシートバックから頭が飛び出すようなサイズのシートでは無い。



この2列目シートはロングスライド機構によりスライドドア後側のCピラー付近まで745mmもスライドする。そりゃあセレナの690mmと比べるとスライド量は優れているが本当にこのスライド量が必要だろうか。私は初代イプサムの345mmでも十分満足できた。カタログ写真ではリムジンのような足下スペースをアピールしているが、真横にピラーや格納後の3rdシート(巧みな隙設計で2列目を避けている)が迫っていて圧迫感を感じる。2番じゃダメなんですか?と問いかけてみたいが技術者としては分かり易い定量的な競争で勝ちたいのだろう。他にも車幅は35mmmしか広げていないのにCピラー間を75mm拡大したという改良もまた技術者達の地道な積み重ねの結果である。

私が考えるミニバンのあるべきフロアはきちんと足が置けるフラットなフロアだ。ステップに至る両側もスロープ状に切り下げずにフラットフロアを貫いて欲しい。ロングスライドをやるためには傾斜したフロアーが必要だ。何度も指摘しているが傾斜フロアは着座時のつま先が下がって踏ん張りにくく疲れる。CRSに子供を座らせている場合に限り何ら問題は無いが、大人の使用に耐えるようにしておく事は必要だと思う。ちなみに、新型はセットオプションだが機械式オットマンが装着された事がトピックになっているが、むしろオットマン無し仕様のシートは足引き性が良いので個人的には積極的にこちらを選びたい。



8人乗り仕様も確認した。2列目がベンチシートになり3人掛けとなる。主流から外れたことが原因なのか少々掛け心地も心許ない。特にシートサイドはフレームが無くてへにゃへにゃ。うっかり手をつくとどこまでも沈み込んでしまうのは頂けない。

新型ノアにはからくりを用いた助手席ユニバーサルステップが有る。パワースライドドアとローラーベアリングで接続されており、動力源を持たず、スライドドアが開くと同時に折りたたみ式のステップが出現し、200mmという低いステップ高を実現している。



セレナだと20万円程度のDOPだが、ノアなら3.3万円で済む事は驚異的だ。3列目は先代と比べて軽薄短小化が加速した。ミニバンの3列目は格納が出来るのが普通だが格納方法は各社が個性を発揮する。ノアは跳ね上げ式を選択。タウンエースノアの時代以前から3列目の格納は跳ね上げ格納式が一般的だった。一方、競合車は4代目からデッキ下格納式を選択した。ノアが採用している跳ね上げ式はシート形状が制約を受けにくく、座り心地が比較的良いというメリットがあり、格納したシートが室内に張り出すのでラゲージスペースが狭くなると言うデメリットも存在する。新型ノアは簡単なレバー操作でシートバックが前に畳まれ、次に補助バネの力で跳ね上がってくれる。車体への固定は従来ベルトやフックを使っていたが、Dピラーにロック機構が着いておりガチャンと簡単に固定できる。長いスパンでミニバンを見てきた私は「ついにここまで来たか」と感慨深かった。



せっかくの機構だがバックドアを開けてRrバンパー直後から手を伸ばして作業するので、力を車両外側に真っ直ぐ欠ける事は難しく、前方向の力と合成された斜め向きの力が掛かる。私が悪意なく固定しようとしても正規の位置でロックが掛かりづらかった。
シート自体の剛性が足りないので変形してロックがかかる位置にストライカが来ないのだから剛性を上げたくなるが、それでは大きく重くなる。ここはロックの向きに見込みを入れて若干角度をつけてやれば改善しそうだ。もう一筆が欲しい。

新型ノアの3列目は畳む事にリソースを集中させすぎたと見えて肝心の掛け心地はあまり褒められない。平板でクッション性が乏しいのは格納するためだが、更に格納式ヘッドレストの下部分が骨が無く頼りない。シートバックもあと1センチは大きく出来そうだし、せめてヘッドレストがしっかりしていれば小さいシートバックの存在を多少は補えるのに勿体ない。



競合は畳む事を優先しすぎてシートとしては無理がある。新型ノアは元々あった優位性を削ってシートの座り心地を悪化させた。これは格納時の荷室スペース拡大と2列目ロングスライドの為だ。しかしながら、ノアを始めとするミニバンは3世代で出かけられるように存在している訳でもあり、3列目のプライオリティを下げすぎていると私は思う。シートそのものの他にレッグスペースも自分が経験したライトエースノアよりも窮屈だ。これは1列目の位置が後ろに下がった影響で2列目の位置も玉突きで下がった上に、2列目シートレッグが大きく張り出しているから足が入らないと考えた。3列目にも簡易スライド機構が有れば解決するはずなのに惜しい。

積載性に関してはよく考えられておりスマホ、ティッシュボックスなどファミリーが車内に持ち込むあらゆる品々を飲み込む。ミニバンらしくローディングハイトは500mmとかなり低い。更にデッキ下にも収納スペースが設けられて3列フル乗車時にも積載性は良好だ。しかもご丁寧にカーペットが敷いてあるので大切な荷物も積みやすい。ラゲージで惜しいのは蓋(デッキボード)がいかにもプラスチッキーで心許ない感じなのが悲しい。また、蓋を開けた際に蓋自身が自立しないのも惜しい。

また全高が1800mmを超えるようなミニバンでよくあるのが、「うしろギリギリに駐車したときにバックドア開けづらい問題」だ。全高は高いのにローディングハイトも欲張るのでバックドアが大きい。このためバックドアを開けたときの後ずさり量が大きい。ノアに限らず競合もこの問題に悩まされてきた。ある車種は40年前の枯れた技術であるガラスハッチを復活させ、有る車種は莫大なコストをかけてテールゲートをワクワクさせた。

新型ノアは相変わらず後ずさり量の大きいシンプルなバックドアを採用しているが、開け閉めしやすいように電動バックドアの操作スイッチを車体側面に移したほか、手動式のバックドアも単純な機構を使って途中の開度で保持する機構を標準装備している。これにより障害物に当たらないようにバックドアを保持できるようになった。



狭いところで荷物の出し入れが出来ない点では競合より不利なままだが、安価な工夫で実用性の追求を辞めない姿勢は垣間見えた。
燃費
☆☆☆☆☆ 4
新型ノアはガソリン車とハイブリッドの価格差が小さくなった。例えば、XとハイブリッドXの価格差は税抜34.5万円だが、先代では税抜42.9万円。確かにアルミホイールがスチールホイールになっているなど装備差もあるが、新世代HVシステム搭載やLiイオン電池採用などコストを押し上げる要素も有るはずなのに不思議な印象を受ける。性能が上がっているのに約8.4万円も安くなったのはハイブリッド技術はまだまだ発展の余地があるという証拠なのだろう。BEVやPHEVが当たり前になっていく流れのを横目にハイブリッド技術が着々と大衆化されている。

いつもの習慣なので何km走ればガソリン車よりもハイブリッドを選んだ方が良いか計算した。税込35万円の価格差を燃費の良さでペイする為に必要な距離を求める為の前提条件は、レギュラー160円/L 実燃費はe燃費より両者とも7掛けを少し切る程度とした。

結果、67150kmでハイブリッド代をペイすることが出来る。参考までに2019年の日本自動車工業会の調査によると、保有年数の平均は7.1年であるから、年間9500kmを超えるかどうかでパワートレーンを選ぶのが最も経済的となる。

同じ計算を先代ノア(価格差46.2万円)で行うと101000kmの走行が必要、7.1年で元を取れる年間走行距離は14225kmだった。

日本自動車工業会の調査によると年間平均走行距離は4440kmとされているから新型でもまだまだ元を取るのが難しいユーザーも多そうだ。

コスパ重視の方はドライに電卓を叩いて決めれば良いし、ハイブリッドが持つ電動走行時の振る舞いが好きか、熟成の域に達しつつガソリンエンジンを最後?に楽しむかをじっくり考えていただきたい。

ちなみに今回試乗したガソリン車は燃費計でリッター12km/L~13km/L、ハイブリッド車は残念ながら測定できなかった。この燃費自体も我が家がミニバンを購入した2000年代後半では考えられない低燃費である。
価格
☆☆☆☆☆ 2
●新型は過去最大の値上がり幅
私が最近新しい車に試乗するたびに高いとしつこく書いてきたが、新型ノアも高くなった。



新型ノアのグレード体系と価格は上記の通り。

FF化された初代ノアからの歴代モデルのエントリーグレードとイメージリーダーの税抜価格推移をプロットした。総じて世代交代するごとに価格が上がり、傾きも変わっている事が一目瞭然だ。


エントリーグレードの装備表を比較して、先代から最も上がり幅が大きいのは価格非公表ながらTSSであろう。TSSのパッケージ内に含まれるメイン装備であるレーダークルコン+プリクラッシュセーフティは30系プリウスなら税抜14万円程度のオプション装備であったし、ディスプレイオーディオは税抜7.8万円である。LEDライト(推定4.5万円)やコンライト、イモビライザー、サイドエアバッグ+CSA(推定6万円)、イージークローザー(推定5万円)の標準化はあるが、こっそり左右独立温度コントロールエアコン(4.5万円相当)が省かれている。差し引きで約33万円分の装備が追加されている。現行Xと先代X_Vの価格差が35.1万円なので概ね計算は合っている。(ちなみにプロットはしなかったが2016年追加のSiハイブリッドと新型S-Zの価格差も34.6万円だった。)

●S-GとS-Zの比較
ミニバンはエアロ仕様が人気であるが、新型ノアでも標準市場のS-G(304万円~)とシリーズ最上級となるS-Z(332万円~)が存在する。実車に触れた結果、意外とS-Gでも良いんじゃ無いかと個人的には思った。価格表を積み上げていった結果、画像のように価格差28万円よりもお得ですよ、という説明が成立する。ただ、これら差別化アイテムは無いと決定的に利便性に差がつくような装備は無くS-Gに必要なオプション(例えば先進安全装備一式など)を選ぶやり方が一番クレバーな気がする。



●冷静と情熱のあいだの2種類の見積もり
試乗させてくれた営業マンがから見積もりを頂いた。

パターン1:費用を抑えたい
昔ながらのミニバンに慣れた人が代替するような冷静な想定とした。グレードはノアGを選択。コスト重視でガソリンエンジン、CRS装着時の利便性を考えて7人乗りを選択。個人的には本革巻きステアリングが必須なのと16インチアルミが着くのも良い。車両本体297万円。

ここにMOPとしてユニバーサルステップ(3.3万円)、バックガイドモニター(約1.7万円)+ETC2.0(約2.8万円)を選択。MOP合計15.2万円。

マルチメディア関して普段の私なら標準装備の8インチにナビ機能追加で十分などと考えていた。新型の8インチにはコネクテッドナビ機能が最初から組み込まれている。カーナビ無料!と喜んだのも束の間、5年経ったら月額使用量(Tコネクト330円+ナビ代880円)を払わなければナビが使えなくなる。後から課金しないと使えなくなってしまうとは…。従来なら、ディスプレイオーディオにナビキット(6.6万円)や後付けナビ(8.9万円)を取付ければ車を手放すまでナビが使えた(買い切り型)。8インチディスプレイの定価は約8.6万円、5年後以降は年会費14520円かかるので7年所有の平均的ユーザーなら29040円、10年所有なら72600円が必要。ユーザーが支払う総額としてはディスプレイオーディオにナビキットを取付けるよりは少し安い。ただし、トヨタ都合でサービスが終了されればナビが突然使えなくなるリスクは残る。一方、MOPの10.5インチのディスプレイオーディオにはナビ機能が内蔵されているので5年以降も内蔵のカーナビが使える。費用を抑えたい見積もりなので、ここは有り難く課金型のナビを選ぶこととする。

次にDOPを選択する。本当に最低限なので、デラックスフロアマット(5.5万円)、ドラレコ(6.7万円)、コーティング(6.5万円)、個人的こだわり装備のフォグランプを追加した(LEDなので少々高くて5.6万円)。DOP合計は24.3万円。

合計の車両価格は336.5万円となった。ここに税やリサイクル料、諸費用(22.7万円)やメンテナンスパック・延長保証(14.3万円)を組み込むと、支払総額が373.5万円となった。

車選びはどこまで冷静になれるかが費用を抑えるコツである。私の場合、フォグで自分の欲求を多少満たしつつ、大胆に両側パワースライドドアとRrエアコンを選んでいない。これは昔親が乗っていたミニバンがこの状態でも困らなかったからだ。「2022年らしさ」としてLEDライトやTSS(レーダークルコンやLTA)が楽しめるし、期間限定でナビも着いているし見た目さえ許せば私は十分だ。

油断すると両側パワースライドドア(約6.3万円)やRrオートエアコン(約5万円)が欲しくなる。両方選ぶなら、加えてキックセンサーでパワースライドドアが操作できるロジックが追加され、シートヒーターやナノイーXなどがセットになった快適便利PKG_Mid(17.8万円)を選択してしまいがちだ。

ナビ画面も大きい方が良いかな、と煩悩が頭をよぎれば即10.5インチディスプレイオーディオだ。ナビやツイーターが追加されるだけで無くETC2.0もセットで装着される(17.6万円)。

もし私の見積もりにこれら煩悩を追加すると約32.6万円アップの約369.1万円、諸費用込みだと総額406.1万円だ。

パターン2:新型の先進装備を味わい尽くしたい
次のパターンはせっかく新型ノアを買うのだから特徴的な装備を選びたい、という情熱タイプの見積もりだ。

ハイブリッドのパイオニアであるトヨタの最新世代ハイブリッドを選び、乗り心地の悪化が少ない17インチ、SUSのベルトモールやドアトリムのソフトパッド化などZ系専用装備も所有する満足度を高めてくれる。

グレードはイメージリーダーのS-Zハイブリッドを選択する。車両本体価格は367万円。

MOPはユニバーサルステップ(3.3万円)、10.5インチディスプレイオーディオ_CD・DVD・TVチューナー、ETC2.0含む(19万円)を選択。更にLEDプロジェクターヘッドランプ+AHB(約6.3万円)、先進安全装備一式+寒冷地仕様)は積極的に選んだ。(27.4万円)MOPは合計56万円(!)。

DOPはラグジュアリーフロアマット(6.7万円)、ドラレコ(6.7万円)、コーティング(6.5万円)で合計19.9万円。

車両価格は442.9万円。ここに税金諸費用(9.5万)メンテナンスパック・延長保証(14.3万円)を足し合わせてパターン2の支払総額は466.7万円となった。ちなみにハイブリッドを選ぶと、税金が約13万円安くなる。

最上級グレードには専用にカラーヘッドアップディスプレイ+電子インナーミラーのセット(9.9万円)やハンズフリーデュアルパワースライドドア、パワーバックドア、や2列目席オットマン、ステアリングヒーターなどが備わる快適便利PKG_High(14.9万円)などの「有った方が良いかなぁ」と口を滑らせてしまいそうな装備が目白押しである。特にGでも設定のある快適便利PKGはキックセンサー付きのパワースライドドアは非常に魅力的な装備だが、単独設定が無いので渋々パッケージオプションを選ぶことになる。このあたりに客単価向上を狙ったしたたかさがある。

もし全部盛りにしてしまえば支払総額500万円超えが見えてくるだろう。

苦言を呈したいのはAHBが最上級グレードのみに設定される「高級装備」扱いである点だ。我が家にはAHB付き車があるが田舎の街灯が少なめの道路では非常に有効で、特に周囲に車が居る状況で相手を眩惑せずに視界確保が可能だ。決して贅沢なアクセサリーでは無く実用的な安全装備であると理解されていない為だろう。本来はZ系のみならずG系やXにもMOP設定されて然るべき装備品である。

せっかくだし…と言って調子に乗った結果、最初の見積よりも90万円以上も高い。ここまで高いと現金で買うのも難しくなってくる。住宅のようにローンで買うか残価設定型ローンで買う事になるだろう。GMを発展させたアルフレッド・スローン氏が書いた「GMとともに」に拠れば自動車を月賦で買えるように金融サービスを整えたことがGMの反映(=自動車の普及)に大きく貢献したという。雲の上の存在であった自動車が大衆の手が届くか届かないかという域に「降りてくる」段階なら月賦でも買いたいと素直に感じられるだろう。しかし、一度は現金で買える値段になっていた大衆的ミニバンが簡単に買えなくなる事実に釈然としないものがあった。
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Posted at 2022/04/27 00:49:25

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この記事へのコメント

2022年4月27日 20:57
毎回のことですが、鋭い考察且つ実際に買おうとしているユーザーの目線で素晴らしい記事だと思いました。
思えば30数年以上、あらゆる自動車雑誌を読み込んできましたが、ここまでクルマの本質に迫った新車記事は少なかったです…。個人的に「不躾棒」の番組は続いて欲しかったです。

今回の新型車は良いのでしょうがお値段は…。これは自分の欲しいグレードと装備を固めた上で、金利分含めた総支払額をしっかり把握しないといけませんね…。

低く座らせるとクルマが長くなるorリアシート&トランクにしわ寄せ…しかしながら、低床化の運転姿勢(乗用車寄り)を取ったということなのでしょう。
ちょっと分からないのはステアリングオフセットの件です。スモールラップとか側突対策を考えると、人を外寄りにしない方が良いように思えますが、どうしてなのでしょうね…。
コメントへの返答
2022年4月28日 23:33
コメント有り難うございます。
たまに自分で感想を思い出す為のメモでもあるので、お褒め頂いて恐縮です。一応買うかも知れない・購入相談されるかも知れないというスタンスで書いているのでAkasaka学芸員さんに伝わったのが嬉しいですね。

不躾番組、今でもYoutubeで見ますが、的確だし痛いところを突いていて後継番組の毒にも薬にもならない感じが物足りなくなります(笑)

新型ノアは何も考えないとS-Zハイブリッドに全部のせ500万円です。GX81みたいにハイメカグランデでそこそこ幸せにしてくれたあのトヨタが懐かしいです。

パッケージングに関してあくまでゲスの勘ぐりですが、低重心化を謳ったTNGAのコンポーネントを使う以上、成立範囲が低めだったという可能性があります。その分セダンらしさはあるのですが、頭上空間が大余りして外装デザインとの整合は取れていません。

ステアリングのオフセットは、インタミシャフトの成立角度(無理な角度では配置できない)の限界で左右・上下方向のレイアウトが決まるのですが、ミニバンの為、上に立ててしまって左右の調整代を使い切ってしまった説を疑っています。操舵時に角速度差がでてしまうと違和感に繋がるのでオフセットの少ないセダン系と比べると、成立範囲が狭いのかなと想像します。チルトステアリングもなんだか上方向の調整代が少なかったです。そもそもステアリングラックからの軸がセダン最適化された位置だとミニバンでは不利になるかも知れません。

一方、シートの位置はウォークスルーさせるため最低限必要なクリアランスをとって運転席と助手席の位置を決めます。ヒップポイントが高くなると乗降性の悪化を避ける為に車両の外側に座席を配置しなければならない事情もあります。結果、運転席の中心にステアリングを持ってくることが出来ず、オフセットが発生したのでは無いかというのが私の予想です。こんな怪しいを書くと本職の方からインタミシャフトで殴られそうですが。
2022年4月27日 21:16
トレンドは他カテゴリにあれども、地味に売れ続け、練りに練られた新型が出ればそれなりに話題になる辺り、かつてのコロナ・カリーナの姿を重ねたりします。それらと何より大きな違いはデザインに思え、敢えて強い自己主張を避けていた当時との違いには、隔世の感が拭えません。

バリューはノアGにオプションを厳選に同感です。一方、お値段も上がりましたし、長く乗るからを理由としてグレードを上げるも理解はできます。新型ともなれば、リセールも気になるでしょうし。
昨今の情勢から納期も延びているようで、半ば注文生産であるなら、往年のようにセットオプションは減らしてオプションの選択肢をもっと増やすべきとは感じます。新車本体価格の上昇だけでなくオプションが高価になるのも、支払総額が高くなる要因の一つではあるんですよね。
コメントへの返答
2022年4月28日 23:50
コメント有り難うございます。

90年代後半、カローラ(スパシオ)~コロナ(タウンエースノア)~マークII(レジアス)~クラウン(グランビア)というミニバンのフルラインナップ化が進みましたが、ノア・ヴォクはまさしくコロナ・カリーナと被る物があります。

新型のデザインは顔以外は中々良いんじゃ無いかと感じています、30mmの拡幅でこんなに車の表情は豊かになるのかと驚かされる思いです。(それを限度知らずのサイズ拡大の理由にはしたくないですが)

Z系かG系かはそれこそノアにノアを求めるかエスティマの面影を見つけるかで分かれてきそうです。

ノアXは各種オプションに制約があり「買わせない」グレードという感が有りますが本来はオプション設定を豊富にすればもっとお買い得感を出せたのになと思います。これは企画サイドがノアを価格アップさせると端から決めていたのではと推測されます。

最近のトヨタはマツダほどでは無いにせよセットオプションが増えてきました。カタログの注釈の文字が見えにくくて頭がおかしくなりそうです。オプション商法を否定しませんが、せめてアラカルト的に選ばせて納得できる価格上昇として欲しいですね。あれよあれよと支払い総額が増えるのは短期的にメーカーに利益をもたらしますが、長期的にはダウンサイジングを招く懸念もあるのではないかと。(そしたら、格下の車のオプションてんこ盛りにして利益を得るのでしょうけれども)
2022年5月12日 21:21
こんばんは。

先代ヴォクシーハイブリッドが社用車でありますが、乗った印象はまるでセダンと同じ、降りて外観を見るとバンそのものというちょっと変わった(と思う方が変わっているかも)車という印象です。
一昨年までは80,000㎞のマイレージを超えつつも、まだ新車のような快適さがあったのですが、COVID-19対応で不特定多数の社員に酷使されたせいか、ヘタリを感じるようになりました。

一方でフランスのエスプリ溢れるシトロエン・ベルランゴは見た目乗用車風、ドアの開け閉めからディーゼルのエンジン音までまるで商用車という成り立ちの車でした。

日本の河川敷やショッピングセンターではミニバンが当たり前の光景ですが、私はバンそのものの(国産ミニバンの)外観がどうも好きになれず、ハッチバック車を乗り継いでます。

同じミニバンでも、初代エスティマは一目置く存在です。あのすっきりとしたグリルや滴のようなボディラインが忘れられません。
コメントへの返答
2022年5月13日 23:28
コメント有り難うございます。

先代のハイブリッドは、競合がマイクロハイブリッド、ダウンサイジングターボの中で初の本格ハイブリッドと言うこともあり決定版という安心感がありながら、エアログレードが無かったり価格差が高めだったりでまだまだガソリン車がメインという感じでしたね。(ただ、プリウスの時の線の細さローギア化で多少緩和されていたのは良かったです)

カングーも元々北欧の郵便車ベースらしいので、商用車のオシャレ版、いわば昔のバネットやタウンエースのような成り立ちの商品ですね。台数が稼ぎやすいのでアクセサリーを充実させやすいというメリットは決して悪い話では無いと思います。

初代エスティマは従兄弟が後期型に乗っていたので運転したことがあります。当時はめちゃめちゃ大柄に感じましたが今や普通のサイズですね。拘ったメカニズムもバブル期らしい思い切った内容でしたからミニバンに否定的な方にも一定の評価を得ていましたね。デビュー当時なら前輪:トーションバーを使ったダブルウィッシュボーン式、後輪:良くてコイル式5リンクですから、初代エスティマの4輪ともコイルサスで前:ストラット後:ダブルウィッシュボーンという形式は乗り心地では完全に世界が違うという感覚でした。スッキリした車がもっと増えてきて欲しいです。

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「帰りはソニックにも乗れました。山陽新幹線の速さにシビれながら帰ります。」
何シテル?   04/23 17:50
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