2011年09月06日
歌仙三十六句
甕の水の巻、お披露目。
発句
甕の水薔薇の根にしむ夕べ哉
空良 初夏 場
脇
葉桜にむけ はなつ蔵の扉(ト)
冷太 初夏 自
三
居残りの黒板消しの粉舞ひて
紗良 雑 自
四
たてる鴉の雲にまぎるる
素白 雑 場
五
月淡し山人(ヤマンド)の荷もほのかろく
太空 三秋 他 月
折端
冬瓜いだけ吾子弱からず
羽石 初秋 半
初裏折立
足元をうり坊駆ける昼ライブ
冷太 晩秋 自
ウ二
木魚転びて揺れる木漏れ日
空良 雑 場
ウ三
新家(アタラシヤ) 匙掬いあう 珈琲ゼリー
素白 雑 半
ウ四
くちびる刺しし蜜蜂や汝(ナレ)
紗 三春 恋 半
ウ五
許婚に女王かしずく春の宵
羽石 三春 恋 他
ウ六
草の芽孕み十年(トトセ)眠りぬ
太空 仲春 恋 他
ウ七
実を結べとお百度踏みてきつね顔
空良 雑 自
ウ八
蕎麦湯すすりて耳そばだてて
冷太 三冬 自
ウ九
ジルヴェスタ鐘の音頭にわらう月
紗良 仲冬 場 月
ウ十
フロックコートの清(すが)し礼砲
素白 雑 他
ウ十一
英雄譚ポッケにしまい花巡り
太空 晩春 自 花
初裏折端
郭(クルワ)の藤の色をこのみて
羽石 晩春 自
名残表折立
娘ありて春の蚊を追ふ舞扇
冷太 晩春 他
ナオ二
しづかに人を恋ふ由比ヶ浜
空良 雑 恋 他
ナオ三
ビーサンの足裏(アウラ)冷ませど縋る蟹
素白 三夏 自
ナオ四
亡父(チチ)か、紛れて過ぐるだんじり
紗良 初夏 自
ナオ五
めちゃくちゃの軒に古材の匂い立ち
羽石 雑 場
ナオ六
枕木を譜に家路弾みて
太空 雑 自
ナオ七
ドーナツのドの甘ければレモン吸ひ
冷太 晩秋 自
ナオ八
みなで喰らわんこの笑い茸
羽石 三秋 半
ナオ九
夜半の秋 水面さざめく とまりぶね
素白 三秋 場
ナオ十
後の月より鷺とびおりる
九珠 晩秋 場 月
ナオ十一
音羽山けさ登らんと一張羅
紗良 雑 自
ナオ折端
舞妓気取りのほっぺにケチャップ
素白 雑 自
名残裏折立
道化師の鼻もぎて見せ付けて見せ
冷太 雑 他
ナウ二
ビー玉光る路地のクラウン
羽石 雑 場
ナウ三
春炬燵かの子の声を聞きわけて
冷太 三春 半
ナウ四
餌(エ)運ぶ燕と鳴き交わす母
太空 仲春 他
ナウ 五
献杯に花片散らす仏様
素白 晩春 場
挙句
苗田に映ゆる白雲の果て
太空 晩春 場
【連衆】
冷太―ピエ太
空良―KLAVIER
羽石―ほんじゃま石
太空―たく
素白―椿
九珠―葛葉
紗良―freurein
【捌き役】
冷太
平成二十二年五月
発句
平成二十三年九月
挙句

Posted at 2011/09/06 16:12:56 | |
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