• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

freureinのブログ一覧

2011年01月31日 イイね!

来日。

来日。

今日の昼休みに電話が一本入りました。


友人の台湾人レーサーが来月に来日するんだとか。



ええーーーーー。

もっと早く言ってよー。





レースで来日するそうだけれど、どこのなんだ?

トラックの勇姿をぜひとも拝見したいのだけれど。





Posted at 2011/01/31 20:14:53 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2011年01月31日 イイね!

夢中。








弥次郎がきりきりと弓を張ると、先ほどまで水を飲むのに夢中だった雌鹿はその動きを止めた。首を上げ真っ直ぐに前を向いて止まった。

『覚られたか』

息を止め、八分に引いた腕を止め、ぎろりと眼を見開いたまま五間ほど離れた水辺を狙う。
飢えた身体は獲物を確実に仕留める目的ひとつに統合され、疲労の色を見せない。
どくどくというこめかみの音を聴きながら、弥次郎は雌鹿の耳の動き黒目の輝き鼻の蠢きに近接していく。

実のところ、ここ数日ろくに食っていない。
雪まだ残る谷あいには、枝ばかりの木々がかすかにいろめいて、吹く風の中にも青臭さが混じっていた。
草木にとっては今が一番苦しい時期だ。というのは、弥次郎の娘、おうの話。なんでも、夏にあおあおと茂る緑が秋に実を結び、力を使い果たした草木たちは、冬の寒さやひもじさを耐え抜き耐え抜き、干からびそうになりながら新芽をつけているからだ、という。面白いことをいう。そうして弥次郎はこの話を何年も憶えている。
たかだか何日かのひもじさに人間というものは耐えられない。
この何日というものもそう長くは続かない。
食わねば死ぬる。
今これを逃せば次にいつ獲物にめぐり合うか分からないことが、弥次郎の肉という肉を奮い立たせていた。

ふ。

刹那、笛の音のようなものが聞こえたような気がした。
雌鹿ににじり寄っていた弥次郎の焦点がふと引き戻された。再び焦点をそこに合わせようとすると、また、聞こえた。
空腹が極まって耳鳴りでもしたかと思うと、今度ははっきりと聞こえた。
鹿は動かない。聞こえていないのであろうか。
膠着のままどれほど時が過ぎたか、弥次郎の腕は弓をそれ以上引くだけの力があるやなしやと震え始めた。音を立てないようにゆっくりと弓を下ろすと、眼を閉じゆっくりと一息ついた。
先ほどまでは聞こえなかった渓流の澄んだ音色が、弥次郎の熱を静かになだめる。

動。

弥次郎の弓ははじけ、びやうと矢が風を切る。
弥次郎は眼を閉じたままであった。閉じたままにして矢の弧の端に手ごたえを確かに感じ、ゆっくりと瞼をこじ開けた。右の頬にぬるいものが伝う。
茂みから見える明るい水辺には、雌鹿の姿はない。

『逃したのか・・・・』

いや、確かに手応えはあった。
猟を生業として幾年月、仕留める際には矢が手を離れたとて感ずるところに狂いはないはずであった。
かつて眼を閉じたままにして獲物を仕留めたことはなかったのだが、疲労に困憊した肉体の研ぎ澄まされた勘だけを頼りに、これは捉えた、そんな確信があった。
だが、忽然と鹿は消えた。
眼を閉じたそのときに視界から消える、如く、足音すら立てずに消えた。

弥次郎は茂みから姿を現し、鹿が居た場所へと重たい身体を運んでいた。
切れた頬のみが、矢を放った唯一の手がかりのようにひりひりと痛み始めた。
やがて、その場所にたどり着いた弥次郎は、何も残らぬ川辺にへたり込んだ。

さらさらと水が流れ煌めく、それを呆然と眺めていた。

ふ。

また、あの音が聞こえたような気がして、耳を澄ませた。
笛の音のようにも聞こえるが女の声のようにも聞こえ、それが何の音であるのかを確かめんと、弥次郎は次の響きに構えた。
水の音の隙間に鳥の声の隙間に、それらとは全く異なる音を聞き分けんと、視線を固め次の響きをごくりと待った。

鈍。

右後ろの脇腹に何ものかがぶつかるのを感じ、弥次郎はそこによろけた。
鹿がやってきたかと思ったが違った、弥次郎の腹には弥次郎の矢がぶっすりと生えていた。ちりちりちりちりと、耳に甲高い音が響き始め、それをかき消すようにして喉を焼き叫んだ。

『ぐおおおおおおおおおお!!』

矢は真っ直ぐに深く突き刺さり、腹がかっかと熱くなる。立ち上がろうとしてまたよろけ転がり、転がった拍子に矢尻がはらわたをぐにりと抉る。
声にならぬ声を絞り出し、痛みが来る前のこの今にあとから必ずついてくる激痛と死の影から、四肢をばたつかせ逃れようともがく。
ちりちりちりちりと激しく耳の奥にへばりついてくる音に、身体中が急げ急げとせわしなく追い立てられるが、弥次郎の身体はこわばりただただのたうつばかりであった。

ちりちりちりちり。







ちりちりちりちり。











ちりちりちりちり。

























ビーーーーー







ぷしゅう。



















『・・・・・あ・・・・・・・・・・・・・』









がたんがたん・・・・




がたんがたん・・・・・・









ゆっくりと速度を増す電車の中に、

文庫を閉じた私は降車を逃したひとり弥次郎。







Posted at 2011/01/31 09:53:45 | コメント(0) | トラックバック(0) | 文書保管庫 | 日記
2011年01月31日 イイね!

ゼロ・カロリー。



こちらに来てからというもの、



重い頭で目覚めるということがなくなった。




朝はすんなりと定時に目が覚め、



体に不快感をおぼえることはない。










ここに来ることになったのは、


もう3ヶ月も前のことだ。




失業し妻に逃げられ、


半ば自暴自棄で公園で酒を飲んでいたときに、


声をかけられたのだった。





『立派な男の体を持っているのに、

あなたはなにをしているんですか』





死神か新興宗教か。





何もかもどうでもいい私は、


夜の公園にはまったく似合わない初老のばあさんの、


その手をとったのだった。






この近所にそんな広大な施設があったのかと、


そのくらいの移動時間で、


私はここに来た。





広い施設には、


私の部屋が用意されていて、


蛍光灯は見当たらないが、


そんな感じの光が、


上下左右から私の毛穴までを照らし、


白で統一された空間に、


開き直った私は居心地のよさすら感じていた。







『明日は身体検査、

明後日からは仕事をしていただきます』





『失業中の自分にはありがたい話だが、

いったいここはどこなんだ。

仕事というのは何なんだ。』





『あまり考えないことです。』





『まるで監獄のようだな。』





『似たようなものだと思ってください。』








完璧に決められたスケジュールの中に、


私はただ体を動かし、


目の前にあることだけに忠実に従った。





疑問などを持つ余裕すらない完璧なスケジュール。





今日起床した。



確か昨日も起床した。



そして何日起床したのかわからなくなった。






確か私の体は、


二時間もすればニコチンが切れて、


そわそわしだすはずだった。




確か私は、


寝る前にウイスキーをしみ込ませなければ、


熟睡できないはずだった。







私の体は私の知らないほどの健康を回復し、


まるで他人の体のように、


いきいきと能率よく作業をこなしていく。





出てきて気になっていた腹も、


気がつけば胸よりも容量が小さくなり、


作業着というシルエットを気にしないでいいここでのユニフォームの上からでもわかるほどに、


いい体になってきていた。






食に対する欲もなくなった。



与えられる食事は毎日同じもので、


それを順番に胃袋に入れて、


消化する音すら聞こえるようになった。







いらないものはなにもない。





欲しいものもなにもない。





目に映るのは同じ景色。




今日と昨日で変わるものはなにもない。




見せるものも見られるものもなにもない。





要求も要求されることもなにもない。












これが、



死か。






そう思ったが、



とくに何も感じない。













Posted at 2011/01/31 09:51:54 | コメント(0) | トラックバック(0) | 文書保管庫 | 日記
2011年01月31日 イイね!

アンダー・スロー。








ランドセルが肩に食い込んで、

汗ばんだ背中とスニーカーが、

帰り道をのばしている。



今日もまっさんは学校に来なかった。



今日こそまっさんに謝ろうと思っていた。




夕陽が背中に照りつけて、

むしむしした帰り道、

あぜのブタクサの黄色が、

胸に警告のざわめきをくれる。


次の電柱まで歩いて、

次の電柱まで歩いて、

家までの長い道のりを、

昨日も同じように帰った道のりを、

今日もとぼとぼと、

ひとりで帰る。



いつもは、

まっさんと一緒に、

道草しながら、

給食の残りのコッペパンを、

ほおばりながら、

帰った道。



まっさんは、

私より背が小さくて、

えらそうなことは言わない子で、

まゆ毛が太くて、

いつもにこにこ笑ってて、

嘘はつかない子で、

運動おんちで、

いつも私について来てばかりだった。





おととい、

私とまっさんは、

川に向かって石を投げる競争をしていた。


どっちが遠くに投げられるか、

学校帰りに競争をしていた。


まっさんは運動おんちだから、

私より遠くには投げられない。

だけど、

まっさんは一緒に石を投げていた。


川の向こうには、

民家があった。


その家に住んでる子は、

私の嫌いな子だった。


その家に向かって、

石を投げていた。


川の幅は結構あったので、

力いっぱい投げても、

石はその家まで届かない。


届いたら、

窓ガラスが割れてしまうだろうなと、

思いながらも届かないから、

力いっぱい投げていた。


まっさんも、

投げていた。


不意に私は、

アンダースローで投げてみた。


すると投げた石は、

ぐんぐん伸びていって、



がしゃん、


と、

その子の家のガラスを割った。




私はまっさんの手をとって、

逃げた。


息が切れるほど逃げて、

まっさんが転んでしまった。


まっさんは走るのが遅い。


私はどきどきしていた。


まっさんは泣いていた。




『誰にもゆったらあかんでな!』



そのまま、

その場にまっさんを置いて、

私は家まで逃げた。





まっさんは今日も学校に来なかった。


まっさんの泣き顔を見てから、

まだ会っていない。


先生は風邪なんだと言っていた。



ランドセルには、

先生から渡された、

まっさんに渡すプリントが入っている。


昨日はポストに突っ込んで、

逃げて帰った。



今日もまた、

下校途中にあるまっさんの家に、

行かねばならない。



家の前について、

昨日と同じように、

ポストにプリントをねじ込んでいると、

声をかけられた。


『キョウちゃんじゃないけ、あがりあがり!』



おばさんはまっさんから何も聞いていないのだろうか。

まっさんと同じにこにこ顔で、

玄関に私を座らせる。



どきどきしている。



持ってきたプリントが、

しわしわになっている。


それを伸ばしていると、

まっさんが出てきた。



『キョウちゃん、ありがとう』



パジャマ姿で、

ほっぺたを真っ赤にしたまっさんは、

にこにこと近づいてきた。


ほんとうに風邪だったんだ。



そう思うと、

我慢がきかなくなって、

わんわんと泣いた。



まっさん、ごめん。ごめん。



まっさんは、

にこにこしたまま泣いていた。



その晩は二人で割れたガラスの家に、

謝りに行った。


そこの嫌いな子も、

玄関先で謝る私たちを見ていた。




その帰りの暗い夜道、

まっさんと蛍を見た。



『また明日、一緒に帰ってくれっけ?』

『うん、帰ろけ』






まっさんは、

それから学校に来ることはなかった。






まっさんのいない帰り道は、

どこまでいっても帰り道。


電柱の先も、

続いていく帰り道。









Posted at 2011/01/31 09:49:32 | コメント(0) | トラックバック(0) | 文書保管庫 | 日記
2011年01月31日 イイね!

ゴースト。








僕らの街には、
ヒーローがいる。



ヒーローといっても、
本当の正義のヒーローなのだ。

野球のヒーローとかそんなんじゃない。



僕も何度か見たことがあるが、
彼は、
非常に個性的なファッションで、
ちょっと弱そうな感じで、
だけど、
ひったくりを見事に、
捕まえて見せたのだった。


緑色のくたくたのパンツに、
グレーのシャツ、
ドレッドとはいえないもじゃもじゃの髪に、
オペラ座の怪人みたいなマスク、
金田一よろしくマントを羽織っていた。


結構、細身である。


正体は不明。

でも、
よく警察署長から表彰もされているし、
新聞にもよく載っている、
有名人だ。




ヒーローはいつも弱いものの味方だ。



(本人のほうが病弱そうだということは、
みんな黙っている。)





さて、

昨日朝、
僕はとんでもないことをしでかしてしまった。


とてもたくさんの人に迷惑をかけてしまった。

何百人という罪も無い人に、
迷惑をかけてしまった。


こんなときは、
ヒーローの出番だったはずなのだが、
そのときは、
ヒーローは忙しかったのか、
来てはくれなかった。


他力本願で申し訳ないのだけど、
彼が来てくれたら、
こんなことにはならなかったのではないかと、
考えてしまう。


自分にはもうどう償っていいのか、
わからないまま、
途方にくれている。



ヒーローが来てくれたら、
『退治』されるのは僕だったのだろうけど、
それでも、
みんなに迷惑をかけてしまった後悔より、
彼に『えいっ』とやられてしまうほうが、
よかったような気がする。





そんなことを考えながら、
公園のベンチでぼんやりしている。


遊んでいる子どもたちも、
まるで僕がここにいないかのように、
完全に無視して、
きゃあきゃあはしゃいでいる。


僕は、悪者なんだよ?
気をつけなきゃだめだよ。




自嘲気味につぶやいていると、
隣に人が座ってきた。





(ヒーローだ!)



ああ、高鳴る鼓動が抑えられない・・・・


『・・あの・・・ヒーローさん、ですよね?』


僕の問いかけに、
ヒーローはカンペキ無視をした。


ただ、
自分のケータイをプチプチいじっている。


(うわ、感じ悪っ!)




そこに、
彼のケータイが鳴った。

着メロはクイーンだった。



彼は、
猛ダッシュで行ってしまった。


ああ、
きっと、事件なんだ・・・・


なんだかがっかりした気分で、
ベンチに置き去りにされている新聞を見ると、
僕の起こした事件が載っていた。














『〇〇線列車飛び込み、3000人の足に影響。』








Posted at 2011/01/31 09:48:21 | コメント(0) | トラックバック(0) | 文書保管庫 | 日記

プロフィール

「禾乃登 [こくもつすなはちみのる] http://cvw.jp/b/924416/31022269/
何シテル?   09/02 14:31
   ふろいらいんです。よろしくお願いします。  このページでは、  写真と日記で毎日の生活を丁寧にしようなどと試みています。  車のブログ...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2011/1 >>

      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30 31     

リンク・クリップ

頂き物(^^) 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2014/03/13 09:25:12
空の神兵 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2013/01/17 14:18:58
後藤さんの活動。 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2012/06/03 00:33:31
 

愛車一覧

三菱 アウトランダー 三菱 アウトランダー
車に全く興味のない父が選んだ一台です。 でも、これが意外と走る走る。 キビキビしていて ...
スズキ ワゴンR スズキ ワゴンR
車椅子仕様です(^^) 軽自動車を運転するなんて、軽トラ以来何年ぶりなんですが、 やた ...
カワサキ 500SS Mach III (マッハ) カワサキ 500SS Mach III (マッハ)
18歳~26歳まで、乗っていましたが、 事故で大破し、さよならしました。 以来、 ...
アルファロメオ GTV アルファロメオ GTV
18歳から七年間乗りました。 赤のピニンファリナ、 大好物。
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation